MacBook Proは本当に「最高のノートPC」なのだろうか?
性能は高い。ディスプレイもきれい。バッテリーも長い。Appleシリコンになってから、MacBook Proの完成度がかなり高くなったことは間違いない。
しかし、2026年9月現在の現行MacBook Proを冷静に見ると、手放しでおすすめできる製品でもない。
特に気になるのが、価格の高さ、重量、無印M5モデルの微妙な立ち位置だ。さらに細かく見ると、「Pro」という名前なのに通信規格や付属品で妙に差をつけている部分まである。
高性能だから買えば間違いない。
そう考えているなら、私は一度止まったほうがいいと思う。
MacBook Proは非常に優れたパソコンだ。しかし、その性能を本当に必要としていない人にとっては、高額で重たいオーバースペックPCになりやすいからだ。
今回は現行MacBook Proのダメな点を、2026年時点のM5・M5 Pro・M5 Maxモデルを中心に詳しく見ていく。
Apple公式の現行仕様はこちらから確認できる。
Apple公式:MacBook Proの仕様 MacBook Pro – 仕様 – Apple
現行MacBook Proのダメな点とは?
現在のMacBook Proには、14インチと16インチがある。
14インチではM5、M5 Pro、M5 Maxを選択でき、16インチではM5 ProまたはM5 Maxを選べる。性能だけを見れば文句をつけにくい構成だ。M5 Proでは最大18コアCPU、M5 Maxでは最大40コアGPUまで用意されている。
問題は、その性能と引き換えに払うものがかなり多いことだ。
1.とにかく価格が高い
最初にぶつかるのが価格だ。
2026年9月時点のApple Storeでは、14インチMacBook Proが339,800円から、16インチが519,800円からとなっている。
ノートパソコンとして見ると、完全に高級機の価格帯だ。
しかもMacBook Proの場合、メモリやSSDを増やしていくと価格はさらに上がる。
たとえばM5 ProやM5 Maxでは、48GB、64GB、128GBといった大容量ユニファイドメモリを選べる。SSDも最大8TBまで用意されている。
性能が必要なプロなら理解できる。
しかし、ブラウザ、Office、ブログ執筆、動画視聴、Zoom、軽い画像編集程度で30万円以上を出す意味があるかと言われると、私はかなり疑問だ。
MacBook Proは「良いパソコンだから高い」というより、「高性能を使い切れる人なら価格を正当化できるパソコン」と考えたほうがいい。
ここを間違えると悲惨だ。
30万円以上払って、やっていることがChromeとExcelだけ。
かなり豪華な使い方である。
2.14インチですら軽くない
MacBookという名前から、薄くて軽いパソコンを想像する人もいると思う。
しかしMacBook Proは、それほど軽くない。
14インチMacBook Proの重量は、
- M5:1.55kg
- M5 Pro:1.60kg
- M5 Max:1.62kg
となっている。16インチになるとM5 Proで2.14kg、M5 Maxでは2.15kgだ。
一方、13インチMacBook Airは1.23kg、15インチMacBook Airでも1.51kgである。
14インチMacBook Proと13インチAirでは300g以上違う。
数字だけを見ると小さく感じるかもしれない。
しかし毎日バッグに入れて持ち歩くなら、この差はかなり大きい。充電器、ケーブル、マウス、モバイルバッテリーなどまで加えると、荷物はさらに重くなる。
そして16インチは2kgを超える。
私は16インチMacBook Proを「気軽に持ち歩くノートPC」と考えるのは無理があると思う。
家と職場を車で移動するなら問題ない。
しかし電車通勤や徒歩移動が多いなら、この重さは確実に弱点になる。
3.無印M5モデルの立ち位置がかなり微妙
現行MacBook Proで個人的に一番悩ましいのが、無印M5を搭載した14インチモデルだ。
M5自体が悪いわけではない。
10コアCPU、10コアGPU、153GB/sのメモリ帯域幅を持ち、普通の用途では十分すぎるほど速い。
問題はMacBook AirにもM5が搭載されていることだ。
M5 MacBook Airも10コアCPUを搭載し、構成によって10コアGPUを選択できる。メモリ帯域幅も153GB/sだ。
もちろんMacBook Proには、
