旅行先のホテルや貸別荘で、お気に入りのワインを開ける。かなり良い時間になりそうだ。
ところが、ワインを普段の荷物と同じ感覚でスーツケースに放り込むのはおすすめできない。
「服で包んでおけば大丈夫では?」と思うかもしれない。私も1本程度なら、それで十分そうに感じる。ただ、ワインには瓶の破損だけでなく、高温、直射日光、振動、飛行機の液体物制限など、意外と多くの敵がいる。
特に夏の車内は危険だ。せっかく大切に保管してきたワインを、旅行の数時間で高温にさらすのはかなりもったいない。
結論からいえば、国内旅行ならワイン用バッグや保冷バッグを使い、温度と衝撃を抑えて運ぶ方法が基本だ。飛行機、とくに国際線を利用する場合は、さらに航空会社と税関のルールを確認する必要がある。
お気に入りの1本だからこそ、少しだけ準備して持っていきたい。
旅行先にワインを持っていくとき一番怖いのは「割れること」だけではない
ワインは高温と急な温度変化に弱い
ワインを運ぶと聞くと、まず瓶が割れることを心配する人が多い。
もちろん破損対策は必要だ。しかし、個人的にはそれ以上に気をつけたいのが温度である。
JWINEでは、未開封ワインの保存について、12〜15℃程度の涼しく温度差が少ない場所が適しているとしている。また、高温や大きな温度変化はワインの品質低下につながる可能性がある。
だからといって、旅行中ずっと13℃を維持しなければならないわけではない。数時間の移動でそこまで神経質になる必要はないだろう。
問題は夏である。
炎天下の車内やトランクにワインを長時間放置するのは避けたい。30℃を超えるような環境に置く時間は、できるだけ短くするべきだ。
「赤ワインだから常温でいい」という考え方も危ない。
日本の夏の常温は、ワインにとっての理想的な常温とはまるで違う。
直射日光にも当てない
光もワインには好ましくない。
JWINEでも直射日光などの光を避け、暗い場所で保存することが推奨されている。
車で運ぶなら、後部座席に裸のボトルを置くより、バッグや箱の中に入れたほうがいい。
透明なワインバッグは見た目こそ洒落ているが、長距離移動では光を遮るタイプのほうが使いやすい。
ワインは映えより暗闇を好む。なかなか面倒な酒である。
振動もできるだけ減らしたい
ワインは振動についても注意が必要とされている。
とはいえ、普通の旅行で数時間車に乗っただけでワインが台無しになる、と考える必要まではない。
私なら「振動を完全になくす」のではなく、
- ボトル同士をぶつけない
- バッグの中で転がらないようにする
- 車内で固定する
- 移動後はしばらく静かな場所に置く
この程度を意識する。
旅行なのだから、ワイン専用輸送車を用意する必要まではない。
車で旅行先にワインを持っていく方法
一番おすすめなのはワインバッグ+保冷バッグ
車なら自由度が高いため、ワインを運ぶ方法としてはかなり楽だ。
私なら次の順番で包む。
- ボトルをワイン用保護スリーブに入れる
- 液漏れ対策として袋に入れる
- タオルなどで周囲を保護する
- 保冷バッグに入れる
- 車内で倒れたり転がったりしない位置に固定する
1本だけなら、専用品がなくても厚手のタオルと保冷バッグでかなり対応できる。
ただし、高価なワインならボトル専用の緩衝ケースを使いたい。
数千円のワインならまだ諦めもつく。しかし数万円のワインを「Tシャツ2枚で包んだから大丈夫」という人類特有の謎の自信に任せる必要はない。
夏はトランクへの長時間放置を避ける
夏の旅行ではここが重要だ。
サービスエリアで食事をするからといって、ワインを車に置いたまま長時間離れるのは避けたい。
可能なら保冷バッグを使う。
保冷剤を使ってもよいが、ボトルへ直接当てて急激に冷やす必要はない。保冷剤をタオルで包み、バッグ内部の温度上昇をゆるやかに抑える程度で十分だろう。
目的はキンキンに冷やすことではない。
高温にしないことのほうが重要だ。
新幹線・電車で旅行先にワインを持っていく方法
