結婚や離婚、養子縁組、あるいは家庭裁判所での改名申立てなど、苗字を変える理由は人それぞれです。しかし、実際に苗字を変えるとなると、「どんな手続きが必要なのか」「どこで申請すればいいのか」「書類は何を用意すればいいのか」など、わからないことが多いですよね。この記事では、「苗字 変える 必要な手続き」というテーマで、苗字変更の全体像をわかりやすくまとめます。結婚・離婚・改名・養子縁組といったシーン別に、必要な書類、届出先、注意点まで徹底的に解説します。
苗字を変える方法は4つある
苗字を変更する方法は大きく分けて次の4つです。
- 結婚による改姓
- 離婚による改姓
- 家庭裁判所の許可による改名(やむを得ない理由)
- 養子縁組による改姓
それぞれの方法によって、必要な書類や手続きの流れが異なります。以下で詳しく見ていきましょう。
結婚による苗字変更の手続き
結婚の際、どちらかの姓を選ぶことができます。日本では、夫婦どちらかの苗字を「婚姻届」に記入して提出することで、結婚と同時に苗字が変わります。
必要な手続きと流れ
- 婚姻届を記入(氏の選択欄に注意)
- 役所に提出(本籍地または住所地)
- 戸籍の変更が完了
- 新しい苗字で各種手続き
提出先と期限
提出先は、全国どこの市区町村役場でもOKです。提出期限は特にありませんが、結婚日=婚姻届を提出した日となります。
変更後に必要な手続き
婚姻届が受理された後は、さまざまな名義変更を行う必要があります。
- 運転免許証
- パスポート
- 銀行口座
- クレジットカード
- 保険証
- マイナンバーカード
これらはすべて、結婚後速やかに変更しておくのが望ましいです。
離婚による苗字変更の手続き
離婚した場合、女性は婚姻中の姓をそのまま使うか、旧姓に戻すかを選択できます。男性も同様に、相手の姓を名乗っていた場合には旧姓に戻すことが可能です。
離婚届提出と同時に選択できる
離婚届の中に「婚姻前の氏に戻る」または「婚姻中の氏を称する」という欄があります。ここで「婚姻前の氏に戻る」にチェックを入れると、離婚と同時に旧姓に戻ります。
離婚後に苗字を戻す場合
もし離婚時に婚姻中の姓を選んでいても、離婚後3ヶ月以内であれば「復氏届」を提出して旧姓に戻すことができます。
提出先と必要書類
- 提出先:市区町村役場
- 必要書類:復氏届、本人確認書類、印鑑
養子縁組による苗字変更の手続き
養子縁組をすると、原則として養親の苗字を名乗ることになります。これは法律で自動的に変更されるため、特別な手続きは必要ありません。
養子縁組届の提出
養子縁組届を役所に提出することで、戸籍上の苗字が変わります。
必要書類
- 養子縁組届
- 戸籍謄本(本籍地以外に提出する場合)
- 養親・養子の本人確認書類
- 成年者2名の証人欄記入
養子縁組解消の場合
養子縁組を解消した場合、**原則として元の苗字に戻ります。**ただし、婚姻など他の理由で苗字が変わっている場合は、その姓を維持することもできます。
家庭裁判所の許可で苗字を変える手続き
結婚や離婚、養子縁組以外で苗字を変えたい場合は、家庭裁判所の許可が必要です。これを「氏の変更許可申立て」といいます。
苗字変更が認められる理由
家庭裁判所は、次のような「やむを得ない事由」がある場合に限り、苗字の変更を認めます。
- 社会生活上著しい不便がある
- 離婚後も子どもと同じ姓を名乗りたい
- 長年通称を使用しており、実生活に影響がある
- 苗字が珍しすぎて生活上困っている
手続きの流れ
- 家庭裁判所に申立書を提出
- 審理(書面または面談)
- 許可が下りたら役所に届出
必要書類
- 申立書
- 戸籍謄本
- 理由書
- 証拠資料(通称使用の証明など)
