大腸炎と大腸がんの関係とは?見逃せない症状と予防策を徹底解説

「大腸炎と大腸がんには関係があるの?」と疑問に思う方は多いのではないでしょうか。下痢や腹痛、血便といった消化器症状が共通して現れることもあり、その違いがわかりにくいことがあります。実は、ある種の大腸炎は将来的に大腸がんのリスクを高めることが知られています。本記事では、大腸炎と大腸がんの関係性について、最新の医学的知見に基づいて詳しく解説し、見逃してはいけない症状や予防のポイントもご紹介します。


目次

大腸炎とは?さまざまな原因によって起こる腸の炎症

大腸炎は、その名のとおり大腸に炎症が起こる疾患の総称で、原因や症状、経過はさまざまです。主に以下のような種類があります。

  • 感染性大腸炎:ウイルスや細菌などの感染によって一時的に腸が炎症を起こす。
  • 潰瘍性大腸炎:自己免疫の異常によって発症する慢性的な炎症性腸疾患。指定難病。
  • クローン病:消化管全体に炎症が起こる可能性がある慢性疾患で、こちらも難病指定。
  • 虚血性大腸炎:大腸の血流が悪化することで発生する一過性の炎症。

これらのうち、特に潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患(IBD)は、長期間にわたる炎症が続くことで大腸がん発症リスクが高まることが分かっています。


大腸がんとは?日本人に増えている「国民病」

大腸がんは、大腸の粘膜から発生する悪性腫瘍です。便秘や下痢、血便、腹痛、体重減少などの症状が見られ、初期には無症状のこともあります。がんが進行するまで気づかれにくいため、発見が遅れるケースも多く、進行するとリンパ節や肝臓への転移も起こります。

日本では大腸がんが男女ともに最も罹患数の多いがんのひとつであり、特に50代以降で発症率が急増します。ただし、近年では若年層にも増加傾向が見られ、早期発見と予防の重要性が高まっています。


大腸炎と大腸がんの関連性とは?

潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性的な炎症が長く続くと、がん化のリスクが高まるとする研究が世界中で報告されています。その理由は以下の通りです。

  1. 慢性的な炎症が細胞のDNAを傷つける
     炎症が長く続くことで、腸の粘膜にある細胞が繰り返しダメージを受け、修復される過程で遺伝子変異が蓄積。これががん化につながると考えられています。
  2. がんの発生部位が広範囲にわたる傾向
     特に潰瘍性大腸炎では、大腸の広範囲にわたってがんが発生することがあり、スクリーニングの難しさもリスクを高める要因です。
  3. 発症からの経過年数とがん化リスクは比例
     潰瘍性大腸炎を10年以上患っている人は、一般の人と比べて大腸がんになるリスクが数倍以上高まるといわれています。

一方で、感染性や虚血性大腸炎のような一過性の炎症は大腸がんの直接的なリスクとはなりません。ただし、症状が長引く場合や繰り返す場合は、早めの医療機関受診が推奨されます。


共通の症状に注意!大腸炎と大腸がんの見分け方は難しい

大腸炎と大腸がんには、以下のような共通の初期症状があります。

  • 血便(赤黒い・鮮血)
  • 下痢または便秘の繰り返し
  • 腹痛や腹部の張り
  • 体重減少
  • 発熱(炎症性腸疾患の場合)

これらの症状があるからといって、すぐに大腸がんとは限りませんが、特に40歳以上で血便が続く場合や、原因不明の腹痛がある場合には、医師による内視鏡検査(大腸カメラ)を受けることが非常に重要です。


大腸炎から大腸がんを防ぐためにできること

  1. 定期的な検査を受ける
     特に炎症性腸疾患を長く患っている方は、1~2年に1回の大腸内視鏡検査が推奨されています。早期に粘膜の異変を捉えることで、がんの予防や早期治療が可能です。
  2. 症状を放置しない
     血便や下痢、腹痛が長期間続く場合は、自然に治るのを待たずに消化器科を受診しましょう。がんでなかったとしても、慢性炎症がある場合には管理が必要です。
  3. 炎症をコントロールする
     潰瘍性大腸炎やクローン病の人は、適切な治療によって炎症をコントロールし続けることが、将来的ながん化リスクを下げる鍵になります。
  4. 生活習慣を見直す
     高脂肪・低繊維の食生活、過剰なアルコール摂取、喫煙、運動不足は大腸がんのリスク因子です。バランスの取れた食事と規則正しい生活を心がけることが大切です。

まとめ:大腸炎があるからこそ、大腸がんのリスクに目を向けよう

大腸炎と大腸がんには、無関係ではない深い関係性があります。特に、潰瘍性大腸炎やクローン病などの慢性炎症がある方は、がん化リスクが高まる可能性があるため、医師の指導のもとで適切に病状を管理し、定期的な検査を受けることが非常に重要です。

また、便に異変を感じたら年齢に関係なく検査を受けることが、早期発見・早期治療につながります。「まさか自分が」と思わず、日々の体調変化に敏感になることが、健康を守る第一歩です。

腸の健康は、全身の健康にも直結しています。大腸炎と大腸がんの関係性を正しく理解し、今できる予防策を積極的に取り入れていきましょう。

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