耳鳴りキーンとなる原因•理由は?病気の予兆?

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たまに「キーン」や「ピー」といった耳鳴りが聞こえ、不快に感じたことはありませんか?
一般社団法人 日本補聴器工業会の調査によると、耳鳴りを感じたことがある人は20~30%にも及びます。
この耳鳴り、いままで気にならなかったという人もちょっと注意してみてください。
実は、病気の初期症状の可能性があるのです。
今回は、耳鳴りのメカニズムや症状の改善法、睡眠との関係をご紹介します。

目次

耳鳴りはなぜ起こる原因・理由は?

そもそも、人間は音をどのようにして聞いているのでしょうか。実は音を認識しているのは、耳ではなく、「脳」です。まずは、音を聞く仕組みを理解してから、耳鳴りが起こるメカニズムを探りましょう。

なぜ「音」は聞こえる?

耳は、「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」という3つの部位から構成されています。

  • 外耳…耳の入り口。耳介(じかい)(※)、外耳道(※)からなり、音を集めて中耳に伝える役割を持つ。音は外耳道の奥にある鼓膜が振動し、中耳に伝えられる。
  • 中耳…鼓膜の奥にある空間で、鼓膜と最も耳の内側にある内耳をつなぐ部分。音を増幅させて振動に変換し、内耳に伝える。
  • 内耳…中耳で受けた音の振動を電気信号に変え、脳に伝える役割をする。

音は、「外耳→中耳→内耳」の順に伝わり、内耳で電気信号に変換されて脳に伝えられます。つまり、電気信号が脳へ伝わって初めて、音として認識されているのです。
※耳介:皮膚と軟骨より形成される扇状の構造物で、私たちが「耳」と呼んでいる部位。
※外耳道:耳介で集められた音が通る道。突き当たりに鼓膜がある。

「耳鳴り」が起こるメカニズム

耳鳴りが起こるメカニズムはまだ全面的に明らかになったわけではありませんが、以下のようなことが考えられています。
耳の構造と同様、耳鳴りが発生するメカニズムは、「音が脳にどのように届いているか」という仕組みと関係があります。
耳鳴りは「音が聞こえにくくなった時、音を聞こうとして脳が過度に興奮して起こる症状」と考えられています。
音が聞こえにくいと、内耳から脳に向かう電気信号が届きづらくなります。脳に向かう電気信号が届きづらい状態だと、脳は過度に興奮状態となり、弱くなった電気信号を強化しようとします。
すると、電気信号が増幅し、耳鳴りとして聞こえる、という仕組みが考えられています。
他にも、内耳の細胞に何らかの障害が出ることが原因とする説もあります。

耳鳴りの症状とは

耳鳴りはその日の体調や精神状態によって、聞こえ方や感じ方が変わります。
また、同じ耳鳴りの症状でも、気にする人とあまり気にしない人で個人差があります。重症度も、全く気にならない軽度のものから、体調を崩したり気分が憂うつになったりしてしまう重度のものまで様々です。
耳鳴りは、自分が気にしているだけなのか、症状が重いのか判断しづらい点があります。自分が今どのような状態なのか段階を確認してみましょう。

□第1段階 ほとんど気にならない
つねに耳鳴りを感じるというわけではなく、ごくたまに気になるときがあるくらいで、日常生活への支障はない。
□第2段階 周りが静かだと気になる
つねに耳鳴りを感じるが、何かに集中しているときは忘れてしまう。日常生活に支障はないが、静かな場所では気になってしまう。
□第3段階 つねに気になって集中できない
つねに耳鳴りが気になって、仕事や家事などに集中できず、ストレスを感じる。夜もなかなか寝つけない。
□第4段階 終始悩まされ、夜も眠れない
つねに強い耳鳴りがつきまとって、日常生活に大きな支障をきたす。睡眠不足や強いストレスに悩まされ、苦痛の程度がいちばん高い。

