たんこぶは、頭をぶつけたときにできる代表的な外傷のひとつです。多くの場合は自然に治りますが、「たんこぶが治らない」「しこりが残る」「痛みが続く」といった症状が長引くと、不安になる方も多いでしょう。実は、たんこぶが治らない背景には、単なる打撲ではなく、内出血や血腫、感染、まれに腫瘍などの深刻な原因が隠れている場合もあります。この記事では、たんこぶが治らない原因や見分け方、病院に行くべきサイン、そして正しいケア方法を詳しく解説します。
たんこぶが治らないのはなぜ?主な原因を徹底解説
たんこぶは、頭部の毛細血管が衝撃によって破れて内出血し、皮下に血液やリンパ液が溜まることで生じます。通常は数日から1週間ほどで吸収され、自然に小さくなります。しかし、治らない場合には以下のような原因が考えられます。
① 血腫(けっしゅ)が残っている
強い衝撃を受けた場合、皮下や筋肉の間に血液が溜まり「血腫」となることがあります。血腫は自然吸収に時間がかかるため、数週間~数か月たっても硬いしこりが残ることがあります。押すと痛みがあったり、腫れが熱を持っていたりする場合は、医療機関での診察が必要です。
② 感染や炎症が起きている
たんこぶ部分に細菌が入ると、炎症を起こして赤みや痛み、熱感を伴います。これが「膿瘍(のうよう)」に発展すると、自然治癒は難しく、膿を出す処置が必要になることもあります。腫れが徐々に大きくなったり、ズキズキとした痛みが強くなるときは注意が必要です。
③ 頭蓋骨内の損傷がある
見た目は軽い打撲でも、強い衝撃の場合は頭蓋骨や脳にダメージを受けていることがあります。特に、頭痛、吐き気、めまい、意識もうろうなどの症状を伴う場合は、「硬膜下血腫」などの頭蓋内出血の可能性があります。すぐに救急外来を受診しましょう。
④ 良性または悪性の腫瘍
たんこぶのように見えて実は「脂肪腫」や「粉瘤(ふんりゅう)」などの良性腫瘍、まれに悪性腫瘍であるケースもあります。しこりが何か月も変わらず残り、痛みがない、または徐々に大きくなっている場合は、皮膚科や形成外科で検査を受けることをおすすめします。
たんこぶが治らないときに見られる危険なサイン
たんこぶが長引く場合、次のような症状があるときは要注意です。
- 腫れが1週間以上続く
- 痛みや熱感が強まる
- 吐き気・頭痛・めまいがある
- 腫れがどんどん大きくなる
- 色が紫から黒っぽく変化する
- しこりが硬く、動かない
これらのサインは、内部で出血が続いていたり、感染・炎症が悪化している可能性があります。自己判断せず、早めに医療機関を受診することが大切です。
たんこぶの正しい応急処置とケア方法
① 冷やす(受傷直後~48時間以内)
頭をぶつけた直後は、内出血と腫れを防ぐために「冷却」が最も重要です。タオルで包んだ保冷剤や氷を15~20分程度、1時間おきにあてて冷やします。直接氷を肌に当てると凍傷の恐れがあるため注意しましょう。
② 安静にして様子を見る
腫れや痛みが落ち着いてきたら、安静を保ちながら経過を観察します。睡眠時に枕を少し高くして、血流が頭に集まりすぎないようにすると、腫れの引きが早くなります。
③ 温める(48時間以降)
2日以上経っても腫れが残っている場合は、血液の循環を促すために温めると効果的です。蒸しタオルを使って軽く温めると、血液が吸収されやすくなります。ただし、痛みや熱感が強い場合は温めないようにしましょう。
たんこぶが治らない場合に受診すべき診療科
頭痛や吐き気を伴う場合は脳神経外科
頭部打撲後に頭痛、吐き気、めまい、ぼんやりするなどの症状がある場合、脳内出血の可能性があるため、脳神経外科を受診するのが適切です。CTやMRIで内部の状態を確認できます。
しこりが長引く場合は皮膚科または形成外科
たんこぶが数週間経っても消えず、硬さが残る・しこりが動かない場合は、皮膚科や形成外科で検査を受けましょう。エコー(超音波検査)で血腫や腫瘍の有無を調べられます。
子どものたんこぶが治らないときの注意点
子どもは転倒や頭をぶつけることが多く、たんこぶもよく見られます。しかし、次のような場合はすぐに医師の診察を受けましょう。
- 頭を強く打ったあとに泣き止まない
- 顔色が悪く、ぐったりしている
- 吐いたり、意識がぼんやりする
- たんこぶがどんどん大きくなる
小児の場合、症状の変化が早いため、自己判断は危険です。打撲直後は安静にし、数時間は親がしっかり様子を見ることが重要です。
高齢者のたんこぶが治らないときのリスク
高齢者は血管がもろく、また抗血栓薬(血をサラサラにする薬)を服用していることが多いため、軽い打撲でも内出血が広がりやすいです。時間が経ってから「慢性硬膜下血腫」となり、数週間後に症状が出るケースもあります。頭を打ってしばらくしてから歩行が不安定になったり、言葉が出にくくなった場合は、すぐに脳神経外科を受診しましょう。
たんこぶが治らないときにしてはいけないこと
- 無理に押したり揉んだりする
- 針で刺して血を抜こうとする
- 自己判断で温めすぎる
- 長時間放置する
これらの行為は、感染や悪化の原因になります。特に「押すと痛い」「熱を持っている」場合は、細菌感染のリスクがあるため、医師による処置が必要です。
たんこぶが治らない状態を防ぐための予防策
- 頭をぶつけやすい環境を避ける
- 帽子やヘルメットを着用する(自転車・スポーツ時)
- 子どもには安全対策を徹底する
- 打撲時は早めに冷却して腫れを抑える
また、血流や代謝を良くする食生活も回復を助けます。たんこぶの治りを早めるためには、ビタミンC・ビタミンK・タンパク質を意識して摂ると良いでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1. たんこぶが1か月以上治らないのは普通ですか?
A. 通常のたんこぶは1〜2週間ほどで自然に小さくなります。1か月以上変化がない場合は、血腫や腫瘍の可能性があるため、皮膚科または形成外科を受診しましょう。
Q2. 押すと痛いのですが、冷やすべきですか?
A. 受傷から2日以内なら冷やすのが効果的です。それ以降は温めて血流を促す方が早く治ります。痛みが強まる場合は冷却を続けて様子を見てください。
Q3. しこりが硬くて動かないのは危険ですか?
A. 動かないしこりは、血腫が固まったものか腫瘍である可能性があります。長期間変化がない場合は、早めに検査を受けましょう。
Q4. 病院ではどんな検査をしますか?
A. たんこぶの状態に応じて、エコー、CT、MRIなどで内部を確認します。必要に応じて血液検査や病理検査を行うこともあります。
Q5. 子どものたんこぶはすぐ病院へ行くべき?
A. 軽いものなら経過観察で構いませんが、泣き止まない、吐く、意識がぼんやりするなどの症状があればすぐ受診してください。
Q6. たんこぶがかゆくなったり赤くなるのは?
A. 感染や炎症が起きている可能性があります。放置すると膿が溜まることもあるので、皮膚科で診てもらいましょう。
まとめ
たんこぶが治らない場合、その裏には血腫、感染、腫瘍、頭蓋内損傷などの原因が潜んでいることがあります。特に「痛みが強い」「腫れが大きくなる」「1週間以上変化がない」ときは、早めに医療機関を受診することが大切です。無理に触らず、冷却と安静を基本に正しいケアを行うことで、症状の悪化を防ぎましょう。
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