Throws SPAM Awayは、日本語を含まないコメントを、エラー画面すら出さずに破棄する。公式の説明にそう書いてある。送った側には、届かなかったという手応えさえ残らない。
海外から届くコメントスパムに悩むサイトなら、この割り切りは魅力的に見える。ただし、日本語が混ざったスパムは日本語チェックでは止まらないという裏返しもある。合うサイトと合わないサイトの分かれ目は、スパムの書き方と、読者のコメントの言語にある。確認日は2026年10月30日。
Throws SPAM Awayは何をするプラグインか
日本語の文字がなければ捨てる
判定の軸は、ひらがな・カタカナ・漢字のどれかが入っているかどうかだ。入っていなければブロックされる。ブロックされたコメントはエラーページを出さずに破棄され、閲覧者は元の投稿ページに戻るだけになる。この判定は、設定でON・OFFを切り替えられる。
WordPress.orgの公式ページも、日本語を含まない投稿はブロックされると説明している。判定の中で最も単純なのが、この日本語チェックである。
日本語チェック以外の4つの判定
公式ページには、日本語チェックのほかに4つの判定が載っている。
| 判定 | 中身 |
|---|---|
| NGキーワード | 複数のNGキーワードをカンマ区切りで設定する。含む投稿は同じように破棄される |
| リンク数 | 「http」を含むURLの数で判定する。上限の初期値は3 |
| ダミー入力欄 | 人間の目には見えない入力欄を置き、スパムボットを見分ける。設定でON・OFFを切り替えられる |
| IPアドレス | 指定したIPアドレスからの投稿を、スパムとして処理する |
NGキーワードとIPアドレスは、自分で値を決めて入れる判定だ。入れなければ働かない。初期状態でどの判定が有効になっているかは、公式ページの説明からは読み取れない。導入したら、設定画面を一度開いて確かめたい。
配布の状況
公式ディレクトリでは、バージョン3.9、有効インストール数は1万以上、WordPress 6.0以降で動き、7.1.4まで動作確認済みと表示されている(2026年10月30日確認)。作者は「ウェブ屋のさとーさん」。
Akismetとの役割の違い
Akismetは見分けて隔離する
Akismetは、サイトに届いたコメントをすべてチェックし、スパムのグローバルなデータベースと照合する。スパムに見えるものはフィルターされ、コメント管理画面で中身を確認できる。各コメントにはステータス履歴が残るので、Akismetが止めたのか、管理者が判定したのかもあとから追える。
最悪のスパムをしっかり止める破棄機能もある。公式ページは、ディスクの節約とサイトの高速化につながると説明している。
導入のとき、Akismet.comのAPIキーの取得を求められる。公式ページによると、このキーは個人ブログでは無料で、企業や商用サイトには有料のサブスクリプションがある。
2つを並べる
| 項目 | Throws SPAM Away | Akismet |
|---|---|---|
| 判定の軸 | 日本語の有無、リンク数、NGキーワード、ダミー入力欄、IPアドレス | スパムのグローバルなデータベースとの照合 |
| 止めたコメント | 破棄される | 多くは管理画面で確認できる(最悪のスパムは破棄も選べる) |
| 誤判定のとき | 戻す場所は、公式の説明に書かれていない | 履歴を見て、判定を変えられる |
| 費用 | 公式ディレクトリで配布されている | 個人ブログは無料。企業・商用は有料 |
違いを一言で言えば、Throws SPAM Awayは捨てる側、Akismetは見分けて残す側だ。手間は前者のほうが少ない。その代わり、誤判定を拾い直す手段は、公式の説明に書かれていない。
導入前に知っておきたい3つの弱点
日本語を含むスパムは通る
日本語チェックは、文字の種類を見るだけの仕組みだ。日本語が混ざったスパムは、この判定では止まらない。そうしたコメントに働くのは、リンク数、NGキーワード、ダミー入力欄、IPアドレスの判定のほうである。
外国語の正規のコメントも消える
英語だけで書かれた、まっとうなコメントも、日本語を含まないという理由で破棄される。しかも破棄したことを投稿者や管理者に知らせる仕組みは、公式の説明に書かれていない。海外の読者を想定したページや、英語記事のあるサイトには向かない。
アクセス自体は止まらない
破棄は、コメントが送られてきたあとの処理にあたる。送信そのものを防ぐ仕組みではない。紹介ブログも、この点をはっきり書いている。
ただ、スパムコメントがスルーされたとしても、ツールなどからWordpressのcomments.phpにアクセスが来て、投稿動作が行われているのは変わりがありません。
出典:WordPressのスパムコメント数を12812→0にした方法(わいひら、寝ログ、2014年12月1日、https://nelog.jp/spam-comment-0)
コメント欄がきれいになることと、サーバーへの送信が減ることは別の話である。管理画面から見えるスパムの数だけを成果の物差しにすると、見誤る。
WordPress標準の設定でも減らせる
プラグインを足す前に、設定の「ディスカッション」を見ておく価値がある。WordPress公式のドキュメントは、スパムを減らす項目として次のものを挙げている。
- コメントに含まれるリンクの数が、設定した数以上なら、承認待ちにする
- 一定の日数より古い投稿のコメントを自動で閉じる。公式は、スパムを抑える方法の一つとしている
- 過去に承認されたコメントのある人だけ、すぐ表示する
- 特定の語句やIPアドレスを指定して、該当するコメントを自動で振り分ける(コメント禁止ワード)。振り分け先は、設定画面のこの欄の説明で確かめたい。
コメント管理画面の「スパム」には、スパムと判定されたコメントが入る。本物のコメントが紛れていたら、「スパムではない」で戻せる。ゴミ箱に入れたコメントは、30日たつと完全に削除される。
標準の設定でも拾いきれないとき、専用のプラグインの出番になる。順番は、設定の見直しが先、プラグインが後だと考える。
どれを選ぶか
| 状況 | 向いている手段 |
|---|---|
| 日本語だけのサイトで、外国語のスパムが中心 | Throws SPAM Away。標準のディスカッション設定と合わせる |
| 海外の読者の英語コメントも受けたい | 日本語チェックをOFFにして、ほかの判定を使う。またはAkismet |
| 止めたコメントをあとから確認したい | Akismet |
| 日本語を混ぜたスパムも多い | Akismetを軸にして、標準の設定で補う |
2つを併用することもできるかもしれないが、併用の注意は公式ページに書かれていない。入れたあとにコメント欄の動きを確かめてから、判断したほうが安全だ。
まとめ
Throws SPAM Awayは、日本語のサイトを狙う外国語のスパムを、届いた時点で捨てる。管理の手間は減る。その代わり、誤判定を拾い直す手段は公式の説明になく、日本語を混ぜたスパムは日本語チェックをすり抜け、サーバーへの送信も止まらない。
次の一歩は、導入より先に、過去のコメントを見返すことだ。外国語の正規のコメントが一件でも混ざっていれば、日本語チェックは使いにくい。ゼロなら、このプラグインの割り切りは、そのまま武器になる。
参考にした公式ページ(2026年10月30日確認):Throws SPAM Away(WordPress.org)、Akismet Anti-spam(WordPress.org)、Comments in WordPress(WordPress公式ドキュメント)

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