ハンバーガーといえば、牛肉のパティを思い浮かべる人が多いだろう。私も長い間、バーガーは「肉を食べる料理」だと思っていた。
ところが最近は、その常識に少し変化が出ている。
主役になるのは肉ではない。魚だ。
白身魚を揚げた定番のフィッシュバーガーはもちろん、サバ、サーモン、マグロ、地魚などを使った「サカナバーガー」という楽しみ方が広がっている。
しかも、これが意外に侮れない。
魚ならヘルシーなのか?肉のバーガーより満足感はあるのか?そもそも昔からあるフィッシュバーガーと何が違うのか?
調べてみると、サカナバーガーには単なる「肉の代用品」では終わらない面白さがある。魚をもっと手軽に食べたい人にとって、かなり相性のいい料理なのである。
サカナバーガーとは?
魚を主役にしたハンバーガー
サカナバーガーとは、簡単にいえば魚をメインの具材にしたハンバーガーだ。
代表的なのは、白身魚に衣を付けて揚げ、それをバンズではさんだタイプだろう。
マクドナルドの「フィレオフィッシュ」は非常に有名だ。日本では1971年の創業時から販売されているロングセラー商品で、現在はスケソウダラを使っている。つまり、魚を使ったバーガーそのものは決して新しい料理ではない。
それでも、現在のサカナバーガーには少し違う面白さがある。
使われる魚が白身魚だけではなくなっているからだ。
サバ、サーモン、ブリ、アジなど、さまざまな魚をバーガーにできる。魚をフライにするだけでなく、焼いたり、照り焼きにしたり、魚の身をミンチにしてパティにしたりする方法もある。
私はここがサカナバーガーの面白いところだと思う。
「フィッシュフライをパンにはさむ料理」ではない。
魚料理そのものを、バーガーという形に変えることができるのだ。
フィッシュバーガーとの違いはかなり曖昧
「サカナバーガーとフィッシュバーガーは何が違うの?」
当然、そんな疑問も出てくる。
実際のところ、明確な定義があるわけではない。
一般的なフィッシュバーガーは、白身魚のフライにタルタルソースやチーズを合わせるスタイルが多い。
一方で「サカナバーガー」という言葉を広く考えるなら、もっと自由だ。
焼いたサバを使ってもいい。サーモンを使ってもいい。地元で獲れた魚をパティにしてもいい。
つまり、サカナバーガーという呼び方には「魚をもっと自由にバーガーとして楽しむ」という意味を持たせやすい。
ここが今後面白くなりそうな部分である。
なぜ今サカナバーガーが注目されるのか
日本では魚を食べる量が減っている
日本は魚をよく食べる国というイメージが強い。
しかし、現実を見ると少し違う。
水産庁によると、日本人1人当たりの食用魚介類の消費量は2001年度の40.2kgをピークに減少してきた。2022年度には22.0kgまで減っている。
ほぼ半分近い水準まで落ちているのだから、かなり大きな変化だ。
なぜ魚を食べなくなったのか。
水産庁も、魚には「調理が面倒」「下処理が必要」「ごみの処理に手間がかかる」といった問題があると指摘している。
これは非常によく分かる。
肉ならパックから出して焼くだけで済むことが多い。一方、魚は種類によって骨を取ったり、内臓を処理したり、グリルを洗ったりする必要がある。
忙しい日にわざわざ魚を選ぶ人が減るのも不思議ではない。
そこでサカナバーガーである。
魚を下処理する必要はない。
手で持って、そのまま食べられる。
魚料理が抱えていた「面倒」という弱点を、バーガーという形式ならかなり小さくできるのだ。
魚を手軽に食べられるのが強い
水産庁の調査では、魚介類を買う理由として「健康に配慮したから」「魚介類の方がおいしいから」という声がある一方、買わない理由には価格や調理の面倒さが挙げられている。
つまり、魚そのものが嫌われているわけではない。
食べたい。
でも面倒なのだ。
なんとも人間らしい話だが、この問題は重要である。
サカナバーガーなら、魚のおいしさを残しながら、食べるまでの面倒を減らせる。
魚食を増やす方法として、かなり理にかなっていると私は思う。
実際、水産庁も水産物の消費拡大を目的として、毎月3日から7日を「さかなの日」と定めている。2026年7月時点では1,100を超える企業や団体がこの活動に賛同している。
魚を昔ながらの焼き魚や煮魚だけで食べる必要はない。
バーガーでもいいのである。
サカナバーガーは本当にヘルシーなのか?