1〜2本なら専用バッグがかなり楽
新幹線や電車の場合、私ならキャリーケースへ入れるより、ワイン用バッグを別に持つ。
1〜2本程度なら、そのほうが扱いやすい。
ボトルがどこにあるか分かるため、荷物を床へ強く置いてしまう事故も減る。
特に紙袋だけで持ち歩くのは少し怖い。ワインショップでもらった紙袋は店から自宅までなら便利だが、電車を乗り継いで旅行するための保護ケースではない。
長距離ならクッション入りのボトルバッグが安心だ。
キャリーケースに入れるなら中央へ
荷物を一つにまとめたいなら、スーツケースでも運べる。
その場合はボトルを端に置かない。
私なら、
「衣類」
↓
「緩衝材で包んだワイン」
↓
「衣類」
という状態にする。
ボトルをケース中央へ置き、周囲を柔らかい衣類で囲む。
さらに液漏れ対策として大きめの袋へ入れておく。
割れたワインだけでも十分悲しい。そのうえ白いシャツまで赤ワイン色になったら、旅先で開ける予定だった一本が急に染色用品になる。
二重対策はしておいたほうがいい。
国内線の飛行機にワインを持っていく方法
一般的なワインなら国内線は持ち込み可能
国内線の場合、普通のワインは比較的運びやすい。
JALとANAでは、アルコール度数24%以下の酒類について、危険物としての数量制限は設けられていない。24%を超え70%以下なら1人5Lまでとなっている。一般的なワインは10〜15%程度なので、通常は24%以下に入る。
ただし、これは酒類そのものの危険物規制の話だ。
実際には機内持ち込み手荷物の個数、サイズ、重量など、通常の手荷物ルールにも従う必要がある。
国内線なら瓶は機内持ち込みも有力
ANAは国内線について、瓶入りの酒や飲料は壊れやすいため機内へ持ち込むよう案内している。JALも瓶入り飲料はできるだけ機内へ持ち込むことを案内している。
大切なワイン1本なら、私も預け荷物より手荷物を選びたい。
自分で扱えるからだ。
ただし、最終的には利用する航空会社の最新ルールを出発前に確認しておくべきである。
国際線の飛行機は国内線と考え方がまったく違う
自宅から持ってきた750mlワインは基本的に機内へ持ち込めない
国際線では液体物制限がある。
日本から国際線へ搭乗する場合、機内へ持ち込む液体は原則として1容器100ml以下などの条件がある。750mlの普通のワインボトルはこれを超える。
つまり、自宅からお気に入りの750mlボトルを持っていくなら、通常は受託手荷物へ入れることになる。
ここは国内線との大きな違いだ。
「国内線では持ち込めたから国際線も大丈夫だろう」は通用しない。
預けるなら梱包をかなり強くする
国際線でスーツケースへ入れるなら、私は国内旅行より一段強く保護する。
最低でも、
- ボトル用保護スリーブ
- 防水袋
- 緩衝材
- 衣類
- ハードタイプのスーツケース
くらいは使いたい。
複数本の場合はボトル同士を直接触れさせない。
スーツケースの外側やキャスター付近も避ける。
預け荷物がどのように扱われるかは自分では管理できない。ここだけは「たぶん丁寧に扱ってくれるだろう」という希望的観測を捨てたほうがいい。
免税店で買ったワインは例外がある
保安検査を通過した後の免税店などで購入した酒類については、条件を満たせば100mlを超えていても機内へ持ち込める場合がある。
ただし、海外で乗り継ぐ場合は注意が必要だ。
STEBsと呼ばれる開封確認可能な袋などを利用できるケースもあるが、乗り継ぎ空港や国によって条件が異なる。
旅行ルートに乗り継ぎがあるなら、出発前に航空会社へ確認したほうがいい。
海外旅行では税関のルールも確認する
日本へ戻ってくるときの酒類免税範囲
海外旅行へワインを持っていく場合は、航空会社だけを確認して終わりではない。
入国する国の税関ルールがある。
さらに日本へ帰国するときにも税関が関係する。
日本税関では、20歳以上の旅行者が日本へ入国する際、酒類は760ml換算で3本までが携帯品の免税範囲となっている。
