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PCケースファン性能比較の完全ガイド|CFM・静圧・騒音・PWMで失敗しない選び方

PCケースファンなんて、回転数が高くて風量が多い製品を買えばいい。そう思って選ぶと、かなり危ない。

「2000RPMだから冷える」「CFMが高いから高性能」という比較は、半分しか合っていないからだ。

では、PCケースファンの性能は何を見ればいいのか?

結論から言えば、風量・静圧・騒音・回転数・PWM制御をセットで見る必要がある。さらに重要なのが、ファンを取り付ける場所だ。

ケース前面が大きく開いたメッシュなのか。細かい防塵フィルターがあるのか。ラジエーターを通すのか。

ここが変わるだけで、必要なファン性能も変わる。

私はPCケースファンを比較するとき、最大RPMだけで判断しない。むしろ最初に見るのは「その風を邪魔するものがあるか」である。この考え方を知っておけば、高価なファンを何となく買う必要はなくなる。

目次

PCケースファンの性能比較で見るべきポイント

PCケースファンの商品ページを見ると、CFM、mmH2O、dB(A)、RPMなど、意味の分かりにくい数字が並んでいる。

しかし、見るべき数字はそれほど多くない。

主に確認したいのは次の5つだ。

  • 風量(CFM)
  • 静圧(mmH2O)
  • 騒音(dB(A))
  • 回転数(RPM)
  • PWM対応と回転数の調整範囲

ここから一つずつ整理していく。

CFMは「どれだけ空気を運べるか」

CFMは「Cubic Feet per Minute」の略で、1分間に移動できる空気量を示す。

数字が大きいほど、多くの空気を動かせる。

たとえばNoctua NF-A12x25 PWMは最大60.09CFM、CORSAIR AF120 ELITEは最大59.1CFMと公表されている。

Noctua NF-A12x25 PWM 公式仕様
CORSAIR AF120 ELITE 公式仕様

CFMが高ければ、抵抗の少ない場所では大量の空気を入れたり出したりしやすい。

つまり、ケース背面の排気や、広いメッシュ部分の吸気では重要な数字になる。

ただし、ここで問題がある。

ケースには防塵フィルターや細かなメッシュが付いていることが多い。空気が何の抵抗もなく流れる状況は、意外と少ない。

そこで重要になるのが静圧だ。

静圧は「抵抗があっても風を押し込める力」

静圧は一般的に「mmH2O」で表示される。

簡単に言えば、空気が通りにくい場所でも押し進める力だ。

ラジエーター、CPUクーラー、防塵フィルター、細かなメッシュなどを通す場合には、CFMだけでなく静圧が重要になる。

たとえばNoctua NF-F12 PWMは最大静圧2.61mmH2O。ARCTIC P12 PWMは2.2mmH2Oで、どちらも圧力を重視した設計になっている。

Noctua NF-F12 PWM 公式仕様
ARCTIC P12 公式情報

ARCTICもP12について、ヒートシンクやラジエーターなど、空気抵抗が増える場所に向いた設計だと説明している。

そのため、

「ケースファンだからCFMだけ見ればいい」

とは言い切れない。

前面に厚いフィルターがあるケースなら、ケースファンでも静圧性能はかなり重要になる。

dB(A)は静音性を見る数字

冷却できても、常に「ブオーッ」と鳴っていたら困る。

そこで見るのがdB(A)だ。

基本的には数字が小さいほど静かになる。

たとえば120mmファンでも、Noctua NF-A12x25 PWMは最大22.6dB(A)、CORSAIR AF120 ELITEは最大28.9dB(A)、be quiet! SILENT WINGS 4 120mmは最大18.9dB(A)といった仕様が公開されている。

