ドラム式洗濯機で布団を洗ったら、急にガタガタ鳴る。脱水に進まない。水がまた入る。最後には安全装置が作動して停止する。
これ、かなり焦ります。
「壊れた?」「誤作動?」「安産装置?いや安全装置?」と頭の中が洗濯槽より激しく回ります。人間、布団を洗いたいだけなのに、なぜ家電と命のやり取りをすることになるのか。まったく面倒です。
でも結論から言うと、これは誤作動ではなく、洗濯機が危険を止めている可能性が高いです。特に布団や毛布は、水を吸うと重くなり、ドラム内で片寄りやすくなります。その状態で脱水に入ると、洗濯機が大きく揺れます。だから安全装置が働くのです。
無理に続けるのは危険です。布団も洗濯機も壊れる可能性があります。最悪の場合、洗濯機が大きく振動し、本体や床、壁に被害が出ることもあります。NITEも、防水性のものや容量を超える洗濯物を洗うと、洗濯機が大きく振動し破損や周囲への被害につながるおそれがあると注意しています。
ドラム式洗濯機で布団を洗うと安全装置が作動する理由
布団は水を吸うと一気に重くなる
乾いている布団は、持った感じでは軽く感じます。
しかし、水を吸うと話が変わります。布団の中綿に水が入り、重さが一気に増えます。しかもドラム式洗濯機は横向きのドラムで回るため、布団がきれいに広がらず、一つのかたまりになりやすいです。
このかたまりが片側に寄ったまま脱水に入ると、洗濯機はバランスを失います。人間で言えば、片手にだけ重い荷物を持って全力回転するようなものです。そんなもの、普通に考えてまともに回れるわけがありません。
東芝ライフスタイルも、脱水中に洗濯物が片寄ると、ドラムの振動が大きくなって脱水できなくなるため、片寄りを直すために給水や排水を行うと説明しています。
安全装置は「壊れた」のではなく「止めてくれた」
安全装置が作動すると、「洗濯機が止まった」「エラーが出た」と感じます。
でも、これは悪いことではありません。むしろ止まって正解です。
ドラム式洗濯機は、脱水時に大きな回転をします。布団が片寄ったまま高速回転すれば、異常な振動が出ます。そのまま動けば、本体が移動したり、床や壁にぶつかったり、部品が壊れたりする可能性があります。
つまり安全装置は、洗濯機が「これは無理」と判断して止まっている状態です。家電にここまで正論を言われるのも腹立たしいですが、今回は洗濯機が正しいです。
「脱水できない」「すすぎに戻る」は片寄り補正の可能性が高い
布団を洗っている時に、脱水に入ったと思ったら水が入る。時間が増える。何度もやり直す。
これは故障ではなく、片寄りを直そうとしている動きの可能性があります。
AQUAも、脱水時にすすぎ運転へ戻る場合、洗濯槽内の衣類が片寄っている可能性があり、自動で給水やすすぎをして片寄りを整える機能があると説明しています。改善しない場合は一度停止して洗濯物をならすのがよいとされています。
つまり、洗濯機は何度も頑張っています。人間が適当に突っ込んだ布団の尻ぬぐいを、機械がしているわけです。文明とは何なのか。
布団を洗って安全装置が作動した時にまずやること
すぐ一時停止して無理に回さない
まずやることは、無理に再スタートしないことです。
ガタガタ音が大きい。洗濯機が揺れる。脱水に入れない。エラーが出る。この状態で何度もスタートを押すのは危険です。
安全装置が働いた時点で、洗濯機は「このままだと危ない」と判断しています。そこで人間が「いや、いけるだろ」と再開するのは、だいたい悪い方向に進みます。家電相手に根性論を出しても、布団は乾きません。
まずは停止します。ドラムの回転が完全に止まってからドアを開けます。水が残っている場合は、機種の説明書に従って排水します。
布団を広げて入れ直す
ドアが開けられる状態になったら、布団を一度取り出します。
中で丸まっている場合は、広げます。そして、洗濯機の説明書にある入れ方に近づけます。布団や毛布は、たたみ方や入れ方を間違えると、片寄りやすくなります。
日立のドラム式洗濯機のWebマニュアルでは、毛布、掛け布団、ベッドパッド、カーテンなどを洗う時は「毛布」コース以外で運転しないよう案内しています。洗濯表示のないものや防水性のものは洗わないようにも書かれています。
つまり、「入れば洗える」は完全に危険な考えです。人類はどうして穴に物が入ると使えると思ってしまうのか。