出典:『明解! あなたの処方箋 最新版 本気で治したい人のめまい・耳鳴り』(石井正則)学研

段階が進むほど、耳鳴りの症状だけではなく、精神状態も悪くなっている可能性があります。耳鳴りの症状がある人は、毎日チェックしましょう。耳鳴りの症状が体調や気分によって左右されている可能性があるので、継続して症状を記録しておけば、医師に相談しやすくなります。
重度の耳鳴りが続くと、不眠になったりうつ病になったりする可能性があります。また、耳鳴りをそのままの状態にすると、同時に症状を引き起こしている原因となる病気も放置することにもなります。チェックの結果にかかわらず、ご自身の症状に不安がある方は専門医に相談しましょう。

耳鳴りを引き起こす要因とは?

耳鳴りの多くは、何らかの難聴にともなって発生しています。
難聴の人の約50%が耳鳴りを訴えます。
一方、耳鳴りを感じている人の90%に、何らかの難聴の症状が認められます。
こうした場合、原因となる難聴が改善されると耳鳴りもおさまることがあり、病気が原因で耳鳴りを発症しているケースもしばしばあると言えます。
耳鳴りの要因は日常生活の行動や加齢が原因となる場合と、病気が原因になる場合と2種類あります。

耳鳴りの要因:日常生活・加齢

難聴は、携帯電話の使用や加齢などが原因となりやすく、誰にでも起きうるものなので注意が必要です。

携帯電話の使用

最近世界的に耳鳴りが増えているとされ、その原因に携帯電話の高周波が挙げられています。
最近の研究では、携帯電話で耳鳴りのリスクが70%も上がるとの報告もあります。

加齢による難聴・騒音性難聴

加齢によって内耳の蝸牛(かぎゅう)の神経細胞が老化します。細胞が老化すると機能が低下したり壊れたりして、音の振動を電気信号に変えられなくなる「難聴」の状態になります。
すると、脳が電気信号を受け取ろうと聴神経の感度を上げ、本来受け取らなくてもいいはずの電気信号まで受け取ってしまいます。
これによって、音がしていないのに音だと感じてしまう耳鳴りが起きるのではないか、と言われています。
補聴器をつけると、難聴の状態も緩和され、耳鳴りが改善されることがあります。
また騒音性難聴は、騒音下での職業など、騒音によって内耳の細胞が傷つき、難聴の状態になることを言います。
一定期間以上大きな音を聞き続けた結果内耳の細胞が傷つく場合と、ロックコンサートなどを聞いた後に急に起こる「音響外傷」によって起こる難聴があります。

耳鳴りの要因:病気

耳鳴りで病院を訪れる患者さんの大部分は、何らかの難聴をともなうと報告されています。
ですから、耳鳴りを自覚した場合は、まずは耳鼻科を受診して、鼓膜や聴力の検査を受けた方が良いでしょう。
以下に、耳鳴りを引き起こす病気についてまとめました。

突発性難聴

ある日、突然音が聞こえなくなるという病気。まれに両耳に発症することもありますが、大抵は片耳のみに起こります。
徐々に聞こえなくなるのではなく、はっきり「聞こえない」と自覚するのが特徴です。
耳鳴りも症状の一つとして現れます。
詳しい原因は明らかになっておらず、放置すると、聴力が元に戻らなくなる恐れがあります。

メニエール病

睡眠不足や過度なストレスなどが原因で、内耳の中に水ぶくれができた状態になる病気です。
耳の中が詰まっているように感じ、強い耳鳴りが出たり難聴になったりします。
また、ぐるぐる回る回転性のめまいを繰り返し起こすのもの特徴のひとつです。

急性低音障害型感音難聴

急性低音障害型感音難聴は、急に低い音が聞こえにくくなる難聴のことを言います。
メニエール病と同じく、内耳の中のリンパ液が多くなりすぎた状態で起きると考えられています(メニエール病の一種で、めまいのないものとも言えます)。
20~40代の女性に増えている難聴で、耳が詰まった感じや耳鳴りによって違和感をもちます。

