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天皇制は右翼・左翼でどう違う?「右翼=天皇支持、左翼=反対」が間違いな理由を解説

「右翼は天皇を支持する。左翼は天皇制に反対する」

日本の政治を少し調べると、こんな説明をよく見かけます。

確かに、大まかな傾向としては完全な間違いではありません。しかし、私はこの説明だけで右翼と左翼を理解するのは、かなり危険だと思っています。

なぜなら、現在の日本では**天皇は政治を行う存在ではなく、日本国と日本国民統合の「象徴」**だからです。

しかも、保守側でも「今の象徴天皇制を維持する」という考えと、「天皇を元首として憲法に明記したい」という考えがあります。

反対に左派側にも、「現在の象徴天皇制を認める」「将来的には制度を見直したい」など複数の立場があります。

では、右翼と左翼は天皇をどう考えているのでしょうか?

結論から言えば、「天皇が好きか嫌いか」ではなく、天皇を日本という国家の中でどのように位置づけるかが本当の争点です。

この違いを理解すると、日本の右翼・左翼という言葉もかなり分かりやすくなります。

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目次

そもそも現在の天皇とはどのような存在なのか

最初に押さえなければならないのが、日本国憲法です。

ここを無視して天皇制を語ると、話が一気に思想論へ飛んでしまいます。

天皇は「日本国と日本国民統合の象徴」

日本国憲法第1条では、天皇について次のように定めています。

「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」であり、その地位は「主権の存する日本国民の総意に基く」とされています。

