社外ホイールに交換すると出てくる「ハブリング」。小さな金属の輪なので、「こんなもの本当に必要なのか?」と思うかもしれません。
さらに厄介なのが、「インチ調整用Oリング」という呼び方です。
もし乗用車のホイール中央に付いているリングをそう呼んでいるなら、少し危険です。多くの場合、それはOリングではありません。正しくはハブリング、またはハブセントリックリングです。
しかも、サイズを間違えたり、純正ホイールへ戻すときに付けっぱなしにしたりすると、むしろトラブルの原因になります。
では、ハブリングは必要なのか?
結論から言えば、すべての車やホイールに必須ではありません。しかし、車体側のハブ径よりホイール側のセンターボアが大きい場合には、私は付ける価値がかなり高いと考えています。
高速走行時のブレを減らす目的でも使われる部品です。
ただし、「とりあえず付ければ安心」というほど単純でもありません。
問題はサイズと使い方です。

ハブリングとは?社外ホイールの隙間を埋める部品
ハブリングはホイールのセンターを合わせやすくする
車には、ホイール中央がはまる「ハブ」と呼ばれる部分があります。
純正ホイールでは、基本的に車両に合ったセンターボアが使われています。
ところが、社外ホイールは多くの車種へ取り付けられるように、センターボアが大きめに作られている製品があります。
すると、
車両側のハブ径 < ホイール側のセンターボア径
という状態になり、中央に隙間ができます。
その隙間を埋めるのがハブリングです。
Wedsもハブセントリックリングについて、ホイールとハブの隙間を埋め、高速走行時のブレを軽減する部品として案内しています。
小さな部品ですが、やっている仕事は意外と分かりやすい。
大きすぎる穴を、車側のハブ径に合わせているわけです。
「インチ調整用リング」ではない
ここはかなり重要です。
17インチや18インチという数字は、基本的にホイール径を表しています。
ハブリングを付けても、17インチのホイールが18インチになるわけではありません。
ハブリングが調整するのは、
- ホイールのインチ
- タイヤの外径
- タイヤ幅
ではありません。
合わせているのは、ホイール中央の穴と車両側ハブの直径です。
インチアップと同時に取り付けることが多いため、「インチ調整用リング」のように呼ばれることがありますが、役割はまったく違います。
ここを間違えると、Oリングとの話まで混ざってしまいます。
ハブリングは必要?付けなくても走れるのか
すべての社外ホイールに必須ではない
ハブリングについて調べると、
「絶対に必要」
という意見と、
「なくても問題ない」
という意見が出てきます。
実際には、どちらか一方だけで考えるのは少し乱暴です。
WedsやKYO-EIも、ハブリングが取り付けできない形状のホイールや、最初から純正ハブ径に合わせられているホイールが存在すると案内しています。
つまり、車種専用設計などで最初からセンターボアと車両ハブが合っているなら、追加のハブリングが必要ないケースがあります。
逆に、センターボアが車体ハブよりかなり大きい社外ホイールなら話は変わります。
私なら適合するハブリングがあるなら付ける
社外ホイールと車体ハブの間に隙間があり、メーカーが適合するハブリングを用意している。
この条件なら、私は付けます。
理由は単純です。
数千円程度の部品でセンター合わせを助けられるなら、わざわざ使わない理由があまりないからです。
Wedsも高速走行時のブレ軽減をハブリングの効果として案内しています。
ただし、ハブリングを付ければホイールの取り付けミスがすべて解決するわけではありません。
ハブリングはホイールナットやホイールボルトの代わりではない。
ここは忘れてはいけません。
ハブリングのサイズの選び方
「外径」と「内径」の2つを見る
ハブリング選びで最も重要なのがサイズです。
たとえばKYO-EIには、
- 73/67mm
- 73/66mm
- 73/60mm
- 73/56mm
- 73/54mm
など、さまざまなサイズがあります。
「73/60mm」なら、基本的には、
外径73mm → ホイール側
内径60mm → 車両ハブ側
と考えれば分かりやすいです。
つまり確認する数字は2つです。
- 使用するホイールのセンターボア径
- 自分の車のハブ径
この両方が一致する製品を選びます。
「だいたい合っている」はダメ
