全国には51校の高等専門学校（高専）があり、工業系や商船系といった専門的な分野で高度な教育を受けられる点から、毎年多くの中学生が進学を希望しています。一般的な高校進学とは異なり、高専は5年一貫教育を行い、実践的な知識や技術を早い段階から習得できるのが最大の特徴です。さらに、就職率や大学編入率が非常に高いことから、将来のキャリアを考えたうえで「全国の高専からどこを選ぶべきか」を検討するご家庭も増えています。ここでは、全国高専の特徴や偏差値ランキング、学費、寮生活、就職先などを網羅的に解説していきます。
全国の高専一覧と特徴
日本全国には、国立高専が51校、さらに一部には公立や私立の高専も存在します。国立高専は全国の地方にバランスよく配置されており、地域の産業と連携した教育が行われているのが大きな特徴です。
- 北海道地区：函館高専、苫小牧高専、釧路高専、旭川高専
- 東北地区：八戸高専、一関高専、仙台高専、鶴岡高専、秋田高専、福島高専
- 関東甲信越地区：茨城高専、木更津高専、群馬高専、長岡高専、石川高専、福井高専
- 東海・北陸地区：沼津高専、豊田高専、岐阜高専、鈴鹿高専、鳥羽商船高専
- 近畿地区：舞鶴高専、明石高専、奈良高専、和歌山高専
- 中国地区：米子高専、呉高専、広島商船高専、宇部高専、大島商船高専
- 四国地区：阿南高専、新居浜高専、弓削商船高専、高松高専
- 九州・沖縄地区：北九州高専、久留米高専、有明高専、佐世保高専、熊本高専、大分高専、都城高専、鹿児島高専、沖縄高専
それぞれの高専は、地域の主要産業と密接に関わっており、自動車産業、造船業、電子機器、情報通信、エネルギーなど多様な分野で専門的な教育を行っています。
全国高専の偏差値ランキング
高専の入試は、一般的な高校入試と同じく学力試験で行われます。偏差値は地域や学科によって差がありますが、全国的に見ると 偏差値55〜65程度の高専が難関校とされています。
- 偏差値が高い高専：舞鶴高専、長岡高専、仙台高専、豊田高専、明石高専
- 中堅レベル：呉高専、米子高専、木更津高専、八戸高専
- 入試難易度が比較的低め：弓削商船高専、大島商船高専、久留米高専
ただし、偏差値だけでは判断できない強みがあり、例えば造船や海洋分野で圧倒的な実績を持つ商船系高専は、専門性の高さから就職に強い傾向があります。
高専の学費と費用
高専の魅力の一つは、大学に比べて学費が安い点です。国立高専の場合、年間授業料は約23万5千円程度で、私立高校と比べても安価です。また、入学金は8〜9万円程度と設定されています。
さらに、寮費が月額1万〜2万円程度とリーズナブルであるため、遠方からの進学でも経済的負担が少ないのが大きな利点です。奨学金制度も充実しており、家庭の経済状況に応じた支援を受けることができます。
高専の寮生活
全国の高専には、多くの場合 学生寮が併設されています。寮生活は共同生活を通して規律や協調性を育む場でもあり、特に地方から進学する学生にとって重要な役割を果たしています。
- 規則正しい生活習慣の確立
- 自炊または食堂利用による健康管理
- 同級生や先輩との深い人間関係の形成
- 部活動や勉強会を通じた仲間づくり
一方で、寮には門限や生活規則が設けられており、高校生活に比べるとやや厳格な環境です。
高専卒業後の進路と就職先
全国の高専は「就職に強い学校」として知られています。就職率は毎年ほぼ100％に近く、特に大手企業や地域の有力企業からの求人が多いのが特徴です。
- 就職先の一例
- トヨタ自動車、日産自動車、マツダ
- 三菱重工、川崎重工、IHI
- NTTグループ、ソニー、パナソニック
- 電力・ガス会社、建設業界
また、成績優秀者は 編入学制度を利用して大学3年次に進学することも可能です。東京大学や京都大学をはじめ、国公立大学や私立の難関大学への編入実績も多く、キャリアの幅が広がります。
高専のメリットとデメリット
メリット
- 実践的な専門知識が身につく
- 学費が安く経済的負担が少ない
- 高い就職率と安定したキャリア形成
- 大学編入制度でさらなる学びが可能
デメリット
- 部活動や学校行事が高校より少ない場合がある
- 男女比が偏ることが多く、男子が多数を占める学校も多い
- 専門性が高いため、進学後に学科選択を後悔するケースもある
全国高専の受験対策
高専受験では、数学と理科の配点が高いのが特徴です。基礎学力をしっかりと固めることが合格への第一歩です。
- 数学：方程式、関数、図形、確率統計
- 理科：物理と化学を中心に、計算問題の練習
- 国語・英語：基礎力を落とさないことが重要
また、推薦入試を利用する場合は内申点や面接が重視されるため、日頃の成績や生活態度も大切です。
よくある質問（FAQ）
Q1. 高専と普通高校の違いは？
A1. 高専は専門的な技術教育を5年間一貫して行うのに対し、高校は3年間で幅広い基礎教育を行います。
Q2. 全国の高専はどの地域にありますか？
A2. 北海道から沖縄まで、全国に51の国立高専が設置されています。
Q3. 高専の寮生活は厳しいですか？
A3. 規律を重視した生活ですが、その分協調性や自主性を育てることができます。
Q4. 高専卒業後に大学へ進学できますか？
A4. 編入制度を利用すれば、大学3年次に進学することが可能です。
Q5. 高専は就職に強いですか？
A5. 就職率はほぼ100％で、大手企業からの求人も多く安定したキャリアを築けます。
Q6. 学費はどれくらいかかりますか？
A6. 国立高専の場合、授業料は年間23万5千円程度で、私立高校よりも安価です。
まとめ
全国高専は、実践的な専門教育を早期から受けられる点で非常に魅力的な進学先です。偏差値や入試の難易度だけでなく、各校の特色、学費、寮生活、そして卒業後の進路までを踏まえて検討することが大切です。工業系や理系の分野で将来活躍したいと考える中学生にとって、高専は間違いなく有力な選択肢となるでしょう。
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