日産エクストレイルT33は、本当に完成度の高いSUVなのか?
先に結論を言えば、かなり良くできている。特にe-POWERの走り、e-4ORCEの安定感、静かな室内は、普通のガソリンSUVとは明らかに違う魅力がある。
しかし、「エクストレイルなら何でも満足できる」と考えて買うと危ない。
車両価格はすでに400万円を超え、上位グレードでは500万円が見えてくる。しかも、車体は全幅1840mmと決して小さくない。それなのに、燃費や3列目シートまで全部完璧かと言われれば、そうでもない。
T33は万能SUVではない。
ただし、自分が何を重視するかを理解したうえで選ぶなら、かなり魅力の強い一台だと私は感じている。
2026年9月には一部仕様変更も行われ、Xグレードのリモコンオートバックドア標準化など、細かな弱点も改善されている。
今回は、日産エクストレイルT33モデルの良い点と改善点を、走行性能、e-POWER、e-4ORCE、内装、荷室、燃費、価格などから整理していく。
日産エクストレイルT33モデルとは?
T33は2022年に登場した4代目エクストレイル
T33型エクストレイルは、日本では2022年に登場した4代目モデルだ。
従来のエクストレイルが持っていた「アウトドアで使えるSUV」という方向は残しつつ、T33では高級感と電動化がかなり強くなった。
現在の大きな特徴は、第2世代e-POWERとVCターボエンジンの組み合わせだ。
e-POWERでは、ガソリンエンジンが直接タイヤを駆動するのではなく、基本的に発電を担当し、モーターで走る。このためアクセルを踏んだときの反応が速く、電気自動車に近い感覚を味わえる。
4WDモデルには、前後のモーターを細かく制御する「e-4ORCE」も採用されている。
2025年のマイナーチェンジではデザインも変更され、Google搭載のNissanConnectインフォテインメントシステムや、3Dビュー対応のアラウンドビューモニターなども導入された。
昔の「道具として使うエクストレイル」と比べると、かなり上級志向になったと言っていい。
エクストレイルT33の良い点
良い点1:e-POWERの加速がとにかく自然
T33で最初に評価したいのは、やはりe-POWERだ。
フロントモーターは最高出力150kWで、モーターらしい太いトルクを低い速度から使える。
そのため、信号から発進するときや、バイパスへ合流するときに扱いやすい。
大きなSUVなのに、「重い車をエンジンで頑張って動かしている」という感じが薄い。
アクセルを少し踏めば、スッと前に出る。
この感覚はT33の大きな魅力だ。
速さだけを求めた車ではない。しかし、普通に走る場面で十分な余裕がある。この「頑張らなくても速い」という感覚は、長く乗るほどありがたいはずだ。
日産も現行エクストレイルでVC-TURBOと高出力モーターを組み合わせたe-POWERを採用している。 日産公式「エクストレイル 走行・安全」
良い点2:e-4ORCEは雪道だけの装備ではない
4WDのe-4ORCEというと、「雪国向けでは?」と思う人もいるだろう。
私はそれだけで考えるのはもったいないと思う。
e-4ORCEは前後のモーターを制御しながら、発進、加速、カーブなどで車の動きを整える仕組みだ。
特にT33のように車体が大きく、重量もあるSUVでは、この安定感が効いてくる。
雨の日、高速道路、山道などでも運転しやすい。
もちろん、雪道でも大きな安心材料になる。
だが、本当の良さは「悪路を走れる」という一点ではなく、普段の運転でも車の姿勢が落ち着いていることだ。
運転がうまくなったように感じるかもしれない。
実際には車側がかなり働いている。それでいいのだ。
良い点3:SUVとしてかなり静か
T33は静粛性も大きな長所だ。
e-POWERはモーターで走るため、低速ではエンジン車より滑らかに感じやすい。
街中をゆっくり走っていると、車体の大きさから想像するより静かだ。
この静かさは、高級感にも直結する。
シートやダッシュボードを豪華にしただけでは、高級車らしい感覚にはならない。ロードノイズ、振動、エンジン音などが大きければ、一気に安っぽく感じてしまう。
