Windows 11の動作が重い。不具合が何度直しても戻ってくる。そんな状態なら、クリーンインストールですべて消してしまえば解決するのではないか?
半分は正解です。
ただし、クリーンインストールは「PCを速くする魔法」ではありません。何も考えずに始めると、重いPCより面倒な「大切なデータまで消えたPC」が完成します。
私なら、少し動作が重い程度ではいきなり実行しません。一方で、Windowsの不具合が続く、SSDを交換した、自作PCにWindows 11を入れ直したい、といった場面ならかなり有効な方法です。
しかも2026年現在、Windows 11のインストール方法には以前と変わった部分があります。古い記事でよく紹介されているwmicコマンドは、Windows 11 24H2以降ではすでに削除されています。昔の手順をそのまま使うのはおすすめできません。
この記事では、Windows 11をUSBメモリからクリーンインストールする方法を、準備からインストール後の設定まで順番に解説します。

Windows 11のクリーンインストールとは?
Windows 11のクリーンインストールとは、現在のWindows環境を引き継がず、新しいWindows 11を入れ直す方法です。
Microsoftの案内でも、クリーンインストールを行うと次のものが削除されるとされています。
- 個人ファイル
- インストールしたアプリ
- Windowsの設定
- PCメーカー独自のカスタマイズ
つまり、かなり強力です。
余計な設定やアプリをほぼ引き継がないので、長期間使ったWindowsを整理したい場合には向いています。
ただし「全部消して入れ直す」という力技です。
写真や書類を消してから後悔しても遅い。ここだけは本当に甘く見ないほうがいいです。
「このPCを初期状態に戻す」とクリーンインストールは違う
Windows 11には「このPCを初期状態に戻す」という機能もあります。
似ていますが、私はまずこちらで済むかを考えます。
PCのリセット
Windowsの設定から実行でき、USBメモリは必要ありません。
「個人用ファイルを保持する」か「すべて削除する」を選択できます。また、Windowsをネットから取得する「クラウドダウンロード」も利用できます。
軽い不具合や設定の崩れなら、こちらで直る場合があります。
クリーンインストール
USBなどのインストールメディアから起動し、Windowsを新しく入れ直します。
個人ファイル、アプリ、設定まで消して環境を作り直せるので、リセットより一段強力です。Microsoftも、問題を解決する場合は影響の少ない回復方法から試し、必要な場合にインストールメディアによる再インストールを使うよう案内しています。
私なら、
「ちょっと調子が悪い」→リセットや修復を検討
「何をしても直らない」→クリーンインストール
くらいに分けます。
Windows 11をクリーンインストールする前の準備
作業そのものより、この準備のほうが重要です。
勢いでUSBから起動する前に確認しておきましょう。
必要なデータを必ずバックアップする
最低でも次のデータは確認します。
- デスクトップ
- ドキュメント
- ダウンロード
- 写真・動画
- ブラウザのお気に入り
- メールデータ
- ゲームのセーブデータ
- アプリ固有の設定ファイル
- 仕事で使っているファイル
OneDriveやGoogle Driveに同期している場合でも、本当にクラウド側に保存されているか確認したほうが安全です。
「たぶん同期されている」は危険です。
私はこういう作業では、なくなったら困るデータを一度別の場所から開けるかまで確認したほうがいいと考えています。
BitLocker回復キーも確認する
Windows 11ではデバイスの暗号化やBitLockerが利用されている場合があります。
設定変更や回復作業の途中で、48桁のBitLocker回復キーを求められることがあります。Microsoftも、回復キーを失った場合にMicrosoftサポート側で再作成することはできないと案内しています。
クリーンインストール前に確認しておくべき項目です。
Windows 11のエディションを確認する
ここも重要です。
現在使っているWindowsが、
- Windows 11 Home
- Windows 11 Pro
のどちらなのか確認します。
「設定」→「システム」→「バージョン情報」から確認できます。
同じPCへWindows 11を再インストールする場合は、現在のデジタルライセンスと同じエディションを選ぶ必要があります。HomeのライセンスなのにProを入れる、といった選択は避けましょう。
プロダクトキーを無理に調べなくてもいい
古いWindows 11の記事では、次のようなwmicコマンドでプロダクトキーを調べる方法がよく紹介されていました。
しかし、現在はおすすめしません。
Microsoftは2026年8月、Windows 11 24H2以降からWMICを削除しています。
さらに、同じPCに同じエディションのWindows 11を入れ直す場合、デジタルライセンスがあればプロダクトキーを入力せず再認証できる場合があります。
「設定」→「システム」→「ライセンス認証」で、Windowsがライセンス認証されていることを先に確認しておくほうが確実です。