つまり現在の日本では、主権を持っているのは天皇ではなく国民です。

これはかなり重要です。

戦前の制度と現在の象徴天皇制を、そのまま同じものとして語ることはできません。

衆議院の日本国憲法全文:
日本国憲法|衆議院

天皇には政治を決定する権限がない

さらに憲法第4条では、天皇は憲法で決められた国事行為だけを行い、**「国政に関する権能を有しない」**とされています。

つまり、

・法律を自分で作る
・政策を決める
・税金を決める
・戦争を決める
・総理大臣を自由に選ぶ

このような政治判断を天皇が行う制度ではありません。

内閣総理大臣の任命も、国会が指名した人物を天皇が任命します。

宮内庁も、天皇の国事行為には内閣の助言と承認が必要であり、天皇には国政に関する権能がないと説明しています。

天皇|宮内庁

ここを理解すると、「右翼が天皇を政治の最高権力者として支持している」という説明が雑すぎることも分かります。

現在議論されているのは、もっと複雑なのです。

なぜ「右翼=天皇支持」と言われるのか

では、なぜ右翼や保守は天皇を重視するのでしょうか。

私は一番大きな理由は、天皇を日本の歴史・伝統・国家の連続性を示す存在として考えているからだと思います。

保守思想では歴史や伝統が重視される

一般的に保守思想では、

・歴史
・伝統
・国家
・文化
・家族
・社会秩序

などを重視します。

日本では皇室が非常に長い歴史を持っているため、天皇や皇室を日本文化の重要な一部として考える人が多いわけです。

つまり、

「天皇が政治権力を持つべきだ」

というより、

「日本という国の歴史的な中心として皇室を守るべきだ」

という考えのほうが、現代の保守を理解するには近いでしょう。

この違いはかなり重要です。

自民党の2012年改憲草案では「元首」とした

さらに踏み込んだ考えもあります。

自由民主党が2012年に公表した日本国憲法改正草案では、天皇について「日本国の元首」と位置づける案が示されました。

当時の自民党の説明でも、第1条について「天皇が日本国の元首」とする内容が発表されています。

谷垣禎一総裁が「憲法改正草案」を発表|自由民主党

ただし、ここで注意したいのは、2012年の改憲草案と現在の日本国憲法は別物だということです。

現在の憲法には「天皇は元首である」とは書かれていません。

したがって、

「現在、日本国憲法によって天皇が政治的な元首として定められている」

という説明は正確ではありません。

この部分をごちゃ混ぜにすると、憲法の話が一瞬で政治思想バトルになります。

左翼は本当に天皇制に反対しているのか

ここも非常に誤解されやすい部分です。

「左翼=天皇制廃止」

と考える人は多いでしょう。

しかし、現在の日本政治ではそれほど単純ではありません。

左派は国民主権や平等を重視する

左派・革新系の思想では一般的に、

・国民主権
・個人の権利
・平等
・民主主義
・権力の制限

などを強く重視します。

そのため、世襲によって特別な地位が受け継がれる皇室制度について疑問を持つ考えが生まれやすいのです。

これは「天皇個人が嫌い」という話とはまったく違います。

制度としてどうなのか、という議論です。

ここは分けて考えたほうがいいでしょう。

日本共産党も「今すぐ天皇制廃止」ではない

特に誤解が多いのが日本共産党です。

「共産党が政権を取ったらすぐ天皇制を廃止する」

と思っている人もいるでしょう。

しかし、現在の日本共産党の公式な立場は違います。

日本共産党は綱領で、現行憲法の天皇条項を含めて憲法を守る立場を示しています。現在の制度については、天皇に国政上の権能を持たせないという憲法上の制限を厳格に守る考えです。