ただし、この数字だけで「18.9dBのファンが絶対に一番静か」と決めるのも危険だ。

メーカーによって測定方法や条件が同じとは限らない。

さらにPCでは100%の回転数で使い続けることは少なく、実際には800RPMや1000RPM付近で使うことも多い。

私は静音性を重視するなら、最大dB(A)だけでなく、低回転まで落とせるかも必ず見るべきだと思う。

RPMが高いだけでは高性能とは限らない

RPMは1分間の回転数だ。

2000RPMなら、1分間に約2000回転する。

確かに回転数を上げれば、一般的には風量や静圧も増える。

しかし、騒音も増えやすい。

ここでありがちなのが、

「1800RPMより2500RPMのほうが高性能」

という判断だ。

それほど単純ではない。

羽根の形、フレームの形、モーター、軸受などによって性能は変わる。同じRPMでも風量や静圧は違う。

RPMは性能そのものではなく、性能を作る条件の一つと考えたほうがいい。

PCケースファンの性能を実際に比較してみる

120mmクラスの代表的なファンを見ると、違いが分かりやすい。

製品最大回転数最大風量最大静圧最大騒音
Noctua NF-A12x25 PWM2000RPM60.09CFM2.34mmH2O22.6dB(A)
Noctua NF-F12 PWM1500RPM54.97CFM2.61mmH2O22.4dB(A)
ARCTIC P12 PWM1800RPM56.3CFM2.2mmH2O0.3 Sone
CORSAIR AF120 ELITE1850RPM59.1CFM1.93mmH2O28.9dB(A)
be quiet! SILENT WINGS 4 120mm48.7CFM1.79mmH2O18.9dB(A)