Windows 11のインストールUSBを作成する
準備ができたらUSBメモリを作ります。
8GB以上の空のUSBメモリを用意する
Microsoft公式のMedia Creation Toolを使えば、Windows 11のインストールメディアを作成できます。
Microsoftは8GB以上のUSBメモリを必要条件として案内しています。USB内のデータは削除されるため、空のUSBを使いましょう。
Microsoft公式:Windows 11のダウンロード
Windows 11 のダウンロード
Media Creation Toolを実行する
公式ページにある「Windows 11のインストールメディアを作成する」からツールをダウンロードします。
その後、
- Media Creation Toolを起動する
- ライセンス条項に同意する
- 言語などを確認する
- USBフラッシュドライブを選択する
- 使用するUSBメモリを選ぶ
- Windows 11のダウンロードとUSB作成を待つ
という流れで進めます。
怪しいISO配布サイトからWindowsを入手する必要はありません。
ここは素直にMicrosoft公式を使えば十分です。
Windows 11をUSBからクリーンインストールする方法
いよいよインストールです。
ここからは間違えるとデータが消えます。
特にストレージを複数搭載しているPCでは、削除するドライブを必ず確認してください。
USBメモリからPCを起動する
作成したUSBメモリをPCに接続して再起動します。
メーカーやマザーボードによって違いますが、起動時にF2、F11、F12、Delete、Escなどを押すと、UEFIやブートメニューを開ける場合があります。
個人的には、UEFIの起動順位そのものを変更するより、一時的なブートメニューからUSBを選ぶほうが扱いやすいです。
なお、「USBから起動できないからSecure Bootを無効にする」という古い対処法をいきなり試すのはおすすめしません。
Windows 11はUEFIとSecure Boot対応をシステム要件としています。まずはPCメーカーの説明書やブートメニューを確認するべきです。
Windows 11のセットアップを開始する
USBから起動するとWindows 11セットアップが始まります。
Microsoftが現在案内しているクリーンインストールでは、大まかに次の流れです。
- 言語と地域を選ぶ
- キーボードを選ぶ
- 「Windows 11のインストール」を選ぶ
- ファイルやアプリなどが削除されることに同意する
- 次へ進む
画面はWindows 11のバージョンによって多少変わります。
文章を丸暗記するより、「クリーンインストールなのでデータを引き継がない」という点を理解して進めることが重要です。
プロダクトキーを求められた場合
プロダクトキー画面が出ても、同じPCへ同じエディションを再インストールする場合は「プロダクトキーがありません」を選べる場合があります。
その後、現在使っているライセンスと同じWindows 11 HomeまたはProを選びます。
オンライン接続後、条件を満たせばデジタルライセンスによって自動的に認証されます。
ただし、新しいPCやマザーボードを交換したPCでは話が変わります。
「前にもWindows 11を使っていたから絶対認証される」と決めつけるのは危険です。
Windowsを入れるドライブを選択する
ここが最大の注意点です。
クリーンインストールでは、Windowsを入れるディスクのパーティションを削除し、未割り当て領域へWindowsをインストールします。
Microsoftの公式手順でも、対象となる「ディスク0」のパーティションを削除し、未割り当て領域を選択してインストールする流れになっています。
そしてMicrosoftは、複数のディスクが表示されている場合、別のディスクのパーティションを削除しないよう明確に注意しています。
例えば、
- ディスク0:Windows用SSD
- ディスク1:写真や動画用SSD
となっているのに、ディスク1まで消したら悲惨です。
容量やドライブ構成を確認せず、「全部削除」を始めるのはやめましょう。
インストールを開始する
Windowsを入れる未割り当て領域を選択して「次へ」を押すと、Windows 11のインストールが始まります。
途中でPCは何度か再起動します。
再起動した瞬間に「失敗した」と思って電源を切る必要はありません。基本的にはそのまま待ちます。
Windows 11インストール後の初期設定
Windows本体のインストールが終わっても、まだ完成ではありません。
むしろ、ここから普段使える状態へ戻していきます。
インターネットとMicrosoftアカウントを設定する
現在のWindows 11 Homeと、個人利用のWindows 11 Proでは、初期セットアップを完了するためにインターネット接続とMicrosoftアカウントが必要です。
古い記事にある「ネットを切ればそのままローカルアカウントを作れる」という説明だけを頼りにしないほうがいいです。
ローカルアカウントを使いたい場合は、セットアップ後に「設定」→「アカウント」→「ユーザーの情報」からローカルアカウントへ切り替える公式手順があります。
