MENU
カテゴリー

証券会社・ネット証券の安全性Tier表【2026年版】徹底比較

証券会社が倒産しても、預けた株式や投資信託は原則として返還される。これは大手証券会社だけでなく、ネット証券にも当てはまる。

では、なぜ証券会社の安全性に差があるのだろうか。対面で相談できる証券会社は、ネット証券より安全なのか。

実は、会社の規模や知名度だけでは安全性を判断できない。重要なのは、顧客資産の管理、財務の健全性、不正アクセス対策、そして法令を守る仕組みだ。

特に近年は、証券会社の倒産だけでなく、証券口座の乗っ取りも無視できない。

この記事では、主要な対面型証券会社とネット証券を比較し、安全性のTier表を作成した。評価の根拠と、自分の資産を守る方法も解説する。

目次

証券会社・ネット証券の安全性Tier表【2026年版】

まず、主要証券会社の安全性を比較する。

Tier(ティア)とは、条件に応じて対象を段階的に分類したものだ。今回はS・A・Bの3段階で評価した。

安全性Tier表

Tier証券会社評価の主な理由
Sマネックス証券パスキー必須化。登録後は従来のパスワードログインを停止
S野村證券オンライン取引・出金にパスキー認証を必須化
Sみずほ証券オンライン取引・入出金などにパスキー認証を必須化
SSMBC日興証券取引・出金に強固な認証を要求
S三菱UFJ eスマート証券2026年10月22日からパスキーを原則必須化
S大和証券パスキーまたは専用アプリの生体認証を原則必須化
S三菱UFJモルガン・スタンレー証券オンラインログインのパスキーへの切り替えを実施
ASBI証券全取引チャネルでパスキー対応。ただし従来方式も利用可能
A楽天証券パスキーの段階的必須化を実施
A松井証券パスキー対応。「パスキーのみ」の設定が可能
APayPay証券パスキーを段階的に必須化。重要操作への対応は拡大途中
ADMM.com証券パスキー設定後はパスワードログインを停止
AGMOクリック証券パスキーを導入。2026年11月28日から認証をさらに強化予定
Bmoomoo証券認証強化は進む一方、2026年の行政処分後の改善状況を確認したい

評価基準日:2026年10月28日

この表は、公開情報を基にした私の評価である。金融庁などが公表する公式格付けではない。

特に、各社の内部システムや未公表の事故対策まで調べたものではない。そのため、「Sなら絶対に安全」「AやBは危険」という意味ではない。

今回、重視した項目は次の5つだ。

評価項目確認する内容
顧客資産の保護分別管理と投資者保護基金への対応
不正アクセス対策パスキーの必須化と従来方式の扱い
重要操作の保護売買・出金・登録情報の変更時の認証
財務の健全性自己資本規制比率と財務情報
内部管理行政処分や改善状況の公開情報

ただし、各社の財務や行政処分の全履歴を同じ条件で検証できているわけではない。

そのため、このTierは公開情報から確認できる認証対策と内部管理上の懸念を中心にした比較だ。企業の倒産確率や資産損失率を順位付けしたものではない。

Tier SとTier Aの違いは何か?

