概要：Windows 11 25H2とは何か
Windows 11 25H2（バージョン25H2）は、Microsoftが2025年9月30日に一般公開を開始した、Windows 11の「機能アップデート」ですが、実際には以前のバージョン（24H2）と同じコードベースを使い、機能を有効化（enablement package）する形でリリースされるものです。 (TechRadar)
このため、性能改善・大きな機能追加といった目立った変化は少ないと報じられています。 (TechRadar)
ただし、これはつまり「既存の24H2で確認されていた問題も25H2でも継続する可能性が高い」ということでもあります。たとえば、プラットフォームが変わっていないため、互換性・ドライバ・アプリケーションの相性といった部分に課題が残るという点に注意が必要です。 (ザ・レジスター)
25H2で報告されている主な不具合
25H2アップデートにあたって、現時点で報告・確認されている主な不具合を以下に整理します。
※「不具合」として挙げられているものので、全ての環境で必ず起きるわけではありませんが、アップデート前・以後にチェックしておきたい点です。
1. パフォーマンス改善が見込めない／悪化報告あり
- 一部ベンチマークでは、Windows 11 25H2の性能が24H2とほぼ「差がない」または若干遅い傾向が出ています。 (TechRadar)
- また、ユーザー報告として「RAM使用量が増えた」といった声があります。例えば、16 GB構成のマシンで通常5-6 GB使用だったところが7-8 GBになったという報告も。 (Microsoft Q&A)
> “Just updated to W11 25H2 update. What I immediately noticed was my RAM usage went up 2GB…” (Microsoft Learn) - ハードウェアが公式要件を満たしていない場合、クラッシュ・フリーズなどの安定性問題を抱える可能性があります。 (TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)
2. 特定機能・アプリケーションの不具合
- 動画再生において、HDCPあるいはDRM（著作権保護）を用いた「強化ビデオレンダラー」を使うアプリケーションで、黒画面、停止、再生エラーが発生する可能性があると Microsoft が認めています。 (Windows Central)
- Windows Update Standalone Installer（.msuファイルをネットワーク共有からインストールする場合など）において、「ERROR_BAD_PATHNAME」が出てアップデートが失敗する事例も確認されています。 (Windows Central)
3. 回復環境（WinRE）での重大な入力不具合
- 非常に注意すべき問題として、KB5066835 による更新後、Windows 回復環境（WinRE）で USB キーボード・マウスが反応しなくなるという深刻な不具合が発生しています。 (PC Gamer)
- このため、システムが起動不能になった際に「修復」「リセット」「スタートアップ修復」ができず、復旧できない可能性があります。
- Microsoft はこの問題を受け、緊急のアウト・オブ・バンド更新（KB5070773）を公開しています。 (Tom’s Hardware)
4. アップグレード・互換性ホールドの継続
- 24H2で生じた互換性ホールド（特定の Intel 11世代プロセッサ＋音声ドライバの問題など）が、25H2でも「コードベースが同じ」であるため継続する可能性があります。 (TechRadar)
- 例えば、古めのハードウェア、ドライバ更新が停止している環境ではアップデートを控える方が安全という意見もあります。 (ピュアインフォテック)
なぜ不具合が起きやすいのか：技術的背景
不具合が発生しやすい背景には、以下のような技術的な理由があります。
- コードベースが同じ: 25H2は24H2と同じ「サービスブランチ」を共有しており、新たなプラットフォームや大きな変更を伴わない設計です。つまり、24H2で発生していた問題が完全に解消されていなければ、25H2でもそのまま残る可能性があります。 (ザ・レジスター)
- ドライバ・ハードウェアの互換性: 特に古いハードウェアや非推奨ドライバを使っている環境では、OSアップデート後に新しいセキュリティ・制御・ドライバ署名要件で影響を受けやすいです。 (TECHCOMMUNITY.MICROSOFT.COM)