60mmのハブに59mmや61mmを使う。
これは当然おすすめできません。
そもそもハブリングは隙間を正しく合わせるための部品です。
そこでサイズを妥協したら意味がありません。
KYO-EIは車種別のハブ径適合表も公開しています。車種名だけでネットショップの商品を適当に買うより、メーカーの適合情報とホイール側のセンターボア径を確認したほうが確実です。
ハブリングの正しい取り付け方
取り付け前にハブのサビと汚れを落とす
新品のハブリングなのに入らない。
そんなとき、いきなり叩いて入れるのはやめたほうがいいです。
まず車体側のハブを確認します。
長く使った車では、
- サビ
- 泥
- ブレーキダスト
- 固着した汚れ
などが付着しています。
WedsとKYO-EIはどちらも、ハブやホイールの汚れによって取り付けが難しくなる場合があり、ブラシなどで汚れを落としてから取り付けるよう案内しています。
ブラシとウエスで接触部分をきれいにする。
まずはここです。
サイズが正しいのに入らないからと、ハンマーで無理やり押し込むのは雑すぎます。
斜めに入れず、まっすぐ装着する
ハブリングは均等に入れます。
片側だけ強く押して斜めになった状態で無理に入れると、リングを変形させたり、取り外せなくなったりします。
特に薄い金属製リングは、見た目以上に繊細です。
私は「入ったからOK」ではなく、リングがきちんと奥まで入り、浮きや傾きがないかまで確認したほうがいいと考えています。
ホイールを装着したあとも、ホイールが取り付け面へきちんと密着していることを確認します。
ハブリングの正しい外し方
純正ホイールへ戻すときは外す
スタッドレスタイヤへ交換するときなど、社外ホイールから純正ホイールへ戻すことがあります。
このときはハブリングに注意してください。
WedsとKYO-EIは、純正ホイールを装着するときには、ハブセントリックリングを車体から取り外すよう明記しています。
ハブリングを残したほうがセンターが合いやすそう。
そんな気もします。
しかし純正ホイールは、その車両のハブに合わせて作られている場合があります。
余計なリングを残せば、ホイールが正しい位置まで入らない原因になります。
ここは「念のため残す」ではなく、適合する状態へ戻すべきです。
まず周囲の汚れを落とす
ホイールを外したら、ハブリング周辺を確認します。
いきなりドライバーを突っ込んではいけません。
最初にブラシやウエスで、
- サビ
- 砂
- 泥
- ブレーキダスト
を取り除きます。
リングの端が見える状態にしてから外します。
必要な道具も大げさなものではありません。
- 樹脂製リムーバー
- 小さめの樹脂製ヘラ
- ブラシ
- ウエス
この程度から始めたほうが安全です。
一か所だけを強くこじらない
リングとハブの間に少し隙間があるなら、樹脂製の工具を使って端をわずかに浮かせます。
そして、
右を少し浮かせる。
反対側も少し浮かせる。
別の位置も少し浮かせる。
このように円周方向へ少しずつ動かします。
一か所だけを一気に引き上げると、リングが斜めになって余計に噛み込むことがあります。
急いだところで得することはありません。
金属製ドライバーで力いっぱいこじらない
外れないハブリングを見ると、マイナスドライバーを差し込みたくなります。
気持ちは分かります。
しかし、これは最後まで避けたい方法です。
強くこじれば、
- ハブリングが曲がる
- ハブ側に傷が付く
- ホイールの接触面を傷める
可能性があります。
リングは数千円で済んでも、ハブやホイールを傷めたら話が変わります。
外せることより、壊さずに外すことのほうが大切です。
ハブリングが固着して外れないときの対処
サビで完全に固まっているなら無理をしない
金属製ハブリングを長期間装着すると、サビや汚れによって簡単には動かなくなることがあります。
樹脂製工具で複数方向から動かしても、まったく浮かない。
ここまで来たら、力勝負にしないほうがいいです。
ハンマーで叩く。
ドライバーを打ち込む。
プライヤーで無理やり曲げる。
確かにリングだけなら外れるかもしれません。
しかし、その後に残る傷のほうが面倒です。
タイヤ交換のついでにタイヤショップや整備工場へ相談できるなら、私はそのほうを選びます。
小さなリング一個のためにハブ周辺を壊すのは、さすがに割に合いません。
外したハブリングは再利用できる?