安全性を比較するとき、私は認証方法を重視する。

その理由は単純だ。どれほど立派な会社でも、自分の証券口座に第三者がログインできれば、不正取引の危険が生まれるからだ。

Tier S:強固なログイン認証を原則必須にしている

Tier Sには、パスキーなどの強固な認証を原則必須としている会社を選んだ。

パスキーとは、顔認証や指紋認証などを利用するログイン技術だ。偽サイトでは正しい認証が成立しにくく、従来のパスワードよりフィッシング詐欺に強い。

例えば、マネックス証券は2026年6月30日にパスキー認証を必須化した。登録済みの利用者については、従来のパスワードログインを自動的に停止している。

出典:マネックス証券「ログイン時のパスキー認証必須化」

野村證券は2026年6月27日から、オンラインで取引・出金する利用者にパスキーを必須化した。

出典:野村證券「ログイン・取引・出金時のパスキー認証」

また、みずほ証券は2026年2月9日から、オンライン取引・入出金などにパスキーを必須としている。

出典:みずほ証券「パスキーによるログインの必須化」

大和証券も、パスキーまたは専用アプリの生体認証を使う仕組みへ移行した。

このように、対面型の大手証券会社でも、オンライン取引の安全性は大幅に強化されている。

Tier A:対策は強いが、設定や移行状況に差がある

SBI証券、楽天証券、松井証券なども、パスキーに対応している。

ただし、必須化の時期や、従来のログイン方法を残す条件には違いがある。

例えばSBI証券は、2026年6月13日から全取引チャネルでパスキーを利用可能にした。一方、パスワードを使ったログインも引き続き認めている。

楽天証券では、パスキー登録後に従来のパスワードログインが原則利用できなくなる。2026年6月からは、利用者ごとに順次必須化も進めている。

出典:楽天証券「パスキー認証の段階的必須化」

DMM.com証券も、パスキーを設定すると従来のパスワードログインができなくなる。

出典:DMM.com証券「パスキー認証の設定について」

つまり、Tier Aの会社でも、利用者自身が適切に設定すれば、非常に強いログイン保護を受けられる。

Tierの差を、そのまま個々の口座の危険度と考えてはいけない。

なお、GMOクリック証券は2026年11月28日から、ログイン方法をパスキー中心に切り替える予定だ。これは記事の確認日時点では将来の変更である。

出典:GMOクリック証券「2026年11月28日からの認証変更」

Tier B:改善状況を継続して確認したい会社

moomoo証券については、2026年6月19日に関東財務局が業務停止命令と業務改善命令を出している。

問題とされたのは、NISA対象商品の管理や証券の移管対応、内部管理態勢などだ。システムリスクやサイバーセキュリティを管理する体制の不足も指摘された。

業務停止の対象は、新規口座開設の勧誘と受付で、期間は2026年6月19日から9月18日までだった。

出典:関東財務局「moomoo証券株式会社に対する行政処分について」

一方、同社も認証対策の強化や内部管理の改善を進めている。

今回の評価は、同社の資産が保護されないという意味ではない。また、行政処分を受けた会社が永久に危険ということでもない。

新しく口座を開くなら、処分内容と、その後の改善状況を確認したいという判断だ。

証券会社が破綻しても資産が守られる理由

証券会社の安全性を考えるとき、会社の倒産と資産の消失を同じものと考えてはいけない。

日本では、顧客の資産を保護する制度が用意されている。

分別管理によって顧客の資産は区別される

分別管理とは、顧客から預かった資産と証券会社自身の資産を分けて管理する制度だ。

国内の証券会社は、法律に従って分別管理を行う義務がある。

例えば、投資家が500万円の投資信託を保有していたとする。

その証券会社が経営破綻したとしても、適切に分別管理されていれば、原則として顧客資産の返還を受けられる。

ここが銀行預金とは大きく異なる点だ。

投資者保護基金の上限は1,000万円

分別管理が適切に行われず、破綻した証券会社から顧客資産を返還できない場合も考えられる。

このような場合に備える仕組みが、日本投資者保護基金だ。

一定の条件を満たすと、顧客1人当たり1,000万円を上限として補償される。

仕組みを整理すると、次のようになる。

証券会社が破綻した場合

  • 分別管理が適切:原則として顧客資産を返還
  • 分別管理に問題があり返還できない:基金が一定の条件で1,000万円まで補償
  • 投資商品の値下がり:基金の補償対象外

重要なのは、証券口座の資産が1,000万円を超えた瞬間に危険になるわけではないという点だ。

分別管理が正しく行われていれば、1,000万円を超える資産も原則として返還対象となる。

出典:日本投資者保護基金「よくある質問」

なお、外国証券の一部取引、FX、店頭デリバティブなどは、通常の株式や投資信託と保護の仕組みが異なる場合がある。

購入する商品の種類も確認しておきたい。

証券会社の倒産より口座乗っ取りに注意したい

証券会社の破綻には、分別管理などの保護制度がある。

しかし、第三者による不正ログインは別の問題だ。

証券口座が乗っ取られれば、本人が希望しない売買を行われる可能性がある。

パスワードだけでは防ぎにくい

代表的な手口がフィッシング詐欺だ。

フィッシング詐欺とは、本物に似せた偽サイトなどを使い、ログイン情報を盗み取る手口をいう。

例えば、証券会社を名乗るメールから偽サイトへ誘導され、利用者がIDとパスワードを入力してしまう。

この場合、証券会社のシステム自体が破られていなくても、第三者が口座を悪用する危険がある。

金融庁も、証券口座への不正アクセスについて継続して注意を呼びかけている。

出典:金融庁「インターネット取引サービスへの不正アクセス・不正取引にご注意ください」

不正取引が起きても全額補償とは限らない

「証券会社が補償してくれるから大丈夫」と考えるのは危険だ。

日本証券業協会は2025年5月、不正アクセスに関する顧客対応について、証券会社10社の申し合わせを公表した。

ただし、被害状況を個別に確認することが前提となっている。

すべての不正取引について、無条件で全額補償されるという制度ではない。

出典:日本証券業協会「フィッシング詐欺等による不正アクセスへの対応」

私なら、補償を期待するよりも、不正ログインを防ぐ設定を優先する。

証券会社の財務と内部管理はどう評価する?