- アップデートの配信方式: enablement package形式（既存コードにフラグを立てるだけ）という形式を取っており、インストール時の変更は少ないものの、各環境特有の設定・アプリ・ドライバが新しいフラグに追いつかないケースが増えています。
- 早期導入のリスク: 新バージョンの公開直後は、テストされていないハードウェア組み合わせでの不具合が発生しやすく、実運用機での「問題報告の積み重ね」がリリース後に出てくる傾向があります。 (ピュアインフォテック)
アップグレード前に確認すべきチェックリスト
安全に25H2へ移行・利用するために、以下の項目を事前に確認しておくことをおすすめします。
- ハードウェアが「Windows 11 要件」を満たしているかを確認。特にTPM、セキュアブート、CPU世代、ドライバ対応。
- 現在のWindowsバージョン（例：24H2）およびビルドが最新の状態か。可能なら最新の累積更新プログラムを適用しておく。
- 重要なドライバ（グラフィック、サウンド、ネットワーク、チップセット）がメーカーから最新バージョンで提供されているか。
- 重要なアプリケーションが「Windows 11 25H2 でも動作報告」があるか、公式サポートやフォーラムで確認。
- バックアップを取得する：OSイメージ、データ、設定。アップグレード失敗・トラブル発生時に戻せる手段を用意。
- アップグレード適用後に問題が発生した場合に備えて、「回復ポイントの作成」「修復手段（USBブート、別ドライブなど）」を準備しておく。
- 「今すぐアップグレードするか、待つか」を検討。公開直後のバグを避けるなら、数週間〜数か月待ってから適用する選択肢もあります。 (ピュアインフォテック)
不具合発生時の対策と回避方法
実際に25H2にアップグレードして「何かおかしい」と感じた場合、以下のような対策を講じるとよいでしょう。
- 不具合が「特定のアプリ／機能」に限られているなら、該当アプリを最新へアップデート、または互換モードや以前のバージョンに戻す。
- RAM使用量の増加が気になる場合：不要スタートアップアプリを整理、メモリリークを起こしていないかタスクマネージャでチェック。
- ドライバが原因と思われる場合：デバイスマネージャから問題のあるデバイスを確認、古いドライバをロールバック、あるいはメーカーサイトから最新版を取得。
- 回復環境（WinRE）での入力不能といった重大不具合の場合：Microsoftが提供済みのパッチ（例：KB5070773）を適用しているか確認。適用前ならシステム起動後速やかに更新。 (Tom’s Hardware)
- 問題が大きく、修復不能あるいは頻発するなら、アップグレード前のバージョンに戻す（ロールバック）か、クリーンインストールを検討。
- Microsoftやハードウェアベンダーの「既知の問題／回避策」ページをチェック。例：Windows 11 リリースヘルスのダッシュボード。
25H2を「待つ」か「今すぐ適用」かの判断基準
アップグレードのタイミングをどうするか、迷う方も多いと思います。以下を参考に判断してみてください。
適用を「今すぐ」検討するケース
- 現在24H2を使用しており、サポート期間を延長したい。25H2に移ると2027年10月までのサポートとなります。 (ピュアインフォテック)
- 現在のシステムが安定しており、ドライバ／アプリも最新・互換性ありと確認済みである。
- 規模の大きい更新を今後すぐに行いたい、またはセキュリティ上最新に保ちたいという強い意向がある。
適用を「しばらく待つ」ケース
- 現在使用しているアプリ／ハードウェアで既に問題を抱えており、対応が不明。
- ハードウェア構成がやや古め、またはドライバ更新状況に不安がある。
- 安定運用を最優先にしたい（特に業務用途）、今すぐ大きな変化を起こしたくない。
- 公開直後のアップデートに伴う「予期せぬ不具合」リスクを避けたい。
まとめ
Windows 11 25H2は、ユーザーにとって「機能的には24H2から大きな改善がない反面、サポート延長のメリット」があります。一方で、「既存の不具合をそのまま引き継ぐ可能性」「ハードウェア・ドライバ互換性で慎重さが必要」という側面もあります。
特に、安定性を重視する環境では、アップグレード前に必ずハードウェア・ドライバ・アプリの互換性を確認し、バックアップを取得しておくことを強くおすすめします。また、万一のトラブル時に備えて、修復手段やパッチの確認も怠らないようにしましょう。
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