勘違いしやすいが、「3本を超えたら絶対に持ち込めない」という意味ではない。
3本はあくまで免税範囲だ。超える場合には申告や税金が必要になる可能性がある。
そして日本から海外へお気に入りのワインを持っていく場合は、渡航先の国の酒類持ち込み規制を確認しなければならない。
国によって免税範囲も年齢条件も違う。
海外旅行だけは「ワイン1本くらいなら大丈夫だろう」で出発しないほうがいい。
スパークリングワインはさらに丁寧に扱う
高温と強い振動を避ける
シャンパンやスパークリングワインも旅行へ持っていける。
ただ、瓶内には圧力がかかっているため、私は普通の赤ワイン以上に慎重に扱いたい。
特に夏場の高温を避ける。
到着直後に勢いよく開けるのではなく、冷やしながらしばらく静かに置いてから開けたほうが扱いやすい。
JWINEではスパークリングワインの飲み頃温度として5〜8℃程度を目安としている。
旅先で乾杯するなら、宿へ着いてすぐ冷蔵庫へ入れておくといい。
旅行先に着いてからのワイン保管も重要
ホテルの窓際には置かない
無事に運べたら終わりではない。
部屋に入ったあと、ワインを窓際や暖房の近くへ置くのは避ける。
数時間後に飲むなら、冷暗所へ置けばいい。
夏場なら冷蔵庫を利用するほうが安全だろう。
赤ワインまで冷えすぎた場合は、飲む少し前に冷蔵庫から出せばいい。
長期熟成のための理想的な保存と、旅行中の数時間から1泊程度の一時保管は別物だ。
旅行では完璧な熟成環境を作るより、高温と直射日光を避けることを優先したほうが現実的だ。
レストランへ持ち込むなら事前確認が必要
旅先のレストランでお気に入りのワインを飲みたい場合にも注意したい。
ワインを持っていけるかどうかは店舗によって違う。
持ち込み可能でも「コルケージ」や「抜栓料」と呼ばれる料金が必要な店がある。
予約するときに、
「ワインを1本持ち込みたいのですが可能ですか」
と確認しておくのが一番確実だ。
高級店ほど独自ルールがある場合もあるので、当日いきなりボトルを持っていくより事前確認をおすすめする。
旅行先へワインを持っていくときの持ち物
私なら最低限、次のものを用意する。
- ワイン用ボトルバッグ
- 防水できる袋
- タオルまたは緩衝材
- 夏なら保冷バッグ
- 必要に応じて保冷剤
- ワインオープナー
- 必要ならワインストッパー
特に忘れやすいのがワインオープナーだ。
ワインは完璧に運べた。料理も用意した。景色もいい。
そしてコルクが抜けない。
そんな妙に完成度の高い悲劇は避けたい。
ただし飛行機を利用するときは、ワインオープナーの形状によって手荷物として扱えない可能性があるため、航空会社の規則を確認し、必要なら預け荷物へ入れておくほうが安全だ。
まとめ|お気に入りのワインは「温度・衝撃・ルール」の3つを守って運ぶ
旅行先へお気に入りのワインを持っていくこと自体は難しくない。
国内の車や電車なら、ワイン用バッグや保冷バッグを使えばかなり運びやすい。
重要なのは、
高温にしない。
瓶をぶつけない。
飛行機や海外旅行では規則を確認する。
この3つだ。
車なら夏の車内放置を避ける。新幹線ならクッション入りバッグを使う。国内線なら瓶を機内へ持ち込む方法も有力だ。
一方、国際線は100mlを超える液体物の機内持ち込み制限があるため、自宅から750mlのワインを持っていくなら基本的に受託手荷物を使うことになる。海外では渡航先の税関ルールも確認しておきたい。
私なら、普通の1本なら専用ボトルバッグと保冷バッグ。高価なワインなら、さらに防水ケースと緩衝材を追加する。
数百円から数千円の準備で、大切な一本を守れる。
旅行先の食事に「いつものお気に入り」が加わるだけで、夜の満足度はかなり変わる。その一本を無事にテーブルまで運ぶところまで含めて、ワインを楽しみたいものだ。

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