CPUグリスを塗り直したとき、私はグリスと一緒に、クーラーもファンや設定も、掃除や置き方も変えました。そのため、温度が変わったとしても、それがグリスのおかげだとは言えません。
塗り直しの作業そのものでは、量・塗り方・固定のしかたの3つで迷いました。次に塗り直すなら、変えるものを減らし、前の状態を記録し、測る場面をそろえます。
では、その3つで迷ったとき、何を目安にすればいいのか。前後の温度を比べるなら、何を残しておけばよかったのでしょうか。
CPUグリスを塗り直したきっかけ
きっかけは4つ
塗り直したきっかけは、1つではありませんでした。
| きっかけ | 内容 |
|---|---|
| 温度 | 温度の表示が気になった |
| クーラー | クーラーを交換した |
| メンテナンス | メンテナンスのため |
| 比較 | 前後を比べてみたかった |
私が気にしていたのは、温度と塗りやすさです。
作業の前に残したもの
作業の前には、温度の表示、室温、PCの構成や設定を残しました。ただ、前後の条件として記録できたのは一部だけです。
塗り直しで迷った3つのこと
量
1つ目は、グリスをどれだけ出すかです。
Intelのサーマルペーストの塗り方の解説では、量の目安を豆粒か米粒くらいとしています。置く場所は、CPUの金属のふた(ヒートスプレッダー)の中央です。少なすぎると必要な範囲を覆えず、多すぎると効果が落ち、マザーボードにはみ出すこともある、と説明しています。
塗り方
2つ目は、塗り方です。塗り方には、点で置く、線にする、ヘラで広げるなど、いくつかのやり方があります。
同じIntelの解説は、点・線・バツ印などの置き方を比べてはいません。はっきり勧めているのは、手で塗り広げないことです。クーラーを押し付ける力で広げれば、手で広げたときのように空気の泡が入りにくい、という理由です。Intelのサポート記事でも、グリスは中央に置き、動作中の熱でヒートスプレッダーとクーラーの底に広がる、としています。
固定のしかた
3つ目は、クーラーの固定のしかたです。グリスを置いたあとは、クーラーを載せてネジで留めます。
Intelの解説では、クーラーが滑らないように上から軽く押さえ、ネジは対角の順に、少しずつ回して締めるよう勧めています。マザーボードがたわむほど強く押すと、CPUを傷めるおそれがある、という注意つきです。取り付けたあとの確認は2つで、グリスがCPUの外にはみ出していないかと、クーラーを触っても動かないかを目で見ます。
CPUグリスの塗り直しのやり方
用意するもの
Intelの2つの資料に出てくる道具を並べると、塗り直しに使うものは次の3つです。
- イソプロピルアルコール(古いグリスを落とす)
- 糸くずの出にくい布やペーパータオル(拭き取りに使う)
- 新しいグリス
グリスの入れ物は、注射器のような形と小さな袋の形の2種類です。Intelのサポート記事では、注射器の形はキャップをひねって先を開け、袋の形は点線に沿って切って使うと説明しています。袋の形は、中身が少し残ることがあります。
Intelのサポート記事の手順
塗り直しの流れは、Intelのサポート記事「How to Apply or Remove Thermal Interface Material (TIM)」にまとまっています(2025年1月30日に見直し、2026年10月17日に確認)。TIMは、CPUグリスなどの熱を伝える材料のことです。
古いグリスを落とす → CPUを取り付ける → 新しいグリスを中央に置く → クーラーを取り付ける
| 手順 | 内容 |
|---|---|
| 古いグリスを落とす | 糸くずの出にくい布にイソプロピルアルコールを含ませ、ヒートスプレッダーのグリスを拭き取る。アルコールが乾いてから次に進む |
| 重ね塗りしない | 使ったグリスの上に、新しいグリスを足さない。必ず全部落としてから塗る |
| 中央に置く | 新しいグリスは、ヒートスプレッダーの中央に置く |
| 触らない | グリスに指で触れない。皮脂などが入ると、熱の伝わり方が悪くなる |
| 付け直したら交換 | CPUやクーラーを付け直すときは、グリスも新しくする |
| 裏に付いたとき | CPUの裏にグリスが付いたら、同じようにアルコールで拭き、乾いてから取り付ける |
市販のCPUに付属するクーラーには、最初からグリスが塗られているものがあります。その場合は、さらに足さないよう注意が書かれています。
塗り直す頻度の目安
Intelの塗り方の解説では、塗り直しは一般に数年に1回までとしています。クーラーを外したときは塗り直し、温度が上がってきたときも塗り直しを考える目安です。迷ったら、グリスのメーカーの説明に従うよう書かれています。
私の場合は、クーラーの交換が重なりました。クーラーを外せば塗り直すことになるので、このきっかけは手順の考え方とも合っています。
グリスの選び方はCPUグリスおすすめの選び方、CWTPのグリスの違いはCWTPエクストリームグリス全種類の比較で書いています。
前後の温度をどう比べたか
同じソフトを動かして比べた
前後の比べ方は、同じソフトを動かしたときの温度の表示を見る方法にしました。
条件は一部だけ記録した
前後の条件は、一部だけ記録していました。室温や構成、設定は残しましたが、比べるのに必要な条件がすべてそろっていたわけではありません。
まとめて変えたので効果は分けられない
そのうえ、グリスと同じ機会に、クーラー・ファンや設定・掃除や置き方もまとめて変えました。
この4つを一度に変えると、前後で温度が変わっても、どれが効いたのかは分かりません。前後を比べたかったのに、グリスだけの差は記録からは読めない形になりました。
次に塗り直すなら変えること
次に同じ作業をするなら、3つを変えます。
| 次にやること | 理由 |
|---|---|
| 前の状態を記録する | 比べる元がないと、前後の差が読めない |
| 変えるものを減らす | 一度に変えると、どれが効いたか分からない |
| 測る場面をそろえる | 場面が違うと、同じ条件で比べられない |
1つ目の「前の状態を記録する」について、今回も温度・室温・構成は残しました。それでも、前後の条件として記録できたのは一部だけでした。
2つ目の「変えるものを減らす」は、今回の反省そのものです。グリスの効果を見たいなら、グリスだけを変えた状態で比べる必要があります。
3つ目の「測る場面をそろえる」について、今回は同じソフトを動かしたときの表示で比べました。
比べるときに残す項目の例
今回まとめて変えた4つと、作業の前に残した項目を並べると、前後で比べるときに控えておきたい項目は次のようになります。
| 項目 | 控えておく内容の例 |
|---|---|
| 変えたもの | グリス・クーラー・ファンや設定・掃除や置き方のうち、今回変えたもの |
| 室温 | 測ったときの室温 |
| 動かしたソフト | 同じソフト・同じ処理で測ったか |
| 温度の表示 | どの表示を見たか、どの値を控えたか |
| 構成と設定 | PCの構成、ファンの設定 |
| 置き方 | ケースの置き場所、掃除の前か後か |
前後でこの表を1枚ずつ作れば、何がそろっていて、何が違うのかが見えます。変えたものの欄に1つしか書かれていなければ、温度の差をその1つと結びつけて考えやすくなります。
まとめ
CPUグリスの塗り直しで迷ったのは、量・塗り方・固定のしかたの3つでした。量は豆粒か米粒くらいを中央に、手では塗り広げず、クーラーはネジを対角の順に少しずつ締める。Intelの資料では、この3つにそれぞれ目安が書かれています。
温度を比べたいなら、作業の前に決めておくことがあります。グリスだけを変え、前の状態と条件を残し、同じ場面で測る。私が次に塗り直すときに変えたいのも、この3つです。

コメント