ハント症候群

帯状疱疹(たいじょうほうしん)ウイルスへの感染が原因です。片方の顔面神経が麻痺し、耳の周囲にかゆみや痛みを伴う水疱が複数できる病気です。
片方の耳たぶの先端周辺が赤くなり、耳の周囲に強い痛みが出たり、頭の片側だけ痛くなったりすることもあります。
体力が低下しているときや、ストレスで抵抗力が弱まっているときにかかりやすいとされています。

外耳炎や外耳道膿瘍(がいじどうのうしゅ)など

耳かきで耳の中をひっかくなどして、傷ついた場所から細菌などが入り込んで起こる炎症です。
耳の中にかゆみや痛みが生じるとともに、異物感や詰まった感じがあり、耳鳴りを伴うことがあります。

中耳炎

中耳炎は、大きく分けて3種類あります。
急性中耳炎と滲出性(しんしゅつせい)中耳炎、真珠腫性中耳炎の3種です。
風邪が原因の急性中耳炎は、耳が詰まった感じや耳鳴りの症状が出て、通常は自然に治りますが、改善しないままなのに放置すると耳だれの症状が出る滲出性中耳炎になり、治りにくくなります。
さらに症状がひどくなると、鼓膜に穴があき、皮膚組織が中耳に入り込み、骨を破壊しながら増殖する真珠腫性中耳炎を引き起こすこともあります。

内耳炎

内耳の周囲から、細菌やウイルスに感染して起きる病気で、めまい、難聴、耳鳴りが起こります。
慢性中耳炎を患った人で、急なめまいや難聴が起こった場合はすぐ医療機関を受診することが重要です。
外耳炎、中耳炎よりも聴力を失う危険性の高い病気だといわれています。

聴神経腫瘍・脳腫瘍

聴神経腫瘍は、聴神経の周りにあるシュワン細胞と呼ばれる細胞から発生する良性の腫瘍のことです。
脳腫瘍は脳の中にできる腫瘍で、聴神経腫瘍・脳腫瘍のどちらも頻度は多くありませんが、携帯電話を使う人は使わない人よりも2~5倍多く、めまいや難聴、耳鳴りの原因になります

動脈硬化による脳循環障害や脳卒中

脳循環障害は、何らかの理由で、血管が脳組織の酸素や栄養を送り、老廃物を回収する「血管と脳組織の連携作業」がうまくいかなくなってしまった状態のことを言います。
障害が起こる場所によって様々な症状がありますが、音を感じる部分の脳に障害があれば、耳鳴りが起きることもあります。
これらの病気はセルフケアでは改善できないため、症状があればすぐに病院へ行きましょう。
病院に行く際には自分の耳鳴りの状態をきちんと把握し、正確に医師に伝えることが大切です。
耳鼻咽喉科の問診でよくきかれる項目を以下にご紹介します。これらの質問項目を参考にして、症状を詳細に説明できるように準備しておきましょう。
耳鳴りの症状をきちんと医師に伝えられると、病気の早期発見につながります。

耳鼻咽喉科での問診の主な項目

  1. 耳鳴りの場所(左右どちらか、両耳、頭蓋内、など)
  2. 耳鳴りの種類(1種類か、複数種類聞こえるか)
  3. 耳鳴りはどんな音か(「キーン」、「ジーン」など)
  4. 耳鳴りの音の高さ(高い音、低い音など)
  5. 耳鳴りの音の質(澄んだ音、濁った音か)
  6. 耳鳴りの大きさ
  7. 耳鳴りがどのくらい続くか(持続時間)
  8. 耳鳴りをどれくらい苦痛に感じるか
  9. その他の特徴(脈を打つような音として聞こえる、耳鳴りで眠れない、など)
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