Windows Updateを先に実行する
デスクトップまで到達したら、まずWindows Updateを確認します。
「設定」→「Windows Update」から更新プログラムを適用します。
Windows Update経由でドライバーが入ることもあるため、私はアプリを大量に入れ始める前に一度Windowsを最新状態にするほうがいいと考えています。
再起動後にもう一度更新を確認すると、追加の更新が出てくる場合もあります。
ドライバーを確認する
次にデバイスマネージャーを確認します。
不明なデバイスが残っている場合や、
- Wi-Fiが使えない
- Bluetoothが使えない
- 音が出ない
- GPUが正しく認識されない
といった問題があれば、PCメーカーや各パーツメーカーの公式サイトからドライバーを入れます。
メーカー製PCの場合、Microsoftの汎用インストールメディアではメーカー独自のドライバーやアプリが含まれない場合があります。Microsoftも、互換性を重視する場合はPCメーカーが提供する回復イメージも選択肢になると案内しています。
Windows 11をクリーンインストールできないときの対処法
途中で止まっても、原因を一つずつ確認すればいいです。
闇雲にBIOS設定を変更するほうが危険です。
USBから起動しない
まず確認するのは次の点です。
- USBが正しく作成されているか
- ブートメニューでUSBを選んでいるか
- 別のUSBポートで起動できないか
- Media Creation ToolでUSBを作り直せないか
PCメーカーによってUSB起動方法が違うため、メーカー公式マニュアルも確認します。
SSDがインストール画面に表示されない
SSDが見えない場合は、ストレージコントローラーやドライバー、UEFI設定などが関係している可能性があります。
この場合、「とりあえずパーティションを削除する」のは何の解決にもなりません。
自作PCならマザーボードメーカー、メーカー製PCならPCメーカーのサポート情報を先に確認したほうが安全です。
Windowsのライセンス認証が通らない
まず、
- インターネットに接続されているか
- 以前と同じWindows 11のエディションか
- Microsoftアカウントが正しいか
を確認します。
マザーボード交換など大きなハードウェア変更を行った場合は、再認証が必要になることがあります。
Windows 11クリーンインストールのよくある質問
クリーンインストールすると全部消える?
USBから起動して完全なクリーンインストールを行えば、対象ドライブ内の個人ファイル、アプリ、設定などは削除されます。
必要なデータは先にバックアップしてください。
USBメモリは何GB必要?
Microsoftは8GB以上の空のUSBメモリを案内しています。
ほかのデータが入っているUSBは使わないほうが安全です。
プロダクトキーは必要?
同じPCに、すでに認証されていたものと同じエディションのWindows 11を再インストールする場合、デジタルライセンスによってプロダクトキー入力なしで自動認証される場合があります。
実行前に「設定」→「システム」→「ライセンス認証」を確認しておきましょう。
ローカルアカウントだけでセットアップできる?
2026年時点のMicrosoft公式要件では、Windows 11 Homeと個人利用のWindows 11 Proは初期設定時にインターネット接続とMicrosoftアカウントが必要です。
セットアップ後はMicrosoft公式の手順でローカルアカウントへ変更できます。
クリーンインストールすればPCは速くなる?
必ず速くなるわけではありません。
Windowsや常駐アプリ、設定の問題が原因なら改善する可能性はあります。
しかし、CPU性能不足、メモリ不足、SSDの故障、冷却不足など、ハードウェア側が原因ならWindowsを入れ直しても解決しません。
ここを混同すると、数時間かけてWindowsを入れ直したのに何も変わらない、という人類らしい徒労が完成します。
まとめ|Windows 11のクリーンインストールは「準備」が一番重要
Windows 11のクリーンインストール自体は、それほど難しい作業ではありません。
Microsoft公式のMedia Creation ToolでUSBを作り、USBから起動してWindowsを入れ直せば完了します。
難しいのは、その前です。
- データをバックアップする
- BitLocker回復キーを確認する
- Windowsのエディションを確認する
- ライセンス認証状態を確認する
- 消していいディスクを確認する
ここを飛ばさないことが重要です。
私は、Windowsの調子が少し悪いだけなら、まず修復やリセットを試すほうがいいと考えています。それでも直らない、環境を完全に整理したい、SSD交換後にWindowsを入れ直したい。そこまで理由がはっきりしているなら、クリーンインストールはかなり強力です。
Windowsを消す作業そのものより、消してはいけないものを見分けること。
そこさえ間違えなければ、Windows 11のクリーンインストールは必要以上に怖がる作業ではありません。


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