- Liquid Retina XDRディスプレイ
- 最大120HzのProMotion
- HDMI
- SDXCカードスロット
- 冷却ファン
- より多いポート
などの利点がある。
ここには明確な差がある。
ただしCPUそのものを目的に無印M5 MacBook Proを買うと、「これならAirで十分だったのでは?」という疑問が出やすい。
動画編集や長時間の高負荷作業をしないなら、なおさらだ。
MacBook Proを買うのであれば、私はM5 Pro以上を必要とするかどうかを最初に考えたい。
必要ないなら、MacBook Airのほうが合理的な可能性は高い。
4.無印M5だけ通信・接続規格が一段落ちる
さらに気になるのが、同じMacBook Proなのに無印M5だけ仕様が一部違うことだ。
無印M5モデルはThunderbolt 4で、最大40Gb/s。
それに対してM5 ProとM5 MaxはThunderbolt 5となり、最大120Gb/sに対応する。
無線通信にも差がある。
無印M5は、
- Wi-Fi 6E
- Bluetooth 5.3
なのに対して、M5 ProとM5 Maxは、
- Wi-Fi 7
- Bluetooth 6
- Thread
に対応している。
もちろん普通にインターネットを見るだけなら、Wi-Fi 6Eでも困らない。
Thunderbolt 4も十分高速だ。
それでも「MacBook Pro」という同じ名前の商品を買って、チップによって通信規格まで変わるのは少々わかりにくい。
数年間使う高価なパソコンだからこそ、この差は購入前に知っておきたい。
5.「Pro」なのにUSB-Aと有線LANはない
MacBook Proは以前よりかなりポートが増えた。
現在は、
- Thunderbolt 4またはThunderbolt 5 ×3
- HDMI
- SDXCカードスロット
- MagSafe 3
- 3.5mmヘッドフォンジャック
を搭載している。
かなり改善されている。
しかしUSB-AとEthernet端子はない。
ここは仕事用として考えると地味に面倒だ。
企業で使われているUSBメモリ、古い外付けHDD、USBレシーバー、測定機器などには、まだUSB-Aが普通に残っている。
有線LANも同じだ。
大量データを扱う仕事や安定したネットワークが必要な環境なら、有線LANを使いたい場合もある。
結局、USB-CハブやThunderboltドックを持ち歩くことになる。
数十万円する「Pro」のノートPCなのだから、全部入りを期待したくなる。しかし現実には、アダプター生活から完全には逃げられない。
6.高速充電したいのに付属充電器では足りない構成がある
細かいが、これはかなりAppleらしい弱点だと思う。
14インチMacBook ProのM5モデルには70W USB-C電源アダプタが付属する。
しかし高速充電を利用するには96W以上のUSB PD電源が必要だ。
15コアCPUのM5 Proモデルも標準では70Wアダプタで、96Wアダプタはオプションとなる。
つまり高速充電に対応しているのに、標準の充電器ではその性能を使えない構成がある。
安いノートPCならまだ理解できる。
しかしMacBook Proは30万円を超える世界だ。
ここまで来ると96W充電器くらい最初から付けてほしいと思う。
7.Windowsを直接入れて使う選択肢がなくなった
Intel Macの時代には、Boot Campを使ってWindowsをMacへインストールできた。
しかしAppleが案内しているBoot CampはIntelプロセッサ搭載Macが対象だ。現行MacBook ProはAppleシリコンなので対象ではない。
Apple公式:Boot CampでWindowsをインストールする条件 Boot CampアシスタントでMacにWindows 10をインストールする – Appleサポート
これはWindows専用ソフトを使う人にはかなり重要だ。
仮想化ソフトなどを使ってWindows環境を用意する方法はあるが、昔のBoot Campのように「MacへWindowsを入れて、そのままWindows PCとして起動する」という使い方とは違う。
特に、
- Windows専用業務ソフト
- 一部のゲーム
- 特殊な周辺機器
- Windows環境での動作確認
が必要な人は注意したい。
MacBook ProのCPUやGPUがどれだけ速くても、使いたいソフトが動かなければ意味がない。
