企業が社会貢献や災害支援の一環として「寄付」を行うケースが増えています。しかし、「寄付をした場合の会計処理はどうなる?」「損金にできるのか?」といった疑問も少なくありません。この記事では、「会社に寄付 会計処理」に関する疑問を一気に解決するため、仕訳方法から税務上の扱いまで、実務に即した形で徹底的に解説します。実際の勘定科目の選び方、注意点も含めて、検索上位を狙える実用的な内容でお届けします。
寄付とは何か?企業が行う寄付の概要
まず、「寄付」とは、見返りを求めずに金銭や物品などを無償で提供する行為です。企業が寄付を行う主な目的には、以下のようなものがあります。
- CSR(企業の社会的責任)の一環
- 災害支援やチャリティ活動への協力
- 地域社会との良好な関係構築
- 節税効果の期待
ただし、会計・税務上は「どこに」「どういう目的で」「いくら寄付したか」によって処理方法が異なるため、正しい知識が不可欠です。
寄付の種類と税務区分|損金算入できる寄付とできない寄付
寄付金は、税務上「損金算入」できるかどうかが重要なポイントです。法人税法では、寄付金を以下の3つに区分しています。
一般寄付金
学校、NPO法人、自治体以外への寄付。税法上、損金算入限度額の対象になるが、上限が非常に厳しい。
特定公益増進法人等への寄付(特定寄付金)
学校法人、社会福祉法人、NPO法人等が該当。こちらは損金算入限度額の枠が広く設定されており、実務上も活用されることが多い。
指定寄付金
国や地方公共団体への災害支援寄付など、特に定められた寄付。これは全額損金に算入可能。
寄付をした際の会計仕訳|具体例つきで解説
寄付金を支出した場合の仕訳は、税務区分にかかわらず、以下のような形が基本となります。
現金で10万円の寄付を行った場合の仕訳(一般的な例)
借方:寄付金 100,000円
貸方:現金 100,000円
物品(例:パソコン)を寄付した場合
借方:寄付金 100,000円(簿価)
貸方:備品 100,000円
ただし、帳簿価額で仕訳する点に注意が必要です。時価ではない点がポイントです。
勘定科目は「寄付金」でいい?場合によっては別の処理も必要
一見「寄付=寄付金」と処理しがちですが、実は内容によっては「広告宣伝費」「交際費」「雑損失」など、別の勘定科目を用いた方が有利な場合もあります。
例えば、以下のような場合には「広告宣伝費」として処理可能
- 地域イベントに協賛し、自社名がパンフレット等に掲載される
- チャリティイベントに物品を提供し、会社名がアナウンスされる
このように「広告的な効果」がある場合には、寄付ではなく広告宣伝費として処理すれば、全額損金として扱えます。
寄付金の損金算入限度額の計算方法
損金算入の可否を判断するには、法人税法上の「寄付金の限度額」を理解しておく必要があります。限度額は以下のように算出されます。
一般寄付金の損金算入限度額
(資本金等の額 × 0.25% + 所得金額 × 2.5%) × 1/4
特定公益増進法人等への寄付の限度額
(資本金等の額 × 0.375% + 所得金額 × 6.25%) × 1/2
指定寄付金は限度なしで全額損金算入可能
税制優遇を最大限に活用するには、どの区分の寄付になるかを寄付前に確認することが重要です。
節税目的での寄付はリスクもある?注意点と落とし穴
寄付を利用して節税しようとする際、次のような落とし穴に注意が必要です。
- 寄付の相手先が公益法人等に該当しない場合、想定より損金にできない
- 実質的に対価性がある(広告・販促目的)にも関わらず、寄付金として処理すると否認される恐れがある
- 税務調査で不適切な処理が指摘されると、過年度修正や追徴課税のリスクが生じる
法人税申告書での記載方法と添付資料の準備
寄付金を会計処理した後、法人税申告書の別表で適切に記載する必要があります。特に「別表四」および「別表五(二)」で損金不算入額・加算調整を行う点は押さえておきましょう。
また、以下のような書類は税務調査時に備えて保管しておくと安心です。
- 寄付の領収書または受領証
- 寄付先が公益法人・特定寄付金に該当する証明書類
- 寄付目的を記載した社内稟議書など
会計ソフト・税理士との連携も忘れずに
会計ソフトを使っている場合、「寄付金」の勘定科目を適切に設定することが重要です。また、税務処理に不安がある場合は、税理士との連携を強化し、寄付前に事前相談することが安全です。
まとめ|寄付は社会貢献だけでなく、企業価値向上と節税にもつながる
企業にとって寄付は、単なる社会貢献ではなく、信頼性の向上・ブランドイメージの強化にもつながる重要な戦略の一つです。しかし、税務・会計処理には細かなルールがあるため、正確な知識が必要不可欠です。
- 税務区分(一般・特定・指定寄付金)を理解する
- 勘定科目の選定を見極める
- 損金算入の可否と限度額を計算する
- 税務申告書での記載を正確に行う
これらを実践することで、企業は寄付を通じて社会と調和しながら、財務面でも健全な経営を維持することができます。企業経営者・経理担当者の方は、ぜひ本記事を参考に、適切な会計処理を行ってください。
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