30万円前後のオフィスチェアを買うなら、失敗などしたくない。
ところが「エンボディチェア」と「コンテッサ セコンダ」を比べると、どちらも高級チェアなので、スペック表だけでは違いが分かりにくい。値段が高いほうを選べば正解、という単純な世界でもない。椅子なのに面倒である。
先に結論を言えば、背中へのフィット感と、座りながら自然に体を動かせる感覚を重視するならエンボディチェアが強い。
一方で、ヘッドレスト、4Dアーム、座面の選択肢、細かな調整のしやすさまで求めるならコンテッサ セコンダのほうが選びやすい。
価格も、実は「コンテッサのほうが圧倒的に安い」とは言い切れなくなっている。2026年現在、装備をそろえると両者はかなり近い価格帯に入る。
高い買い物だからこそ、「有名だから」ではなく、自分が椅子に何を求めるかで決めるべきだ。
エンボディチェアとコンテッサ セコンダの違いを比較
まず、大きな違いを整理すると次のようになる。
| 比較項目 | エンボディチェア | コンテッサ セコンダ |
|---|---|---|
| メーカー | Herman Miller | オカムラ |
| 価格 | 約29万円~が中心 | 公式ECで約22万円~、装備により30万円超 |
| 背もたれ | ピクセル構造+バックフィット | メッシュ+ランバーサポート選択可能 |
| 座面 | 4層構造のファブリック | メッシュ・クッション・革など |
| 座面奥行き | 約425~480mm | 約400~450mm |
| 座面高さ | 約440~560mm | 約420~520mm |
| アーム | 高さ・幅調節 | 4Dアーム |
| ヘッドレスト | 純正設定なし | 大型固定・小型可動あり |
| リクライニング | 硬さ・範囲調整 | 26°アンクルチルト |
| ランバーサポート | BackFitで背全体を調整 | オプションあり |
| 保証 | 基本12年 | 部位により1・2・8年 |
| 向いている人 | 長時間PC作業・姿勢を動かす人 | 細かな調節・リラックス性能重視 |
エンボディは「体に椅子を合わせる」というより、体が動いたときに椅子も一緒についてくる設計が特徴だ。
コンテッサ セコンダは逆に、調整できる部分を増やし、自分の好きな位置を細かく作り込める椅子という印象が強い。
似ているようで、かなり方向性が違う。
価格を比較|現在は意外と価格差が小さい
エンボディチェアは約29万円から
2026年8月時点で、ハーマンミラー公式ストアのエンボディチェアは、グラファイト仕様の通常価格が292,600円となっている。
フレームや張地によって価格が変わり、公式ストアでは30万円台前半の仕様も用意されている。なお、2026年8月24日時点ではホームオフィスセールが行われ、一部仕様が20%OFFになっているが、当然ながらセール価格は常設ではない。
以前は「エンボディは30万円、コンテッサは10万円台」というイメージもあった。
しかし現在の新品価格を見ると、その認識は少し古い。
コンテッサ セコンダは約22万円からだが装備で大きく変わる
オカムラ公式Lifestyle Storeでは、コンテッサ セコンダが**225,610円(税込)~**となっている。
ただし、これはシリーズのスタート価格である。
たとえばオカムラの製品情報では、4Dアジャストアームを装備したハイバックモデルの例が税別267,000円、税込なら293,700円になる。大型ヘッドレストを備えるエクストラハイバックになると、税別303,500円などの仕様もある。
つまり、
エンボディ:約29万円~
コンテッサ セコンダ:約22万円~だが、上位仕様なら30万円前後
という見方が現実に近い。
コンテッサ セコンダにヘッドレスト、ランバーサポート、4Dアームなどを求めるなら、もはや価格差だけで選ぶ意味はかなり薄くなる。
座り心地を比較|一番大きな違いは背中と座面
エンボディは背中全体が動きについてくる
エンボディチェア最大の特徴は、背もたれにある。
ハーマンミラーは「ピクセルサポート」と呼ばれる構造を採用しており、座る人のわずかな動きに合わせて座面と背もたれが動き、体重を分散する設計になっている。さらにBackFit調節によって、背骨のカーブに合わせて背もたれを調節できる。
私がこの2脚から選ぶなら、長時間PCに向かいながら何度も姿勢を変える使い方では、エンボディを優先したい。
ガッチリ固定して正しい姿勢を作るというより、多少動いても背中を支え続ける考え方だからだ。
じっと座り続けること自体、人間には無理がある。その前提から作られているのがエンボディの面白いところだ。
コンテッサ セコンダは座面を選べるのが強い
コンテッサ セコンダは座面の選択肢が強い。
