柔道やレスリングなどの格闘技を続けていると、耳が腫れたり、硬くなったりすることがあります。これは「耳介血腫(じかいけっしゅ)」と呼ばれる症状で、いわゆる「餃子耳」「カリフラワーイヤー」として知られています。
競技を続けるうちに耳が変形し、最終的に硬くなるこの症状は、見た目の変化だけでなく、聴力や健康への影響も考えられるため、気になる人も多いでしょう。本記事では、柔道やレスリングで耳がかたくなる原因や、治るのかどうか、さらに悪影響があるのかについて詳しく解説します。
耳がかたくなる原因:耳介血腫とは?
耳がかたくなる主な原因は「耳介血腫」という状態です。これは、外部からの繰り返しの衝撃によって耳の軟骨と皮膚の間に血液が溜まり、腫れや炎症を引き起こすものです。
柔道やレスリングでは、以下のようなシチュエーションで耳に衝撃が加わることが多く、耳介血腫になりやすい傾向があります。
- 相手の体に耳が強く押し付けられる
- 投げ技やタックルで耳を打つ
- ヘッドロックや絞め技で耳が圧迫される
- 畳やマットとの接触が繰り返される
耳介血腫が発生すると、最初は耳が腫れて柔らかくなりますが、適切な処置をしないと血液が固まり、耳の形が変わりながら硬くなっていきます。
耳がかたくなったら治らないのか?
耳介血腫は、発症初期であれば治療によって元の状態に戻る可能性があります。しかし、適切な治療を受けずに放置すると、軟骨が変形して硬くなり、治すのが難しくなります。
- 初期段階の治療方法
耳が腫れた直後であれば、病院で以下のような処置を受けることで、元の形を維持しやすくなります。
- 穿刺(せんし):針を使って溜まった血を抜く
- 圧迫固定:包帯や専用の器具で圧迫し、再び血が溜まるのを防ぐ
- 抗炎症剤の投与:炎症を抑えて腫れの悪化を防ぐ
- 硬くなった場合の対処法
耳介血腫が進行し、耳が硬くなった場合は、基本的に元の状態に戻すのは難しくなります。重度の場合は、以下のような治療が検討されることもあります。
- 手術:硬く変形した軟骨を削る整形手術
- 美容治療:形成外科での修正手術
ただし、完全に元通りになる保証はなく、手術後のケアや再発のリスクもあるため、慎重に判断する必要があります。
耳がかたくなることによる悪影響はあるのか?
耳介血腫によって耳が硬くなると、以下のような影響が出る可能性があります。
- 見た目の変化
耳がデコボコになり、一般的には「カリフラワーイヤー」と呼ばれる状態になります。格闘技経験者の証とも言えますが、気にする人にとってはコンプレックスになることもあります。 - 聴力への影響
耳介血腫そのものが聴力を直接低下させることは少ないですが、耳の穴(外耳道)が変形して狭くなると、音が聞こえにくくなることがあります。また、繰り返しの外傷が原因で耳鳴りや違和感を感じることもあります。 - 感染リスクの増加
炎症を放置すると、細菌感染を引き起こし、耳が赤く腫れて激しい痛みを伴うことがあります。最悪の場合、外科的な処置が必要になることもあるため、早めの対策が重要です。 - ヘッドギアの装着困難
耳が変形して大きくなると、柔道やレスリングのヘッドギアを装着しづらくなることがあります。特に耳が腫れている最中は圧迫による痛みが強く、競技の継続が困難になることもあります。
耳がかたくなるのを防ぐための対策
耳介血腫は、適切な予防策を講じることで発症リスクを下げることができます。
- ヘッドギアを着用する
柔道やレスリングでは、耳の保護ができるヘッドギアを使用することで、外傷のリスクを軽減できます。特に練習中は相手との接触が多いため、予防のために着用を検討しましょう。 - 早期治療を徹底する
耳に違和感を感じたら、すぐに医師の診察を受け、適切な治療を行うことが重要です。初期段階で血を抜き、圧迫固定をすれば、耳の変形を防げる可能性が高くなります。 - 練習後のケアをしっかり行う
耳を打った後は、冷やして炎症を抑えることが有効です。また、耳を強く擦ったり、不必要に刺激を与えたりしないよう注意しましょう。 - 長期間の放置を避ける
「そのうち治るだろう」と放置すると、血液が固まり、元の形に戻せなくなる可能性が高まります。少しでも異変を感じたら、早めの対応を心掛けることが大切です。
まとめ:柔道やレスリングで耳がかたくなるのを防ぐには?
柔道やレスリングでは、耳に繰り返し衝撃が加わることで耳介血腫が発生し、耳がかたくなることがあります。初期段階で適切な治療を行えば元に戻せる可能性がありますが、放置すると耳が変形し、完全に治すのが難しくなります。
耳の変形が進むと、見た目の変化や聴力の低下、感染症のリスクが高まるため、予防策としてヘッドギアの着用や早期治療を徹底することが重要です。
柔道やレスリングを続けながらも耳の健康を守るために、日頃のケアを怠らず、必要に応じて医療機関を受診するようにしましょう。
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