T33はその部分がかなり丁寧だ。
BOSE Premium Sound Systemもメーカーオプションとして用意されており、9スピーカー構成になっている。静かなe-POWERとの相性はかなり良い。
良い点4:内装の質感が昔のエクストレイルとは別物
T33の内装を見て、「エクストレイルもここまで来たか」と感じる人は多いはずだ。
特にGグレードは、かなり上質に仕上げられている。
木目調フィニッシャーなども用意され、アウトドアSUVというより、プレミアムSUVに近い雰囲気になった。
そして2025年以降のモデルでは、Google搭載のNissanConnectインフォテインメントシステムが大きい。
Googleマップを車載システムから使えるほか、Googleアシスタントを利用して、ルート検索やエアコン操作なども行える。
スマートフォンを毎回接続しなくても、車そのものがネットにつながった端末のように使える。
こういう部分は毎日使う。
派手ではないが、長く乗ったときの満足度にはかなり影響する。
良い点5:荷室が広くアウトドアにも使いやすい
高級感が増しても、エクストレイルらしい実用性は残っている。
2列シート車の荷室容量は575L。
セカンドシートを倒していない状態でもかなり広く、日産によれば9.5インチのゴルフバッグを4個収納できるとしている。
さらにセカンドシートは4:2:4分割。
中央部分だけ倒して長い荷物を積む、といった使い方もできる。
キャンプ、旅行、スポーツ用品、買い物。
このあたりを一台でこなせるのは強い。
「SUVなのに荷室がデザイン優先で狭い」という車もあるが、T33はそこまで割り切っていない。
エクストレイルを選ぶ意味がきちんと残されている。
エクストレイルT33の改善点
改善点1:価格はもう完全に高級SUVクラス
最大の弱点は、やはり価格だろう。
2026年9月時点のメーカー希望小売価格は、2WDのXでも409万2000円。
Gは465万3000円、G e-4ORCEでは495万円となる。3列シートのX e-4ORCEも452万1000円だ。
ここにメーカーオプションやディーラーオプションなどを追加すれば、支払総額はさらに上がる。
500万円という金額になると、購入者の要求も厳しくなる。
「エクストレイルだから多少安っぽくてもいい」という価格帯ではない。
走りや内装の完成度は高くなった。
しかし、同時に価格も高くなった。
この点は購入前に冷静に見るべきだ。
改善点2:e-POWERでもエンジン音は完全には消えない
e-POWERはモーター駆動だが、EVではない。
電気を作るためにガソリンエンジンが動く。
ここを勘違いすると不満が出やすい。
市街地を静かに走っていると非常に快適なのだが、大きく加速するときや電力が必要な場面ではエンジンが回る。
普段が静かなだけに、エンジンが動いたときの音が逆に気になることがある。
これはe-POWERという仕組み上、ある程度仕方がない。
ただ、T33の価格を考えると、さらに発電時の音や振動を抑えてほしいという気持ちは残る。
静かだからこそ、少しの音が目立つ。
贅沢な不満だが、500万円近いSUVなら求めたくなる部分でもある。
改善点3:燃費だけを目的に買う車ではない
「e-POWERだから燃費も圧倒的に良いだろう」と思うと、少し期待が大きすぎる。
日産が公表する現行モデルのWLTCモード燃費は、仕様によっておおむね17km/L台後半から19km/L台となっている。
車体サイズや重量を考えれば十分立派だ。
ただし、小型ハイブリッド車のように20km/L後半や30km/L近くを狙う車ではない。
T33のe-POWERで得られる最大のメリットは、燃料代を限界まで下げることではないと私は思う。
モーターの反応、静かさ、滑らかさ。
そこに燃費の良さも付いてくる。
この順番で考えた方が納得しやすい。
改善点4:全幅1840mmは日本ではやはり大きい
T33は全幅1840mmある。