特にクッション仕様では、硬さの違う3種類のウレタンを一体成型している。前側を柔らかくし、後ろ側を硬くすることで、太ももへの圧迫を抑えながら臀部を支える設計だ。
さらにメッシュ座面も選べる。
つまり、
- 柔らかさをある程度求めるならクッション
- 蒸れにくさを重視するならメッシュ
- 高級感なら革
という選び方ができる。
ここはエンボディにはない強みだ。
「高級椅子だから座り心地も絶対に良い」という話ではない。お尻と椅子の相性だけは、スペック表を読んでも最後まで分からない。
特に20万円、30万円クラスなら、購入前の試座はかなり重要になる。
背もたれはエンボディの個性が強い
BackFitで背骨のカーブに合わせる
エンボディは背もたれ中央に、背骨のような構造を持っている。
BackFitを調節すると背もたれのカーブが変化し、背骨の自然な形に合わせられる。体が動けば背もたれもある程度追従する。
見た目からして普通ではない。
だが、あの独特な背面は飾りではない。
デスクワーク中に、
「少し右へ体をひねる」
「背中を伸ばす」
「少し後ろへ倒れる」
といった細かな姿勢変更をする人には、この考え方がかなり合っている。
コンテッサはランバーサポートを追加できる
コンテッサ セコンダでは、オプションとしてランバーサポートを追加できる。
上下60mmの調節が可能で、自分の腰の位置に合わせられる。
腰を明確に押さえてほしい人には、こちらのほうが分かりやすい。
ただし、エンボディもコンテッサも腰痛を治療する器具ではない。
腰に不安がある場合ほど「高級だから大丈夫」と決めつけず、実際に座って違和感が出ないか確認したほうがいい。
アームレストはコンテッサ セコンダが強い
ここはかなり分かりやすい。
コンテッサは4Dアームを搭載
コンテッサ セコンダのアジャストアームは、
- 上下100mm
- 角度は内側15°・外側7.5°
- 前後40mm
- 左右それぞれ25mm
という4D調節に対応している。
マウスとキーボードを使い分ける人には便利だ。
さらに面白いのが「スマートオペレーション」である。
右肘のレバーから座面高を調節でき、左肘側ではリクライニングの固定と解除ができる。いちいち座面の下へ手を伸ばさなくてもいい。
毎日触る部分だけに、この差は地味に大きい。
エンボディは背中の調整を優先した設計
エンボディもアームの高さや幅を調節できるが、標準のオフィスモデルではコンテッサほど多方向に細かく動かすことを主役にはしていない。
エンボディはアームよりも、
座面奥行き・リクライニング・BackFit・背中への追従性
に力を振っている。
アームレストを頻繁に調節するなら、私はコンテッサを選ぶ。
ヘッドレストが欲しいならコンテッサ セコンダ
これはかなり重要な違いである。
エンボディには純正ヘッドレストがない
エンボディチェアの公式ラインナップには、純正ヘッドレストが用意されていない。
デスクワークを中心に考え、背中から姿勢を支える思想が強い椅子だからだ。
作業中は問題になりにくいものの、動画を見る、ゲームをする、長くリクライニングする、といった使い方では「頭も預けたい」と感じる人はいるだろう。
コンテッサは2種類のヘッドレストを選べる
コンテッサ セコンダには、
大型固定ヘッドレスト
と
小型可動ヘッドレスト
が用意されている。
小型タイプは上下だけでなく前後移動や首振りにも対応する。大型タイプは広い面積で後頭部を支える設計だ。
長時間リクライニングするなら、この差は無視できない。
仕事だけならエンボディ。
仕事と休憩を1脚でこなしたいならコンテッサ。
そんな分け方もできる。
リクライニング性能はどちらも優秀だが性格が違う
コンテッサは26°のアンクルチルト
コンテッサ セコンダには、くるぶしを中心として背と座が連動する「アンクルチルトリクライニング」が採用されている。
後傾角度は26°。モデルによっては5段階で固定できる。
背もたれだけ倒れる椅子とは違い、体全体で自然に後ろへ移動する感覚を狙った構造だ。
ヘッドレストも組み合わせられるので、後傾姿勢で休む使い方にはかなり強い。
エンボディはリクライニングしながら作業する感覚が強い
エンボディもリクライニングの硬さや可動範囲を調節できる。
ただ、エンボディは「完全に休むための椅子」というより、姿勢を変えながら作業を続けるための設計に見える。
背中と椅子を完全に離さず、少し後ろへ倒れながらモニターを見る。
そんな使い方との相性がいい。
前傾姿勢を重視するなら注意
「前傾姿勢でタイピングしたい」という人もいるだろう。
ここでは注意が必要だ。
ハーマンミラーとオカムラが案内している主要機能を見る限り、エンボディにもコンテッサ セコンダにも、アーロンチェアなどで知られるような専用の前傾チルトを主機能として搭載しているわけではない。
そのため、
