痛風は「風が当たるだけで痛い」と表現されるほど激しい関節痛を伴う病気です。発作が起きると日常生活に大きな支障をきたし、再発を繰り返すことも少なくありません。しかし「痛風はなんでなる?」と原因を正しく理解し、初期の症状に気づくことで、悪化を防ぎ生活の質を保つことが可能です。本記事では、痛風の原因や症状、予防法や治療法について詳しく解説します。
痛風とはどんな病気か
痛風は、血液中の尿酸値が高い状態(高尿酸血症)が続くことで、尿酸が結晶化し、関節に沈着することによって起こる炎症性の疾患です。特に足の親指の付け根に強い痛みを生じるのが代表的な症状で、突然の発作として現れることが多いです。
痛風は中高年の男性に多くみられますが、近年は生活習慣の変化から若い世代や女性でも発症するケースが増えています。
痛風はなんでなる?原因を徹底解説
痛風の原因は主に「尿酸の過剰」と「尿酸の排泄低下」に分けられます。
プリン体の過剰摂取
尿酸は、プリン体という物質が体内で分解される過程で生じます。プリン体は食品に多く含まれており、特に以下のような食品で注意が必要です。
- レバーや白子などの内臓類
- 魚卵(いくら、たらこなど)
- ビールや日本酒などのアルコール飲料
- 肉類や魚類の一部
プリン体を過剰に摂取すると尿酸が増え、痛風のリスクが高まります。
アルコールの影響
アルコールは尿酸の排泄を妨げると同時に、体内で尿酸を増やす働きも持っています。特にビールにはプリン体が多く含まれており、痛風患者の発症要因としてよく知られています。
肥満・生活習慣病との関連
肥満、高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病は尿酸値の上昇と密接に関係しています。肥満によって代謝が乱れ、尿酸の生成量が増えたり、排泄が妨げられたりするため、痛風を引き起こしやすくなります。
遺伝的要因
家族に痛風患者がいる場合、体質的に尿酸値が高くなりやすい傾向があります。遺伝要因に生活習慣が重なることで、発症リスクがさらに高まります。
痛風の初期症状に気づくには
痛風の発作は突然始まることが多いですが、初期の段階ではいくつかのサインが現れることがあります。
- 足の親指の付け根が赤く腫れる
- 夜間に強い関節痛が起こる
- 関節に熱感を伴う
- 痛みが数日から1週間続き、その後軽快する
これらの症状は一度治まっても、放置すると再び発作が起こる可能性が高くなります。
痛風発作が起こりやすい部位
痛風発作は体のさまざまな関節に起こり得ますが、特に以下の部位に多くみられます。
- 足の親指の付け根(母趾MTP関節)
- 足首
- 膝関節
- 手指の関節
- 肘関節
初めての痛風発作は足の親指に起こるケースが多く、「夜眠っている時に激痛で目が覚める」というのが典型的なエピソードです。
痛風の症状を放置するとどうなるか
痛風発作を繰り返すと、やがて慢性化し、次のような合併症を引き起こすことがあります。
- 痛風結節:耳や関節周囲に白っぽいしこりができる
- 腎障害:尿酸結晶が腎臓に沈着し、腎不全に進行することがある
- 尿路結石:尿酸が結石となり、激しい腰痛や血尿を伴う
これらは生活の質を大きく損なうだけでなく、命に関わる病気につながる危険もあります。
痛風の検査方法
痛風が疑われる場合、以下の検査が行われます。
- 血液検査:尿酸値を測定し、高尿酸血症の有無を確認
- 関節液検査:関節液に尿酸結晶があるか調べる
- 画像検査(X線や超音波):関節の状態や結節の有無を確認
これらの検査を組み合わせて診断が行われます。
痛風の治療法
痛風の治療は「発作時の対処」と「再発予防」の2つに分かれます。
発作時の治療
痛風発作が起きた場合は、強い炎症を抑えることが優先されます。
- 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の服用
- コルヒチンやステロイド薬の投与
- 患部の安静と冷却
再発予防の治療
発作が治まった後は、尿酸値をコントロールする治療が行われます。
- 尿酸生成を抑える薬(アロプリノールなど)
- 尿酸排泄を促す薬(ベンズブロマロンなど)
- 定期的な血液検査で尿酸値をチェック
痛風を予防する生活習慣
痛風の発症を防ぐためには、生活習慣の改善が重要です。
- 水分を多くとる(1日2リットルを目安)
- 野菜や果物を積極的に食べる
- アルコールを控える(特にビール)
- 肉や魚の内臓を控えめにする
- 適度な運動で体重管理をする
- ストレスをためない
これらを意識することで、尿酸値の上昇を抑え、痛風発作を予防できます。
痛風と似た症状の病気
痛風と間違えやすい病気も存在します。
- 偽痛風:ピロリン酸カルシウム結晶が関節に沈着して炎症を起こす
- 関節リウマチ:両手や複数の関節に炎症が起きる自己免疫疾患
- 感染性関節炎:細菌感染によって関節が腫れて強い痛みを伴う
これらは治療法が異なるため、正しい診断が欠かせません。
痛風に関するよくある質問
Q1. 痛風は完治しますか?
完全に治すことは難しいですが、尿酸値をコントロールすれば発作を防ぎ、症状を抑えることが可能です。
Q2. 痛風は男性に多いのはなぜ?
女性ホルモンには尿酸を排出する働きがあり、閉経前の女性は発症が少ないためです。
Q3. ビールを飲まなければ痛風になりませんか?
ビール以外のアルコールや高プリン体食品も原因になるため、ビールを避けるだけでは不十分です。
Q4. 尿酸値が高いだけで痛風になる?
必ずしも痛風を発症するわけではありませんが、高尿酸血症が続くと発症リスクが高まります。
Q5. 痛風発作中に運動してもよい?
炎症が強い時は運動を避け、安静にすることが大切です。回復後に軽い運動を始めましょう。
Q6. 市販薬で治せますか?
痛風発作の痛みを和らげる市販薬はありますが、根本的な治療には医師の診断と処方薬が必要です。
まとめ
痛風は「なんでなる?」と疑問に思う人が多い病気ですが、その原因は尿酸値の上昇にあります。食生活や生活習慣の乱れ、アルコール、肥満、遺伝的要因などが大きな要素となり、発作を引き起こします。初期症状に早めに気づき、正しい検査と治療を受けることで、再発や合併症を防ぐことができます。
日常生活の工夫と適切な治療で、痛風と上手に向き合っていきましょう。
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