日本の政治を担う「議員」。彼らは国会や地方議会で住民や国民の声を政策に反映させる重要な役割を果たしています。しかし、一般市民からよく聞かれるのが「議員の給与は高すぎるのでは?」という疑問です。実際、国会議員と地方議員では給与(報酬)の仕組みや金額に大きな違いがあります。本記事では、「議員の給与 地方 国会」というテーマで、国会議員と地方議員の報酬の実態、仕組み、課題について詳しく解説します。
議員の給与とは?基本的な仕組み
議員の給与は、国や自治体から「税金」によって支払われています。ここで重要なのは、国会議員と地方議員では「名称」と「決め方」が異なる点です。
- 国会議員:正式には「歳費」と呼ばれ、国の法律(国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律)によって定められています。
- 地方議員:正式には「議員報酬」と呼ばれ、各自治体の条例によって金額が決められます。
つまり、国会議員は国のルールで一律に決められますが、地方議員は自治体ごとに差が出る仕組みになっているのです。
国会議員の給与(歳費)の現状
国会議員は立法府の一員として、国の法律をつくる重要な役割を担っています。そのため、給与も高水準に設定されています。
- 歳費(月額):約129万円
- 期末手当(ボーナス):年2回、合計約635万円
- 文書通信交通滞在費(現在は調整中):月額100万円
年間で計算すると、およそ2200万円以上が国会議員1人あたりの給与や手当に支払われています。
これに加えて、秘書を雇うための経費や交通費なども国費から支給されるため、実際の「活動費用」はさらに大きな額になります。
地方議員の給与(議員報酬)の仕組み
地方議員は市町村議会や都道府県議会で活動する議員のことです。彼らの給与は「議員報酬」と呼ばれ、自治体ごとに条例で金額が決められる仕組みになっています。
- 政令指定都市の議員報酬:月額60万~80万円前後
- 中規模自治体の議員報酬:月額40万~50万円前後
- 小規模自治体の議員報酬:月額20万~30万円前後
このように、人口規模や財政状況に応じて金額が大きく変わります。特に人口が少ない町村議会では議員報酬が低く、兼業をしている議員も少なくありません。
国会議員と地方議員の給与の違い
両者を比較すると、以下のような違いがあります。
項目 | 国会議員 | 地方議員 |
---|---|---|
名称 | 歳費 | 議員報酬 |
決め方 | 国の法律 | 各自治体の条例 |
月額 | 約129万円 | 20万~80万円程度 |
ボーナス | 年2回 約635万円 | 自治体によって支給有無が異なる |
経費 | 交通費・秘書給与・文書通信交通滞在費など | 議員活動費(自治体による) |
こうして比較すると、国会議員は年間2000万円以上、地方議員は規模によって300万~1000万円程度と、かなりの開きがあることがわかります。
議員の給与は高い?国民からの批判
国会議員や地方議員の給与については、常に「高すぎるのではないか」という批判があります。特に以下のような理由が指摘されています。
- 出席率が低い議員でも同じ報酬を受け取れる
- 実績に関係なく一律で支払われる
- 国や自治体の財政が厳しい中で給与が削減されない
一方で、「政治活動には人件費や交通費がかかるため、ある程度の給与が必要」という意見も存在します。給与を引き下げると、生活の安定を確保できず、有能な人材が政治家を目指さなくなる可能性があるという指摘も無視できません。
地方議員の給与が低すぎる問題
一部の小規模自治体では、議員報酬が月額20万円程度しかない場合があります。そのため、議員が兼業をして生活費を補うケースが多く、議員活動に十分な時間を割けないという問題が起こっています。
また、報酬の低さから若い世代が立候補しにくく、議会の高齢化が進んでいるのも課題です。報酬の設定は「財政負担」と「議会の活性化」のバランスをどう取るかが大きなポイントとなります。
国会議員の給与削減と議論の歴史
国会議員の給与については、過去にも削減の動きがありました。
- 2011年の東日本大震災後:復興財源確保のため、国会議員の歳費が2年間削減されました。
- 新型コロナウイルス流行時(2020年):国民の生活支援のため、議員歳費を一時的に削減。
このように、国民の負担が大きいときに議員給与をカットする流れはありますが、恒常的に削減されることは少なく、依然として高水準が維持されています。
議員の給与をめぐる今後の課題
今後の課題として、以下の点が挙げられます。
- 成果と連動させる仕組みの導入
出席率や政策提案数などを評価基準にした「成果連動型報酬」の検討が必要です。 - 地方議員の待遇改善
若者や現役世代が立候補しやすいよう、最低限の生活ができる報酬の設定が求められます。 - 国民への情報公開
議員給与の使途や活動内容をもっと透明化し、納税者が納得できる形にする必要があります。
よくある質問(FAQ)
Q1. 国会議員の給与は誰が決めているのですか?
A1. 国会議員の給与(歳費)は、国会が制定する法律によって定められています。
Q2. 地方議員の給与は全国一律ですか?
A2. いいえ。地方議員の報酬は各自治体の条例で決められるため、地域によって大きな差があります。
Q3. 議員は給与以外に収入がありますか?
A3. 国会議員は秘書給与や交通費などの経費が別途支給されます。地方議員も政務活動費を受け取る場合があります。
Q4. 地方議員は兼業できますか?
A4. 可能です。特に小規模自治体では議員報酬だけでは生活が難しく、多くの議員が兼業しています。
Q5. 議員給与は削減できないのですか?
A5. 国会議員は法律改正が必要で、地方議員は条例改正が必要です。削減には議員自身の賛成が必要なため、実現が難しい面があります。
Q6. 国会議員の年間給与はいくらですか?
A6. 基本の歳費・手当・ボーナスを合計すると、1人あたり年間2200万円以上になります。
まとめ
国会議員と地方議員の給与には大きな違いがあります。国会議員は年間2000万円以上と高水準ですが、地方議員は自治体の規模によって20万円から80万円程度と幅広く設定されています。
議員給与は「高すぎる」との批判もある一方で、政治活動に必要なコストや人材確保のためには一定の水準が必要という意見もあります。今後は「成果と報酬の連動」や「情報公開の徹底」が課題となるでしょう。
議員の給与を理解することは、民主主義の健全な運営を考える上で重要な視点です。国民一人ひとりがこの問題に関心を持ち、議論を深めていくことが求められています。