一方で長期的には、天皇という制度は民主主義や人間の平等という考えと両立しないとして、民主共和制を目指す立場も示しています。

ただし、その存廃については「国民の総意」によって決めるべきだという立場です。

日本共産党綱領|日本共産党

つまり、

「現在の象徴天皇制を憲法に従って認める。しかし将来的な制度の在り方については国民が決める」

という立場です。

「左翼だから明日から皇室廃止」というほど単純な話ではありません。

右翼と左翼の違いを簡単に整理すると

では、天皇制についての違いをかなり単純化して整理してみます。

右翼・保守側

右翼や保守では、天皇や皇室について、

・日本の歴史や文化の中心
・国家の連続性を示す存在
・国民統合の象徴
・皇室の伝統を維持すべき

と考える傾向があります。

さらに一部では、憲法上も天皇を「元首」と明記したほうがいいという考えがあります。

つまり、天皇や皇室の歴史的・国家的価値を強く評価する方向です。

左翼・革新側

左派では、

・国民主権を守る
・天皇の政治利用を避ける
・制度上の特権をできるだけ限定する
・個人の平等との関係を考える

という視点が強くなります。

さらに一部には、将来的に共和制へ移行すべきだという考えもあります。

つまり、天皇の権威より国民主権や個人の平等を優先して制度を考える方向だと言えます。

「右翼=天皇を敬う人」でもない

ここからが個人的にはかなり重要だと思っています。

天皇を敬っているから右翼。

皇室に疑問を持ったから左翼。

こんな分類をしていたら、日本人のほとんどを左右どちらかに無理やり押し込むことになります。

政治思想はそんな簡単ではありません。

皇室を支持していても左派的な人はいる

例えば、

「象徴天皇制には賛成」

「憲法9条も維持したい」

「社会保障は充実させたい」

という人も当然います。

皇室を支持しているからといって、経済政策や安全保障まで保守的とは限りません。

逆も同じです。

保守でも皇室制度について改革を求めることはある

保守の中でも、

「皇位継承をどう安定させるのか」

「皇族数の減少をどうするのか」

などについて意見は分かれます。

だからこそ、天皇制への考え方だけを見て「右翼」「左翼」と判定するのはかなり乱暴なのです。

私は政治的な議論を見るとき、このラベル貼りはできるだけ避けたほうがいいと思っています。

天皇を政治利用することには注意が必要

もう一つ重要なのが、天皇と政治の距離です。

現行憲法では、天皇は国政に関する権能を持ちません。

これは、戦後日本の象徴天皇制を考えるうえで非常に重要な原則です。

天皇自身が政治を選択する制度ではない

例えば総理大臣の任命があります。

形式だけを見ると、

「天皇が総理大臣を任命している」

となります。

しかし、天皇が候補者の中から自由に選んでいるわけではありません。

国会が指名した人物を任命します。

つまり政治的な意思決定を天皇が行う制度ではないのです。

だから私は、右であれ左であれ、

「天皇陛下も自分たちの政治的主張を支持しているはずだ」

という形で政治に利用することには慎重になるべきだと思います。

象徴という存在を、自分たちの政治的主張の応援団にしてしまえば、象徴天皇制そのものと矛盾しかねません。

戦前の天皇制と現在の象徴天皇制は同じではない

天皇制について議論するとき、もう一つ混乱しやすいポイントがあります。

それが戦前と戦後です。

現在は国民主権が基本

現在の日本国憲法では、

「主権の存する日本国民」

と明確に書かれています。

天皇の地位そのものも国民の総意に基づくものです。

つまり、日本という国の最終的な政治的意思を決めるのは国民です。

ここが現在の象徴天皇制を理解する最大のポイントでしょう。

天皇制を議論するなら時代を分けるべき

ネットでは、

「戦前の天皇制はこうだった」

という話から、

「だから現在の天皇制もこうだ」

と結論を出す議論があります。

しかし制度そのものが大きく変わっています。

逆に、

「現在は象徴だから歴史上もずっと同じだった」

という理解も違います。

戦前と戦後をきちんと分けなければ、天皇制の議論はほぼ確実に迷子になります。

結局「右翼と左翼」は何を争っているのか

ここまで見てくると、本当の争点が見えてきます。

右翼と左翼が天皇について争っているのは、

「天皇が好きか嫌いか」

ではありません。

もっと根本的な、

「日本という国家をどう考えるのか」

という違いです。

保守は「歴史から続く国家」を重視する

保守的な考えでは、日本は現在生きている国民だけのものではありません。

過去から文化や伝統を受け継ぎ、それを未来へつなげていく国家だと考えます。

そこで天皇や皇室が重要な存在になります。

左派は「現在の国民が決める国家」を重視する

一方で左派では、現在生きている国民の意思や個人の権利をより重視します。

そのため、

「なぜ世襲の制度が必要なのか」

「個人の平等とどう両立するのか」

という疑問が生まれます。

どちらも、日本という国家をどう設計するのかという議論なのです。

ここまで整理すると、単なる「天皇好きVS天皇嫌い」という話ではないことが分かるはずです。

天皇制を右翼・左翼だけで判断するのは危険

私は天皇制を考えるとき、「右翼だから」「左翼だから」と最初から答えを決める必要はないと思っています。

考えるべきなのは、

・象徴天皇制を維持するのか
・国民主権との関係をどう考えるのか
・皇室の伝統をどこまで守るのか
・皇位継承制度をどうするのか
・天皇と政治の距離をどう保つのか

という具体的な問題です。

右か左かは、その後でいいのです。

ラベルを先に貼ると、相手の主張を理解する前に議論が終わります。

日本の政治議論でよくある残念なパターンです。

まとめ

「右翼=天皇制支持、左翼=天皇制反対」という説明は、完全な間違いではありません。

しかし、それだけでは現在の日本政治をほとんど説明できません。

現在の日本国憲法では、天皇は日本国と日本国民統合の象徴であり、主権は国民にあります。また、天皇には国政に関する権能がありません。

保守側では皇室を日本の歴史・伝統・国家の連続性を象徴する存在として重視する傾向があります。自民党の2012年憲法改正草案のように、天皇を「元首」と明記する考えも存在します。

一方、日本共産党のように将来的な共和制を理想としながらも、現在の象徴天皇制については憲法に従い、制度の存廃は国民の総意によって決めるべきだとしている左派政党もあります。

つまり本当の争点は、

「天皇を支持するか反対するか」ではなく、「日本という国家の中で天皇をどのような存在として位置づけるのか」

なのです。

天皇を敬えば右翼、天皇制に疑問を持てば左翼。

そんな二択で日本政治を理解したつもりになるのは、さすがに雑すぎます。

天皇、国民主権、伝統、平等、政治との距離。

それぞれを分けて考える。

そのほうが、日本の右翼と左翼の違いをはるかに正確に理解できるはずです。

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この記事を書いた人

30代ブロガー
いろいろあって苦労したことの備忘録
少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです✨

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