性能表だけでは見えない大きな弱点だ。
8.高価なのに内蔵カメラは4K撮影ではない
現行MacBook Proには12MPセンターフレームカメラが搭載されている。
デスクビューにも対応し、オンライン会議用途としてはかなり便利だ。
しかし仕様上、ビデオ撮影は1080p HDとなっている。
2026年の高価格ノートPCとして考えると、4K撮影に対応してほしいと思う人はいるだろう。
ZoomやGoogle Meetでは1080pでも十分なので、実用上の問題は大きくない。
ただしMacBook Proは映像制作にも使われる「Pro」の製品だ。
数十万円のPCを買っても、内蔵カメラの撮影解像度は1080p。
ここは少しちぐはぐに感じる。
それでもMacBook Proが優秀なのは間違いない
ここまで散々ダメなところを書いたが、MacBook Proそのものが悪い製品という意味ではない。
むしろ性能は非常に高い。
現行モデルはLiquid Retina XDRディスプレイを搭載し、最大120HzのProMotion、最大1,600ニトのピークHDR輝度に対応する。M5 ProとM5 MaxではThunderbolt 5、Wi-Fi 7、Bluetooth 6も利用できる。
M5 Proは最大18コアCPU、M5 Maxは最大40コアGPUを搭載でき、最大128GBのユニファイドメモリまで選択可能だ。
動画編集、3DCG、AI、プログラミング、大規模な写真編集など、本当に重い作業を持ち歩きたい人には非常に強い。
問題は「MacBook Proが良いか悪いか」ではない。
自分にMacBook Proが必要なのか、という話だ。
MacBook Proをおすすめしにくい人
次のような人なら、私はMacBook Proを買う前にMacBook Airも比較する。
- Web閲覧が中心
- WordやExcelが中心
- ブログを書く
- YouTubeを見る
- Zoomを使う
- 簡単な写真編集しかしない
- 毎日持ち歩く
- できるだけ軽いパソコンが欲しい
こうした用途なら、M5 MacBook Airでも性能不足になる可能性は低い。
Airなら13インチで1.23kgだ。MacBook Proの性能を持て余すくらいなら、軽さと価格を取ったほうが日常では快適なことも多い。
反対に、
- 長時間の動画編集
- 3DCG
- AI処理
- 大規模な開発
- 高解像度ディスプレイを複数接続
- Thunderbolt 5を使う
- 高負荷作業を長時間続ける
といった用途なら、MacBook Proを選ぶ理由はかなり強くなる。
まとめ|現行MacBook Pro最大の欠点は「必要ない人まで欲しくなること」
現行MacBook Proのダメな点をまとめると、価格が高く、14インチでも軽くはなく、16インチでは2kgを超える。
さらに無印M5モデルは、M5 MacBook AirとCPUの基本構成が近い一方で、M5 Pro/M5 MaxよりThunderboltやWi-Fiの規格が下になる。
USB-Aや有線LANもない。
高速充電には標準付属品では足りない構成まである。
WindowsをBoot Campで直接動かすこともできない。
どれも致命的ではない。
だが30万円、40万円、50万円と払う製品だからこそ、「まあ仕方ない」で済ませるには気になる部分だ。
私はMacBook Proについて、性能不足を心配する必要はほとんどないと思っている。
むしろ逆だ。
性能が高すぎる。
MacBook Proの一番危険なところは、その圧倒的な性能と「Pro」という名前によって、自分には必要のない性能まで欲しくなってしまうことだ。
動画編集も3DCGもしないのにMacBook Pro。
Thunderbolt 5対応機器を一台も持っていないのにM5 Pro。
ブラウザしか開かないのにM5 Max。
人間はスペック表を見ると急にプロになりたがる。
MacBook Proを買うなら、「何ができるか」ではなく、「自分が何をするか」で選ぶべきだ。
その答えが軽い作業中心なら、MacBook Airのほうが満足できる可能性は十分にある。
逆にMacBook Proの性能を毎日のように使い切れるなら、高い価格にも意味が出る。
現行MacBook Proは素晴らしい。
しかし、誰にでも素晴らしいわけではない。
そこを間違えないことが、一番重要だ。

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