グーグルサーチコンソール(以下GSC)は、ウェブサイトのインデックス状況や検索パフォーマンスを管理するための強力な無料ツールです。しかし、サイトをリニューアルしたり、古いページを削除したりした後、「一度すべてのページを削除して再登録したい」と考える人も少なくありません。この記事では、GSC上でのページ削除と再登録の正しい手順、注意点、そしてSEO的な影響について詳しく解説します。
グーグルサーチコンソールとは何かを再確認しよう
グーグルサーチコンソールは、Googleが公式に提供するサイト管理ツールです。主な機能は次の通りです。
- ウェブページのインデックス状況を確認
- 検索キーワード(クエリ)ごとのクリック数・表示回数・CTR・順位を分析
- サイトマップ送信やURL検査による再インデックス申請
- セキュリティやモバイルユーザビリティなどの問題検出
これらの機能により、サイト管理者はGoogle検索における自分のサイトの状態を把握し、改善につなげることができます。
なぜ「すべてのページを削除して再登録」したいのか?
一度すべてを削除して登録し直すという行為には、主に以下のような背景があります。
- 大規模なリニューアルやドメイン変更
- URL構造の見直し(例:
/blog/→/column/) - 古いコンテンツや重複ページを整理したい
- インデックスが混乱して正確なデータが取れない
これらの場合、GSC上でのデータやインデックスが古いままだと、正しいパフォーマンス分析ができません。そのため、クリーンな状態に戻したいと考えるのです。
「削除」と「再登録」は異なる操作であることを理解しよう
まず知っておくべき重要な点は、GSC上で「削除」操作をしても、Googleのインデックスから完全に消えるわけではないということです。
GSCでできる削除は「一時的な削除(Temporary Removal)」であり、検索結果から一時的に非表示にするだけです。
もしサイト全体をインデックスから除外したい場合は、以下のような手順が必要になります。
- サーバー側で
noindexタグを設定 - robots.txtでクロールをブロック
- 不要なURLを301リダイレクトまたは削除
- その後にGSCでURL削除リクエストを送信
これを誤ると、Googleの検索結果に古いページが残り続けたり、再登録時にクロールエラーが発生したりします。
手順①:すべてのページを削除する準備をする
まず、いきなり削除する前に、現状のデータをバックアップしましょう。
- GSC内の「検索パフォーマンス」データをエクスポート(CSV形式推奨)
- 「カバレッジ」レポートを確認し、エラーURLをメモ
- Google Analytics(GA4)と連携している場合はトラフィックデータも保存
このバックアップを取っておくことで、削除後の再登録時に比較分析が可能になります。
手順②:GSCで一時的にページを削除する
GSCの「削除」ツールを利用する手順は次の通りです。
- GSCにログイン
- 対象プロパティ(サイト)を選択
- 左メニューの「インデックス」>「削除」をクリック
- 「新しいリクエスト」を選択
- 「URLの一時的な削除」を選び、対象URLを入力
これを繰り返すことで、個別URL単位で検索結果から非表示にできます。
ただし、この操作は約6か月間の一時的非表示にすぎません。
手順③:不要なページをサーバー側で恒久的に削除する
GSCだけでは恒久的な削除はできません。以下のように技術的な設定変更が必要です。
- 削除したいURLを404(Not Found)または410(Gone)で返す
- noindexタグをHTML内に記述
- robots.txtでクロールを制御
- サイトマップから該当URLを削除
こうすることで、Googlebotが再クロール時にページの削除を認識し、インデックスから自動的に除外してくれます。
手順④:サイトマップを再送信する
すべての不要ページを削除したら、新しい構造に合わせてXMLサイトマップを再作成しましょう。
- WordPressなら「XML Sitemap & Google News」や「Yoast SEO」プラグインで自動生成可能
- 静的サイトの場合はsitemap.xmlを手動で修正
その後、GSCの「サイトマップ」メニューから新しいURLを送信します。これにより、Googleが最新のページ構造を認識しやすくなります。
手順⑤:重要ページを優先して再登録する
完全に削除して再登録する場合、すべてのページを一度にリクエストするとGooglebotが混乱します。
そのため、以下のように段階的に再登録するのが理想です。
- トップページ
- 主要カテゴリー(サービス・商品ページなど)
- 高品質なコンテンツページ
- 補足ページ(ブログ・FAQなど)
「URL検査」ツールで個別に「インデックス登録をリクエスト」することで、早期に再クロールを促進できます。
削除・再登録時に起こりがちなトラブル
削除や再登録を行うと、次のような問題が発生することがあります。
- インデックスが消えずに残る
- 新サイトマップが正しく認識されない
- クロール済み – インデックス未登録 状態が長引く
- SEO評価の一時的低下
これらの問題を回避するには、削除作業と再登録を同時に行わず、1〜2週間程度の間隔を空けて段階的に進めるのが安全です。
SEOへの影響:インデックス削除で順位はどうなる?
すべてのページを削除すると、一時的に検索順位が大きく低下します。
Googleのアルゴリズムは、サイト構造や内部リンクを基に評価しているため、インデックス情報が消えると「評価の再構築」が必要になります。
再登録後、平均で2〜4週間かけて順位が戻るのが一般的です。
この間に行うべきことは以下の通りです。
- 内部リンクを再構築する
- コンテンツの品質を改善する
- 外部リンク(被リンク)を維持・更新する
- 更新頻度を上げてクロール促進を狙う
これらを意識すれば、リセット後のSEO回復もスムーズになります。
完全削除せずに「リセット」する代替方法
実は、GSCで全削除をしなくても「データをリセット」することは可能です。
- プロパティを削除し、新規プロパティとして再登録
- 過去のインデックスを維持したまま、新しいサイトマップを上書き送信
この方法なら、インデックスを完全に消さずに新しい構造を反映できます。
SEOリスクを最小限に抑えたい場合はこちらの方法がおすすめです。
再登録後に確認すべきポイント
再登録が完了したら、次の項目をチェックしましょう。
- サイトマップの送信ステータスが「成功」になっているか
- インデックス登録済みURLの数が増えているか
- カバレッジレポートにエラーがないか
- 検索パフォーマンスでクリック数・表示回数が戻っているか
これらを数日〜数週間単位で確認することで、再登録後のインデックス状況を正確に把握できます。
まとめ
グーグルサーチコンソールで一度すべてのページを削除して再登録する作業は、慎重に行う必要があります。
- 「削除」は一時的措置であり、完全削除には技術的対応が必要
- 削除前には必ずデータのバックアップを取る
- サイトマップと内部リンクを整理し、段階的に再登録する
- 再登録後のSEO回復には2〜4週間程度の時間を見込む
焦らず、正しい手順で進めることで、クリーンで最適化された状態を再構築することができます。

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