バスタオルを追加してバランスを取る
布団だけで脱水すると、重さが一か所に寄りやすくなります。
その場合は、濡れたバスタオルを1〜3枚ほど一緒に入れると、片寄りが少し改善することがあります。シャープの公式資料でも、吸水すると重くなる衣類は1枚だけで洗わず、他の衣類と一緒に洗うこと、バスタオルなどを一緒に入れると片寄りにくくなることが案内されています。
ただし、布団の容量がすでに上限に近いなら追加は逆効果です。無理に詰め込むと、さらに回りにくくなります。布団がパンパンに入っているなら、その時点で家庭用洗濯機には向いていません。
脱水だけ短時間で試す
入れ直しても不安な場合は、長い脱水ではなく短時間の脱水から試します。
いきなり長時間脱水にすると、また片寄って止まることがあります。短い脱水で少しずつ水を抜き、様子を見る方が安全です。
それでも大きく揺れるなら、そこで中止です。洗濯機の問題ではなく、布団がその洗濯機に合っていない可能性が高いです。
ドラム式洗濯機で洗ってはいけない布団
洗濯表示がない布団
洗濯表示がない布団は、家庭で洗わない方が安全です。
洗えるかどうかは、布団の素材、詰め物、縫製、サイズで変わります。見た目だけで判断するのは危険です。洗濯表示がないものは、洗濯機での水洗いに向いていない可能性があります。
日立の公式マニュアルでも、洗濯表示のないものは洗わないよう案内されています。
防水性のある布団カバーやシーツ
防水シーツ、おねしょシーツ、防水カバー、防水パッドは特に危険です。
防水性のあるものは水を通しにくいため、中に水がたまりやすくなります。その水が脱水中に一気に動くと、回転バランスが崩れ、異常振動につながります。
日本電機工業会は、防水性の衣料や繊維製品は洗濯・脱水を行わないよう注意しています。脱水時の異常振動により、洗濯物が飛び出したり、衣類や洗濯機、周囲の壁や床を破損したり、洗濯機が転倒することもあると説明しています。
ここはかなり重要です。防水シーツを普通のシーツ感覚で洗うのは危険です。洗濯機に入るから洗える、ではありません。爆弾も箱には入ります。だからといって洗濯する人はいません。
ダブルサイズや厚手の布団
ダブルサイズの布団や厚手の掛け布団は、家庭用のドラム式洗濯機では厳しいことが多いです。
パナソニックは、ドラム式で3kgを超える毛布を洗う時は洗濯キャップが必要で、取り付けずに洗うと本体や毛布などが損傷する場合があると案内しています。また、機種によって洗える布団や毛布の条件が異なるため、取扱説明書の確認が必要です。
日立の一部機種でも、毛布コースで洗える容量や、羽毛ふとんの対応重量が決まっています。たとえば羽毛ふとんは1枚まで、重量は1kgまでなど、機種ごとの条件があります。
大物洗いは、洗濯機の容量だけ見ても不十分です。「洗濯容量12kg」と書いてあっても、布団が12kgまで洗えるという意味ではありません。ここを間違えると、洗濯機がかわいそうな鉄の箱になります。
安全装置が何度も作動する時のチェックポイント
毛布コース・ふとんコースを使っているか
布団や毛布を標準コースで洗うのは避けるべきです。
日立は、毛布や掛け布団、カーテンは必ず毛布コースで洗濯するよう案内しています。標準コースでは洗濯物の破損や洗濯機本体の傷みの原因になるとされています。
AQUAの取扱説明書にも「ふとん・毛布」コースの記載があり、大物用のコースが用意されている機種があります。
大物には大物用の動きがあります。標準コースで布団を回すのは、軽自動車に引っ越し荷物を全部積もうとするようなものです。やれる気はしても、だいたい無理です。
洗濯キャップが必要な機種では使っているか
機種によっては、毛布や布団を洗う時に別売りの洗濯キャップが必要です。
パナソニックは、ドラム式で3kgを超える毛布を洗う時には洗濯キャップが必要だと案内しています。洗濯キャップを使わずに洗うと、本体や毛布が損傷する場合があります。
「別売りならなくてもいいでしょ」と思いがちですが、必要な機種では必要です。別売りという言葉には、人類を油断させる悪意があります。
洗濯物が片側に寄っていないか
安全装置が働く一番多い原因は、洗濯物の片寄りです。