数字だけなら最近のSUVでは珍しくない。しかし、日本の駐車場へ持っていくと話が変わる。
狭いスーパーの駐車場、古い立体駐車場、住宅街。
こうした場所では、やはり気を使う。
ドアミラーを開いた状態では幅が約2065mmになる。
アラウンドビューモニターがあるので駐車はかなり楽になるが、車体そのものが小さくなるわけではない。
2025年以降は3Dビューにも対応し、周囲を確認しやすくなった。これは非常に便利だ。
それでも、自宅駐車場が狭いなら必ず実車で確認した方がいい。
スペック表の1840mmと、自宅で毎日扱う1840mmは別物だ。
改善点5:3列シートはミニバンの代わりにはならない
T33には7人乗りの3列シート仕様も存在する。
家族が多い人には魅力的に見える。
ただし、3列目を日常的に大人が使うなら、購入前に実際に座って確認するべきだ。
エクストレイルはあくまでSUVだ。
3列目を広くすることを最優先に設計された大型ミニバンではない。
「たまに6人、7人で移動する」という使い方なら便利だが、「いつも7人で長距離移動する」という目的なら話は変わる。
3列目があることと、3列目が快適であることは同じではない。
ここはカタログだけで決めない方がいい。
2025年・2026年改良後のT33はかなり完成度が上がった
T33は2022年の登場から、そのまま放置されている車ではない。
2025年9月にはマイナーチェンジが行われ、外観デザインを変更。Google搭載NissanConnectや、3Dビュー機能付きアラウンドビューモニターなどが追加された。
さらに2026年9月3日の一部仕様変更では、Gグレードの19インチアルミホイールやブラック化されたルーフレール・ドアミラー、Xグレードのブラックホイールなどが採用された。
Xにはリモコンオートバックドアも標準装備されている。
初期T33と比べると、使い勝手や装備面では確実に成熟してきた。
中古車を選ぶ場合は、「T33なら全部同じ」と考えない方がいい。
年式によって装備が違うからだ。
特にナビやGoogle搭載機能、アラウンドビューモニター周辺を重視するなら、2025年マイナーチェンジ以降はかなり魅力が大きい。
エクストレイルT33はどんな人に向いている?
走りと快適性を重視する人にはかなり合う
T33を選ぶ価値が大きいのは、単純に燃費が良いSUVを探している人ではない。
静かで滑らかな走りがほしい。
高速道路を楽に走りたい。
雨や雪の日でも安定感がほしい。
荷物をたくさん積みたい。
さらに内装にも少し高級感がほしい。
こういう条件が重なる人には非常に合っている。
特にe-4ORCEは、スペック表だけでは魅力が分かりにくい装備だ。
だが、SUVを長距離で使うなら、この安定感は大きなメリットになる。
プロパイロットも、高速道路や自動車専用道路での長時間走行を支援し、ナビリンク機能ではカーブなどに合わせた減速もサポートする。
長距離移動が多い人ほど、T33の良さを感じやすいだろう。
まとめ
日産エクストレイルT33の良い点は、モーターならではの滑らかなe-POWER、e-4ORCEによる安定した走行性能、静粛性、上質になった内装、575Lの広い荷室などだ。
特に「走っている時間の快適さ」はかなり強い。
一方で、改善してほしい部分もある。
400万円を超える価格、発電時のエンジン音、車体の大きさ、燃費への過度な期待、3列目の使い方などは購入前に理解しておくべきだ。
T33は安いSUVではない。
燃費だけで選ぶ車でもない。
しかし、モーター駆動の気持ちよさ、SUVとしての実用性、高速道路での快適性、上質な室内を一台にまとめたいなら、かなりよくできている。
私はT33の一番の価値は、派手な装備の数ではなく「普通に運転している時間が楽になること」にあると思う。
毎日の通勤でも、旅行でも、雪道でも、荷物を積んだ休日でも使える。
完璧ではない。
それでも、弱点を理解したうえで選べば、T33は今の日産を代表するSUVの一台と言っていいだろう。

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