魚には大切な栄養素が含まれている
サカナバーガーが注目される理由の一つが健康イメージだ。
魚にはたんぱく質が含まれ、種類によってはEPAやDHAなどのn-3系脂肪酸も摂ることができる。
厚生労働省の情報でも、EPAやDHAはn-3系脂肪酸に含まれ、魚介類などから適量を摂取することは健康の保持・増進に重要だとされている。
現在の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、n-3系脂肪酸には年齢や性別ごとの目安量が設定されている。
肉ばかりになりやすい人にとって、魚を選択肢に加える意味は十分にある。
「魚=低カロリー」とは限らない
ただし、ここで一つ注意したい。
サカナバーガーなら何でもヘルシーというわけではない。
これはかなり重要だ。
魚そのものが比較的あっさりしていても、衣を付けて油で揚げれば脂質やカロリーは増える。さらにタルタルソース、マヨネーズ、チーズを大量に使えば、当然ながら全体のカロリーは上がる。
例えばマクドナルドのフィレオフィッシュは、公式の栄養情報では1個338kcal、たんぱく質15.1g、脂質14.2gとなっている。
これは「悪い」という意味ではない。
大切なのは、魚を使っているという理由だけで無条件に健康食品だと思わないことだ。
焼き魚タイプなのか。
フライなのか。
ソースは多いのか。
野菜は入っているのか。
ここまで見て初めて、そのサカナバーガーの特徴が分かる。
サカナバーガーに合う魚は意外と多い
白身魚は王道
最も食べやすいのは白身魚だ。
スケソウダラ、タラ、ホキなど、クセの少ない白身魚はバンズやソースとの相性がいい。
身が淡泊なので、タルタルソース、チーズ、レタスなどを加えても魚の味が邪魔をしにくい。
初めてサカナバーガーを食べるなら、このタイプが一番入りやすいだろう。
サバは和風バーガーと相性がいい
個人的に面白いと思うのがサバだ。
サバは白身魚より脂があり、味も強い。
そのため、大根おろし、しょうゆ、ショウガ、大葉など、日本らしい食材と組み合わせやすい。
塩サバを焼き、レタスや玉ねぎと一緒にパンにはさむだけでも十分成立する。
魚の存在感をしっかり楽しみたいなら、白身魚よりサバの方が向いている場合もある。
サーモンなら洋風にしやすい
サーモンもバーガーとの相性がいい。
焼いたサーモンにアボカド、レタス、クリーム系のソースを合わせれば、かなり洋風になる。
サーモンを細かくしてパティにする方法もある。
魚臭さが苦手な人でも比較的食べやすいため、サカナバーガーの入口として使いやすい魚だ。
地魚を使えば地域の名物にもなる
さらに面白いのが地魚だ。
その地域で獲れた魚を使えば、その場所でしか食べにくいサカナバーガーを作れる。
牛肉のハンバーガーでは、地域差を出そうとするとソースや野菜に頼ることが多い。
魚なら主役そのものを変えられる。
春はこの魚。
夏はこの魚。
秋はこの魚。
旬によってバーガーが変わってもいい。
こうなるとサカナバーガーは単なるファストフードではなく、地域の魚を知る入口にもなる。
サカナバーガーはサステナブルという視点でも面白い
魚を食べるときは、おいしさや栄養だけでなく、水産資源についても少し考えたい。
すべての魚を好きなだけ獲り続けられるわけではない。
だからこそ、どこで獲れた魚なのか、どのような方法で漁獲されたのかという視点も重要になっている。
例えばマクドナルドでは、フィレオフィッシュにMSC認証を取得した漁業で獲られた天然のスケソウダラを使用している。
MSC認証は、持続可能な漁業で獲られた水産物を消費者が選ぶための一つの目印になる。
もちろん、認証があるかどうかだけですべてを判断できるわけではない。
それでも、「何の魚を使っているか」だけでなく、「その魚がどこから来たのか」を見る習慣が広がるのは悪くない。
サカナバーガーには、そんな入口としての可能性もある。
家でもサカナバーガーは簡単に作れる
一番簡単なのは白身魚フライを使う方法
サカナバーガーを自宅で作るなら、最初から魚をさばく必要はない。
冷凍の白身魚フライでも十分だ。
バンズに、
・白身魚フライ
・レタス
・スライスチーズ
・タルタルソース
をはさめば完成する。
これだけでも立派なサカナバーガーになる。
さらにトマトや玉ねぎを加えてもいい。
料理は続かなければ意味がない。
毎回魚を三枚におろして骨を抜く必要などないのだ。
焼き魚を使えばさらに軽くできる
揚げ物を避けたいなら、魚を焼けばいい。
サバ、サーモン、ブリなどに軽く塩を振り、フライパンで焼く。
それを野菜と一緒にパンにはさむ。
これだけだ。
しょうゆベースのソースにすれば和風になり、ヨーグルトやマスタードを使えば洋風になる。
同じ魚でもソースを変えるだけで印象はかなり変わる。
サカナバーガーは、思っている以上に自由な料理なのである。
サカナバーガーは「魚を食べる面倒」を変える可能性がある
日本では魚の消費量が長い間減っている。
しかし、「魚がおいしくないから食べない」という単純な話ではない。
調理が面倒。
骨がある。
後片付けが大変。
こうした小さな面倒が重なって、魚から遠ざかっている面がある。
だったら、食べ方を変えればいい。
焼き魚でなければいけない理由はない。
刺身でなければいけない理由もない。
パンにはさんでも、魚は魚だ。
サカナバーガーなら、白身魚、サバ、サーモン、地魚まで自由に使える。フライにもできるし、焼くこともできる。
しかも手で持って食べられる。
私は、この気軽さこそサカナバーガー最大の魅力だと思う。
まとめ
サカナバーガーは、魚を使ったハンバーガーというシンプルな料理だ。
しかし、その中身はかなり奥深い。
白身魚のフライだけでなく、サバ、サーモン、ブリ、アジなど、さまざまな魚を使える。調理法もフライ、グリル、照り焼き、魚のパティなど自由だ。
魚にはたんぱく質やn-3系脂肪酸などを摂れるメリットもある。一方、揚げ物やソースの量によってはカロリーや脂質が高くなるため、「魚だから必ずヘルシー」と考えるのは少し乱暴だ。
それでも、サカナバーガーには大きな強みがある。
魚を簡単に食べられることだ。
日本で魚の消費量が減っている今、昔ながらの魚料理だけにこだわる必要はない。
肉の代わりに仕方なく魚を選ぶのではなく、「今日は魚のバーガーが食べたい」と思える料理が増える。
そこまでいけば、サカナバーガーは単なる変わり種ではない。
魚をもう一度、普段の食事に戻すための新しい選択肢になるはずだ。

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