ログイン対策が優れていても、会社の経営状況を無視してよいわけではない。

長期投資をするなら、財務情報と業務管理の両方を確認したい。

自己資本規制比率だけで安全性は決まらない

証券会社の財務を確認する指標に「自己資本規制比率」がある。

これは、証券会社が抱えるリスクに対して、どれほどの財務上の余力を持つかを示す数字だ。

国内の証券会社には、この比率について法令上の規制がある。

ただし、数字が高いほど安全と単純に判断できるわけではない。

日本取引所グループも、この比率だけでなく、財務諸表などと合わせて判断する必要があると説明している。

出典:日本取引所グループ「自己資本規制比率とは」

例えば、自己資本規制比率が高くても、業務の管理が適切とは限らない。

逆に、比率が他社より低いという理由だけで、直ちに危険と判断することもできない。

親会社の知名度は安心材料の一つにすぎない

銀行グループに属する証券会社や、長い歴史を持つ大手証券会社には、経営基盤や支援体制を期待できる面がある。

しかし、親会社が大きいことと、すべての取引が安全であることは同じではない。

私は、親会社の名前よりも、次の情報を重視する。

  • 証券会社自身の財務状況
  • 顧客資産の分別管理に関する開示
  • 不正取引への対策と補償方針
  • 行政処分やシステム障害への対応
  • 問題が起きた際の問い合わせ体制

こうした情報を確認できる会社は、利用者も判断しやすい。

逆に、必要な情報を見つけにくい会社は、評価を慎重にするべきだと考える。

安全な証券会社を選ぶために実行したい5つのこと

Tier表は候補を絞るための参考資料だ。

最終的な安全性は、利用者自身の設定や管理方法にも左右される。

1. パスキーを登録する

対応している証券会社では、まずパスキーを設定したい。

そのうえで、従来のパスワードログインを無効にできるか確認する。

パスキーが設定されていても、別の弱い認証方法が使える場合は、その経路も確認したい。

2. 証券会社の公式アプリからログインする

メールやSMSに書かれたリンクからログインする必要はない。

公式アプリや、自分で登録したブックマークからアクセスする方が安全だ。

急いで対応するよう求める通知ほど、慎重に確認したい。

3. AppleやGoogleのアカウントも守る

パスキーの保存先となるAppleやGoogleなどのアカウントが乗っ取られれば、別の危険が生まれる。

そのため、証券会社のログインだけを守っても十分ではない。

端末のロック、アカウントの二要素認証、復旧方法も確認しておこう。

4. 取引通知と出金通知を有効にする

不正取引を完全に防げなくても、早期発見は重要だ。

ログイン、注文、約定、出金などの通知を利用できる場合は、有効にしておきたい。

また、取引履歴と口座残高を定期的に確認する。

不審な操作を見つけた場合は、速やかに証券会社へ連絡するべきだ。

5. 複数の証券会社に分散する目的を明確にする

複数の証券会社に資産を分けることにも意味はある。

ただし、証券会社を増やしただけで、投資の値下がりリスクが減るわけではない。

分散する目的効果
1社のシステム障害に備える別の口座を利用できる可能性がある
口座の利用制限に備えるすべての資産が同時に動かせなくなる事態を避けやすい
株価下落を防ぐ同じ商品を持つだけでは効果がない
証券会社の管理を簡単にする口座が増えると、むしろ手間が増える

口座を分けるなら、資産の規模だけでなく、管理する手間も考慮したい。

安全性を高めようとして、パスキーや通知の管理が雑になっては本末転倒だ。

まとめ

証券会社を選ぶとき、ネット証券だから危険、大手の対面証券だから安全と決めつける必要はない。

国内の証券会社には、分別管理と投資者保護基金による保護制度がある。一方、不正ログイン対策や内部管理の状況には違いがある。

今回のTier表では、強固なログイン認証を必須にしている証券会社を高く評価した。ただし、これは倒産リスクまで含めた絶対的な順位ではない。

最初に取り組むべきことは、証券会社を乗り換えることではない。

今使っている証券口座のパスキー設定、ログイン方法、通知機能を確認することだ。

そのうえで、財務情報や行政処分への対応を調べ、現在の証券会社を利用し続けるか判断すればよい。

安心感を求めて会社を次々と乗り換えるよりも、根拠のある対策を一つずつ進める方が合理的だ。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

30代ブロガー
いろいろあって苦労したことの備忘録
少しでも皆さまのお役に立てれば幸いです✨

コメント

コメントする

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください。

目次