「常に体を前へ倒して作業したい」
「座面ごと前傾させたい」
という条件が最優先なら、この2脚以外も含めて比較したほうがいい。
一方、背もたれを使いながら直立~軽い後傾で作業するなら、どちらもかなり強い。
小柄な人は座面高も確認したほうがいい
意外と見落とされるのが最低座面高だ。
エンボディの公式ストア記載値は約440~560mm。
コンテッサ セコンダは代表的なモデルで420~520mmとなっている。
わずか20mmと思うかもしれない。
しかし椅子では、この20mmが結構大きい。
座面を最低まで下げても足裏が床につかないなら、背もたれがどれだけ優秀でも姿勢は安定しにくい。
小柄な人ならコンテッサ セコンダのほうが合わせやすい可能性がある。
エンボディを選ぶ場合は、机の高さと合わせて試座しておきたい。
保証を比較|エンボディの12年保証は強い
エンボディは基本12年保証
ハーマンミラー公式ストアでは、エンボディチェアに12年保証が設定されている。
ただしガス圧シリンダーなど一部部品は2年保証となる。
30万円前後する製品だけに、この長期保証はかなり大きな安心材料だ。
コンテッサは部位によって保証期間が違う
コンテッサ セコンダでは、
- 外観・表面仕上げ:1年
- 機構部・可動部:2年
- 構造体:8年
という保証区分が基本となる。
単純な年数ではエンボディが強い。
ただし両社とも保証条件や対象外になる部品があるため、「12年対8年」だけで判断するのも雑すぎる。
購入時には正規販売店と保証条件まで確認しておきたい。
エンボディチェアがおすすめな人
私なら、次の条件が多いほどエンボディを選ぶ。
1日中PCに向かう人
プログラミング、文章作成、画像編集、動画編集など、モニターを見ながら何時間も作業する用途との相性がいい。
背中のわずかな動きに追従するという設計思想が、そのまま生きるからだ。
姿勢を頻繁に変える人
まったく動かず「正しい姿勢」を維持できる人など、ほとんどいない。
少し横へ動く。
背中を伸ばす。
少し倒れる。
また戻る。
エンボディは、そうした動きまで含めて支える方向に作られている。
ヘッドレストがなくても困らない人
PC作業中心なら問題になりにくい。
逆に、椅子で映画を見たり仮眠したりしたい人には、ここが弱点になる。
コンテッサ セコンダがおすすめな人
ヘッドレストが欲しい人
これはコンテッサが圧倒的に選びやすい。
大型固定と小型可動から選択できる。
仕事だけでなく、動画視聴や休憩にも椅子を使うなら魅力は大きい。
アームレストを細かく調節したい人
4Dアームはかなり便利だ。
キーボード操作とマウス操作で腕の位置が違う人なら、コンテッサの調整幅を生かしやすい。
メッシュ座面やクッション座面を選びたい人
座面の好みはかなり個人差がある。
だからこそ、素材そのものを選択できるコンテッサは強い。
私なら、柔らかめを求めるならまずクッション仕様から試す。
結局エンボディとコンテッサはどっちがいい?
どちらが上か、と聞かれると困る。
実際には、かなり性格が違うからだ。
長時間のPC作業を最優先するなら、私はエンボディチェアを第一候補にする。
ピクセル構造とBackFitによって、背中を固定するのではなく、体の動きに合わせてサポートする考え方が面白い。パソコンの前で何時間も過ごす人ほど、この設計には意味がある。
一方で、
仕事・ゲーム・動画視聴・休憩まで1脚でこなし、細かな調整機能も欲しいならコンテッサ セコンダを選ぶ。
ヘッドレスト、4Dアーム、ランバーサポート、座面素材の選択肢まで含めると、こちらのほうが万能だ。
まとめ|作業特化ならエンボディ、万能性ならコンテッサ セコンダ
エンボディチェアとコンテッサ セコンダは、どちらも高級オフィスチェアの代表格だ。
しかし、目指しているものは同じではない。
エンボディは、人が動くことを前提に、背中と体の動きに椅子を追従させる。
コンテッサ セコンダは、豊富な調整機能を使って、自分に合うポジションを細かく作る。
この違いを理解すると選びやすい。
長時間PC作業が中心で、背中のフィット感と姿勢変化を重視するならエンボディ。
ヘッドレスト、4Dアーム、座面の選択肢、リラックス性能を求めるならコンテッサ セコンダ。
そして30万円近い椅子だけは、ネットの評判だけで決めないほうがいい。
10分座って快適でも、数時間後に合わなくなることはある。可能なら背もたれ、座面高、座面奥行き、アームまで自分の体に合わせた状態で試したい。
高級チェア選びで最後に信用すべきなのは、ブランド名でもレビュー点数でもない。
毎日そこに座る自分の体である。
※本記事の選び方や評価については、公式仕様をもとにした筆者個人の見解を含みます。

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