※メーカー公表値をまとめたもの。測定方法や騒音の単位が統一されていないため、単純なランキングには使えない。

数字を見ると面白い。

NF-F12は風量ではNF-A12x25を下回る。しかし最大静圧は高い。

だからといって、NF-F12がすべての条件でNF-A12x25より優れているわけではない。

Noctua自身も、実際の冷却性能を見るには風量と静圧のバランス、つまりP/Q特性と、ケースやヒートシンク側の空気抵抗を考える必要があると説明している。

最大値だけを比べても、本当の性能は見えてこないわけだ。

ケースファンなら風量型と静圧型のどちらを選ぶべきか

ここが一番迷いやすい。

私は取り付ける場所で決めるのが一番分かりやすいと考えている。

抵抗の少ない排気なら風量を重視

ケース背面など、ファンの前後が大きく開いている場所なら、空気抵抗は比較的小さい。

この場合は風量を重視しやすい。

大量の空気をケース外へ出したいなら、CFMと騒音のバランスを見る。

特にリア排気は典型的だ。

静圧だけを追いかける必要はあまりない。

防塵フィルター付き吸気なら静圧も重要

ケース前面は少し事情が違う。

フィルター、メッシュ、フロントパネルなどが空気の流れを邪魔する。

見た目では大きく開いているようでも、その奥に細かなフィルターが入っていることもある。

このような場所では静圧が重要になる。

最近の高性能ファンに「風量型」「静圧型」の完全な境界がなくなってきているのも、このためだ。

風量と静圧の両方を確保した万能型は、ケースファンとしてかなり使いやすい。

ラジエーターなら静圧を優先

簡易水冷のラジエーターは、細かなフィンの間に空気を通す必要がある。

当然、空気抵抗は大きい。

ここでは静圧性能を重視したい。

Noctua NF-F12やARCTIC P12のように、メーカー自身が高抵抗環境向けとして設計しているファンが分かりやすい。

CFMだけを見て選ぶ場面ではない。

120mmと140mmはどちらがいいのか

ケースが対応しているなら、私は140mmを先に検討する。

理由は単純だ。

大きな羽根で空気を動かせるため、同じような風量をより低い回転数で出しやすい。

たとえばNoctua NF-A14 PWMは140mmで、最大82.52CFM、最大1500RPMとなっている。

Noctua NF-A14 PWM 公式仕様

Noctuaのケースエアフローガイドでも、取り付けられる範囲で大きな直径のファンを使うことが基本的な考え方として紹介されている。

ただし、140mmなら何でも120mmより優秀という意味ではない。

ケース側の設計やファン自体の性能も関係する。

「140mmが入るなら140mmを第一候補にする」

この程度に考えるのがちょうどいい。

PWM対応ファンを選ぶべき理由

今からPCケースファンを買うなら、特別な理由がない限り4ピンPWM対応を選びたい。

PWMではマザーボードから信号を送り、ファンの回転数を細かく調整できる。

Intelの設計資料でも、4線式ファンでは電源・GND・回転数信号・PWM信号を使う構成が示されている。

NoctuaもPC用途では4ピンPWMファンを推奨しており、BIOSやUEFIからファンカーブを設定する方法を案内している。

Noctua ファン設定ガイド

これがかなり重要だ。

アイドル時は500RPM程度まで落とす。

CPUやGPU温度が上がったら1000RPM。

さらに高温になったら1500RPM以上。

このような制御ができれば、冷却性能と静音性を両立しやすい。

PCケースファンは常時全開で回す必要などない。

ファンの数を増やせば冷えるとは限らない

「冷やしたいならファンを増やす」

これも半分正しく、半分間違っている。

大切なのは空気の流れだ。

基本は、

前や下から冷たい空気を入れ、後ろや上から熱い空気を出す。

これで十分だ。

Noctuaのエアフローガイドでも、フロント吸気とリア排気を基本に、CPUクーラーなどと同じ方向へ空気を流す構成が紹介されている。

Noctua PCケース・エアフローガイド

むやみに天面、底面、側面へ大量のファンを追加すると、風がぶつかる場合もある。

まず前面吸気と背面排気を整える。

温度がまだ高いなら追加する。

この順番で十分だ。

正圧と負圧も考えておきたい

吸気量が排気量より多い状態を正圧、排気量が多い状態を負圧と呼ぶ。

正圧には、ケースの隙間からホコリが入りにくくなる利点がある。

一方で負圧は、ケース内部の熱い空気を強く外へ出しやすい。ただしケースの隙間からホコリも吸いやすい。

私は普段使いのPCなら、

少しだけ吸気を強くする

くらいが扱いやすいと思う。

前面2~3基吸気、背面1基排気、必要なら天面後方1基排気。

この程度から始めればいい。

ファンの枚数を左右で完全に同じにする必要はない。PWM設定で回転数を変えられるからだ。

軸受も確認したほうがいい

ファン中央には軸受が入っている。

製品によって、

  • スリーブ系
  • ボールベアリング系
  • Fluid Dynamic Bearing(FDB)
  • メーカー独自の改良型

などがある。

CORSAIR AF120 ELITEではFluid Dynamic Bearingを採用し、摩擦や騒音を抑えながら耐久性を高める設計としている。

Noctuaでは独自のSSO2ベアリングを採用する製品が多い。

ただし、「FDBだから絶対に静か」とは考えないほうがいい。

ファンの音はモーター、羽根、フレーム、回転数などにも左右される。

軸受は重要だが、それだけで性能は決まらない。

PCケースファンを選ぶときのおすすめ手順

ここまでの条件を実際の買い物に当てはめると、選び方はかなり簡単になる。

1.ケースが対応するサイズを確認する

最初に120mm、140mmなどの対応サイズを見る。

140mmが取り付けられるなら140mmを優先して検討する。

2.取り付け場所を見る

背面排気なら風量重視。

フィルター付きの前面吸気なら風量と静圧。

ラジエーターなら静圧をより重視する。

これだけでも候補はかなり減る。

3.CFMと静圧を両方見る

片方だけ見ない。

抵抗がある場所ほど静圧を重視する。

開放された場所ほどCFMを重視する。

4.騒音と回転数を見る

最大回転時の騒音だけではなく、どこまで低回転にできるか確認する。

普段500~1000RPM程度で静かに動かせるファンは使いやすい。

5.4ピンPWMを選ぶ

BIOSやUEFIでファンカーブを作れるようにする。

私はここをかなり重視する。

高性能なファンでも常に全開なら、うるさいだけになりかねない。

6.最後に価格を見る

安いファンが悪いとは限らない。

ARCTICのPシリーズのように、比較的価格を抑えながら高い静圧性能を狙った製品も存在する。

逆に高級ファンの強みは、最大性能だけではなく、低回転域の扱いやすさ、振動対策、保証、付属品などにある場合が多い。

値段だけで性能を判断する必要はない。

まとめ:PCケースファン性能比較は最大RPMだけ見てはいけない

PCケースファンを選ぶとき、最大回転数だけ比べる方法はおすすめできない。

重要なのは、

  • CFM=空気を運ぶ量
  • 静圧=抵抗に逆らって風を送る力
  • dB(A)=騒音
  • RPM=回転数
  • PWM=回転数を調整する仕組み

という違いを理解することだ。

そして何より、どこに取り付けるファンなのかで評価を変える必要がある。

抵抗の少ない背面排気なら風量を重視する。

防塵フィルターのある前面吸気なら静圧も見る。

ラジエーターなら静圧を強く意識する。

迷った場合は、風量と静圧のどちらか一方だけが極端に高い製品より、両方のバランスが取れたPWM対応ファンのほうが扱いやすい。

PCケースファンは小さな部品だ。しかし、ケース内の空気を実際に動かしているのはこの部品である。

CPUやGPUに何万円も使いながら、ケースファンだけ「光るし安いから」で決めるのは、さすがにもったいない。

数字の意味さえ分かれば、PCケースファン選びはそれほど難しくない。最大値ではなく、自分のケースの中でどう働くかを見るべきだ。

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この記事を書いた人

30代ブロガー
いろいろあって苦労したことの備忘録
少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです✨

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