こんにちはTac^^です。
確定申告で決算書を作成するときに、「期末時点でまだ支払っていない経費は未払計上する」という話が出てきます。
そこで未払を調べてみると、「未払金」と「未払費用」というふたつの勘定科目を目にすることになります。両者とも「未払」で始まるものですが、何か違いがあるのでしょうか。今回は、未払金と未払費用について解説します。
未払金と未払費用は何が違う?
未払金とは
未払金とは、ざっくり言うと、ものを購入したりサービスの提供を受けたりした場合に、その代金を後から支払うときに使う勘定科目です。
ただし、売上の原価となる商品や材料の仕入代金や外注費など営業取引にかかわる取引については「買掛金(かいかけきん)」を使います。
未払金を使う具体例として、事務用品や消耗品、備品などを後払いで購入した場合や、広告のデザインや自動車の修理を後払いで依頼した場合などが挙げられますね。
未払金は勘定科目の5分類(資産・負債・純資産・収益・費用)のうち「負債」に属する勘定科目です。
負債の勘定科目は事業の財政状態を表す「貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)」の右側に位置する「貸方(かしかた)」側に表示され、一定時点での負債(借金などマイナスの財産)がどのくらいあるかを知ることができます。
未払費用とは
未払金と未払費用は似たような言葉ですが、その意味が大きく違います。
未払金はものやサービスの提供を受けた時点で代金を支払うことが確定するので、それぞれが単発の取引として未払金の計上時期になります。
もちろん、同じ取引先で何回も購入が行われ、月まとめで支払うような場合はその締め日にまとめて計上することでも構いません。
これに対して、未払費用は継続してサービスの提供を受けたりする場合に、その代金が後払いとなっているものに使う勘定科目です。
未払金はものの引き渡しやサービスの提供が終わっているのに対して、未払費用は途中経過なのです。
未払費用を使う具体例として、借入金の利息や給与、家賃などで後払いになるものが挙げられます。
なお、時の経過に伴って費用が発生するため、未払費用は決算日など一定の計上時期でその期間分の金額を計算する必要があります。
未払金と未払費用は必ず使い分けなければならない?
未払金と未払費用は似て非なるものとお伝えしましたが、個人事業主の場合でそこまで厳密に使い分ける必要があるでしょうか?
所得税の青色申告決算書では、あらかじめいくつかの勘定科目が印刷されています。その中で貸借対照表の負債の部には未払金だけが記載されています。空いている行に未払費用を記載して、未払金と未払費用をしっかり使い分けることは可能です。
しかし、所得税の計算に必要なのは収入金額から必要経費を差し引いた所得金額を正しく算出することです。
私見となりますが、青色申告決算書において、ことさら未払金と未払費用を分けることにこだわる必要はなく、未払金としてまとめて表示することでもまったく問題ないと思います。
もちろん、簿記検定などの試験を受ける場合は、未払金と未払費用が一緒になっていると、違いを理解していないと思われますから、必ず分けるようにしましょうね。
未払金と未払費用を使い分けることのメリットは?
では、未払金と未払費用をしっかりと使い分ける場合には何かメリットがあるのでしょうか?
ひとつは、仕訳例でも紹介した通り、未払金と未払費用ではその性質上で計上時期・仕訳方法が違っているため、分けておいたほうが経理の間違いは少なくなるということが挙げられます。
また、未払費用は利息や給与など、経常的に発生するものを期間配分するということが多いので、年度ごとの金額の変動は少ないですが、未払金はたまたま後払いの取引があった場合などでは年度によって大きく金額が変動することがあります。そのあたりの比較検討を行うような場合には、未払金と未払費用が分けられていたほうがやりやすいでしょう。
未払金と長期未払金は必ず使い分けなければならない?
では、未払金と、支払期限が1年を超える場合に使用する長期未払金との使い分けはどうでしょうか?
これも青色申告決算書の上では未払金にまとめて表示してしまっても構いませんが、長期未払金になるようなものは、自動車を購入したときの割賦払いなど固定資産に係るものが多いと思います。
そうすると、消耗品などの未払金と割賦払いの未払金とでは金額の大きさも違いますし、前者が常にいくらかの未払があるのに対し、後者は支払いに伴って徐々に残高が減っていくという性質のものになります。
貸借対照表や帳簿を見るときに把握しやすくするためには、未払金と長期未払金とは分けたほうがよいでしょう。
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