布団がドラムの中で丸まっていないか。片側に固まっていないか。洗濯ネットの中で団子になっていないか。ここを確認します。
AQUAのFAQでも、洗濯物の片寄りが起こると振動が大きくなり、運転が止まる場合があると説明しています。厚手のものやかさばるものを1枚だけで入れないこと、濡れたバスタオルなどを追加することが案内されています。
洗濯機が水平に置かれているか
布団以外にも、洗濯機の設置状態が悪いと揺れやすくなります。
床が弱い。洗濯機が傾いている。脚がガタついている。排水ホースがつぶれている。排水口が詰まっている。こうした状態だと、布団洗いで一気に問題が出ます。
東芝ライフスタイルも、衣類の片寄りが頻繁に発生する場合、洗濯機のガタツキ、排水ホース、排水口、水平設置などを確認するよう案内しています。
布団を洗った時だけ止まるなら布団側の問題が濃厚です。ただ、普段の洗濯でも揺れが大きいなら、設置状態も疑うべきです。
布団を家庭で洗うか、コインランドリーに持っていくか
家庭で洗ってよい布団の条件
家庭で洗ってよい布団は、だいたい次の条件を満たすものです。
洗濯表示で洗濯機洗いが可能。防水性がない。洗濯機の説明書で洗える対象に入っている。重量やサイズが上限内。毛布コースやふとんコースが使える。必要なら洗濯キャップを使える。
この条件を満たしていないなら、やめた方がいいです。
無理に家庭で洗うと、節約した数千円の代わりに、洗濯機の修理代や買い替え費用が発生します。人間の節約は、ときどき高級な失敗になります。
コインランドリーを使うべき布団
次の布団は、コインランドリーやクリーニングを選ぶ方が安全です。
ダブルサイズ以上の布団。厚手の掛け布団。羽毛布団。洗濯機に入れるとパンパンになる布団。家庭用洗濯機で何度も安全装置が作動する布団。防水性がある布団カバーやシーツ。
ただし、コインランドリーでも洗濯表示の確認は必要です。洗えない布団は、業務用の大きな機械でも洗えません。大きな機械なら何でも許される、というわけではありません。世の中そこまで優しくないです。
実際に自分ならどうするか
一度止まった布団は無理に続けない
私なら、安全装置が作動した時点で、その布団の洗濯は一度止めます。
まず排水して、布団を取り出します。水を含んで重くなっているので、無理に引っ張らず、少しずつ動かします。ドア周りやパッキンに布団が挟まっていないかも見ます。
そのうえで、洗濯表示と洗濯機の説明書を確認します。ここで洗濯機の対象外なら、もう家庭ではやりません。諦めます。諦めるのは負けではありません。洗濯機を壊さないための知性です。
洗える条件なら入れ直して短時間脱水
洗える条件を満たしているなら、布団を広げて入れ直します。
毛布コース、ふとんコースを選びます。必要なら洗濯キャップを使います。脱水は短めから試します。揺れが強ければすぐ止めます。
それでも安全装置が作動するなら、その布団は自宅のドラム式洗濯機には合っていないと判断します。ここで粘らない方がいいです。機械が無理と言っている時に粘るのは、人間の悪い癖です。
まとめ
ドラム式洗濯機で布団を洗って安全装置が作動するのは、多くの場合、誤作動ではありません。
布団が水を吸って重くなり、ドラム内で片寄り、脱水時に大きな振動が出るため、洗濯機が危険を検知して止まっている可能性が高いです。
まずは無理に再スタートしないことです。停止して、排水し、布団を取り出し、洗濯表示と取扱説明書を確認します。洗える布団なら、毛布コースやふとんコースを使い、必要なら洗濯キャップを使います。布団が片寄る場合は、入れ直しや短時間脱水で様子を見ます。
ただし、防水シーツ、防水カバー、洗濯表示のない布団、容量オーバーの布団は危険です。日本電機工業会やNITEも、防水性のものや容量を超える洗濯物は異常振動や破損につながるおそれがあると注意しています。
安全装置が何度も作動するなら、その布団は家庭用ドラム式洗濯機で洗うべきではありません。コインランドリーやクリーニングを使う方が安全です。
布団を洗いたい気持ちは分かります。でも、洗濯機を壊してまで洗う布団はありません。家電に勝とうとしないことです。勝っても修理代が来ます。

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