ちょっと三国志ファンな自分が見てきた感想
と気になる点を整理してみた。
そもそもの設定は?
監督
日本のエンターテイメント界を牽引する福田雄一。
「銀魂」「今日から俺は!!」「勇者ヨシヒコ」シリーズ「斉木楠雄のΨ難」など
コメディ界屈指のヒットメーカー。
その監督が“福田流の解釈”で完全オリジナル実写映画化。
コメディ作品の監督としては割と好きです。
ただ、「今日から俺は」は作品として好きではないですね。
三國志
今からおよそ1800年前、西暦200年頃の中国・後漢の時代。
魏・蜀・呉の3国が覇権を巡り群雄割拠していた史実をまとめた書物の名称。
中華統一を目指す、一癖も二癖もある個性豊かで魅力的なキャラクターが登場することから、日本でも小説や漫画、ゲームなど多くのコンテンツが作られた。
ただ、この「三國志」で語られる逸話の中には、現実味にかける話や解き明かされていない謎も数多く存在し、読み手によってさまざまな解釈が存在します。
「諸説あり。」 これは、我々人類が歴史を語る際に必ずと言っていいほど出会う言葉。
「三國志」にも当然、それぞれの諸説、そして“解釈”があるはずという前提でこの映画が作成されている。
本作は誰もが知る「三國志」を、1人の歴史学者が新解釈のうえ構築したというテイの、ある意味で世界唯一のオリジナルストーリー。
あらすじと気になる点
映画中で西田敏行が演じる歴史学者・蘇我宗光が
「新学説によって全く違った人物像が浮かび上がって来た」と説明し物語が始まる。
そう言う新学説があるわけでなく、改めていうが脚本を書いた福田雄一監督の創作。
もっとも『三国志演義』自体が史実3割、創作7割と言われているので諸説ありという表現は間違いではないだろう。
なので『三国志演義』を元にした小説や漫画、映画などは更に作者の脚色が加わっているので、それぞれが創作とも言える。
なので、自分が好きな三国志という考え方で見ると『え?』って思う点が何個かあった。
この映画と『三国志演義』との大きな違い
劉備
劉備が戦嫌いだが、酒を飲むと気が大きくなる性格である。
『三国志演義』では劉備を「言葉は少なく、よく人にへりくだり、喜怒の感情を表に出さなかった。」と書いてあるので、大泉洋が演じる我儘でおしゃべりの劉備は、監督の創作だろう。
孔明
また、孔明も『三国志演義』での知恵者のイメージと違って、本作では軽い性格でとても知恵者と思えない。
孔明から劉備に軍師役を売り込むのは変だし、その話がくどいww。
赤壁の戦いの「10万本の矢の難題」を「草船借箭の計」で解決する話も、南風を起こす話も、『三国志演義』にもあり、孔明の妻の黄夫人は頭が良く、孔明に策を授けていたのではないかと言う説もある。
今回の映画では黄夫人は恐妻で、橋本環奈が演じているのが面白い。
赤壁の火責め
燃えやすい牛脂を上流から流し、火を点けた筏を流す火攻めの作戦創作ぽい。
『三国志演義』では火攻めは黄蓋の「苦肉の策」による作戦だった。
貂蟬
董卓に与えた絶世の美女貂蝉を呂布が好きになり、呂布が董卓を殺害する話は『三国志演義』では,劉備ではなく、王允(おういん)が行ったとされている。
この作戦を映画では三角関係になぞらえて「三角関の計」と呼んでいたww
実際は「連環計」。
「時代考証的美女」の渡辺直美が演じていたが、貂蝉の絵はやせていた。
最後に貂蝉が正体を明かすと、渡辺直美に変装した広瀬すずというオチww
曹操
曹操が周瑜の妻で絶世の美女の小喬を奪おうとする話は『三国志演義』にあるので、曹操が女好きなのは本当かも知れない。
大きく整理すると
主要人物の劉備と孔明の性格を変え、貂蝉の計画を加えているが、「新解釈」の元になる学説は無く、監督の創作であると思われる。
それ以外は大きく『三国志演義』と変わった点はない。
配役
福田流・三國志の主人公は、仁徳と義を重んじる「蜀」の武将・劉備=大泉洋。
大泉演じる劉備が属する「蜀」国のメンバーは、
- 稀代の天才軍師・孔明=ムロツヨシ
- 孔明の妻・黄夫人=橋本環奈
- 仁義に生きる武将・関羽=橋本さとし
- 超怪力の猛将・張飛=高橋努
- 忠義の若武者・趙雲=岩田剛典
- 【赤壁の戦い】で蜀と手を組む「呉」国のメンバーは、天下の最高司令官・周瑜=賀来賢人
- 周瑜の妻・小喬=山本美月
- 江東の覇者・孫権=岡田健史
- 周瑜を支える宿将・黄蓋=矢本悠馬
- 同じく周瑜を支える軍師・魯粛=半海一晃
- 【赤壁の戦い】で敵対する「魏」国の面々には、革命のジョーカー・曹操=小栗旬
- 曹操の参謀・荀彧=磯村勇斗
- 隻眼の将軍・夏侯惇=阿部進之介
- 絶世の舞姫・貂蝉=渡辺直美(広瀬すず)
- 黄天の逆賊・黄巾=山田孝之
- 三國志最強の鬼神・呂布=城田優
- 酒池肉林の暴君・董卓=佐藤二朗
- ストーリーテラーとして本作を盛り上げる語り部役に西田敏行
ちなみに公式サイトにあるが
脚本はもちろん監督が執筆していたのだが。
大泉さんが何度も製作陣に「本当にやるよね?…… やるんだよね?」と確認するほど脚本がキャスト陣に届くまでは時間を要したようだ。
終始、あたたかくもおバカな笑いにあふれている本作だったが、結構本格アクションシーンもあった。
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