申立費用はおおむね**800円前後(収入印紙+切手代)**です。
未成年者の苗字を変える場合
未成年の子どもの苗字を変える場合には、親の判断だけではできません。家庭裁判所での「子の氏の変更許可」が必要です。
申立てできる人
子の親権者(通常は親)です。
許可の条件
- 離婚後、親と子の苗字をそろえたい場合
- 養子縁組によって親の姓が変わった場合
- 実生活で子どもが親と違う姓を名乗っており混乱している場合
手続きの流れ
- 家庭裁判所に「子の氏変更許可申立書」を提出
- 裁判所の審理(書面または面接)
- 許可が下りたら役所に届け出
苗字を変えた後に必要な手続き一覧
苗字変更が完了した後は、各種公的書類や契約の名義変更を行う必要があります。
手続き項目 | 提出先 | 備考 |
---|---|---|
運転免許証 | 警察署または運転免許センター | 新しい氏名を記載 |
パスポート | パスポートセンター | 新姓で再発行が必要 |
マイナンバーカード | 市区町村役場 | カード再発行手続き |
銀行口座 | 各金融機関 | 印鑑も変更する場合あり |
クレジットカード | 各カード会社 | 旧姓カードは使えなくなる |
保険証 | 勤務先または国保窓口 | 健康保険証を更新 |
年金手帳 | 年金事務所 | 届出書提出で更新可 |
住民票 | 自動的に変更反映 | 記載内容を確認 |
苗字変更にかかる期間と費用
- 期間の目安:婚姻・離婚・養子縁組の場合は即日~数日。家庭裁判所経由は1〜2か月ほど。
- 費用の目安:婚姻・離婚届は無料。家庭裁判所申立ての場合は収入印紙800円+切手代(数百円)。
苗字変更の注意点
- 手続き漏れに注意
名義変更を忘れると、口座やカードが使えなくなることも。リストを作って順に処理しましょう。 - 通称との混同に注意
仕事で旧姓を使う場合、職場や公的書類で使い分けを確認しておくことが大切です。 - 家庭裁判所での理由書は丁寧に書く
感情的な理由では認められないため、具体的な不便さや社会的影響を明確に示すことがポイントです。
よくある質問(FAQ)
Q1:苗字を変えるのに本人が行かないとダメですか?
A:基本的に本人が手続きを行いますが、委任状を作成すれば代理人でも可能な場合があります。
Q2:家庭裁判所で苗字を変えるのは難しいですか?
A:理由が明確で、生活に実害がある場合は比較的認められやすいですが、単なる好みでは難しいです。
Q3:離婚後すぐに旧姓に戻したくない場合は?
A:離婚時に婚姻中の姓を選択し、後日「復氏届」で旧姓に戻せます(3か月以内)。
Q4:結婚後に旧姓を使い続ける方法はありますか?
A:戸籍上は変更されますが、職場などで「通称使用」として旧姓を使うことが可能です。
Q5:子どもの苗字を変えたい場合の費用は?
A:家庭裁判所への申立て費用は800円程度です。弁護士を依頼する場合は別途費用がかかります。
Q6:苗字変更を家族に知られたくない場合は?
A:家庭裁判所での申立ては非公開で行われるため、基本的に第三者に知られることはありません。
まとめ
苗字を変えるための手続きは、結婚・離婚・養子縁組・家庭裁判所の許可の4つに分類されます。それぞれ手続きの流れや必要書類が異なるため、まず自分がどのケースに当てはまるかを確認することが重要です。特に家庭裁判所での改名は、社会生活上の理由が必要となるため、慎重に準備しましょう。
苗字を変えるというのは、単なる書類上の変更にとどまらず、生活のあらゆる場面に影響する重要な手続きです。しっかりと流れを理解し、スムーズに新しい生活をスタートさせましょう。
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