変形や強い腐食があるなら交換する
ハブリングを外したら状態を確認します。
少なくとも、
- 割れ
- 欠け
- 大きな変形
- 強い腐食
- 異常な摩耗
があるものを、そのまま戻すのはおすすめしません。
センター合わせに使う部品なのに、リング自体が変形していては意味がありません。
新品を購入してもホイールほど高価な部品ではないので、状態が怪しいなら交換したほうが気持ちよく使えます。
ホイールを変えたらサイズも確認する
以前使っていたハブリングが車に合っていても、新しいホイールに合うとは限りません。
内径は同じでも、ホイール側センターボア径が変われば外径が変わります。
車両だけを見るのではなく、
車両+今回使うホイール
の組み合わせで選ぶ必要があります。
「インチ調整用Oリング」とハブリングは別物
乗用車の社外ホイールならハブリングの可能性が高い
「タイヤのインチ調整用Oリングを外したい」
という言葉で検索する人もいると思います。
ただ、乗用車の社外ホイール中央に入っていて、車体ハブとの隙間を埋めている部品なら、一般的にはハブリングです。
ゴム製Oリングでホイールのインチを調整しているわけではありません。
Oリングは本来、断面が丸いリング状のシール部品を指します。
ここを混同しないほうがいいです。
建設車両では本当にタイヤ用Oリングが使われる
では、タイヤにOリングは存在しないのか。
そうでもありません。
建設車両などの一部のチューブレスタイヤでは、本当にOリングが使われています。
DUNLOPは建設車両用タイヤについて、タイヤサイズに対応したOリングを案内しており、一度使用したものや外傷のあるOリングを使用しないよう注意しています。
つまりこちらは、乗用車のハブリングとは完全に別物です。
建設車両用Oリングは再利用しない
ここは特に注意が必要です。
横浜ゴムは、リムを組むたびにホイールへ適合した新品のOリングへ交換し、損傷や変形のあるOリングを使用しないよう案内しています。
さらに、正しくないOリングを使用すると、空気漏れやサイドリングの脱落につながる可能性があると警告しています。
乗用車用ハブリングの感覚で、
「まだ使えそうだから再利用しよう」
と判断してはいけません。
分割式リムのOリング交換はDIY感覚で触らない
建設車両などの分割式リムでは、Oリングだけでなくロックリングなど複数の部品が使われます。
しかもタイヤには高い空気圧がかかります。
横浜ゴムも、ロックリングの取り付け・取り外し、Oリングの装着、空気充填時について細かな安全上の注意を出しています。
これは乗用車のホイール中央からハブリングを外す作業とは、危険度がまるで違います。
建設車両用タイヤや分割式リムなら、検索記事を見ながら自己流で外すのではなく、タイヤ専門業者へ任せるべきです。
ハブリングでよくある疑問
ハブリングを付けると振動は必ず消える?
必ずではありません。
ハブリングはホイールと車両ハブの隙間を埋め、高速走行時のブレを軽減するための部品です。
しかし振動には、
- タイヤバランス
- タイヤやホイールの変形
- 取り付け不良
- 足回りの問題
など、別の原因もあります。
ハブリングを付けても振動が続くなら、「ハブリングが効かなかった」で終わらせず、タイヤショップなどで原因を確認したほうがいいです。
アルミ製と樹脂製はどちらがいい?
ハブリングには金属製だけでなく、樹脂製も存在します。
KYO-EIでは軽合金製や亜鉛ダイカスト製に加え、3Dプリンター製のABS樹脂ハブリングも扱っています。
ただし、素材だけで決める必要はありません。
私は、
サイズが正確に合うこと
ホイール形状に適合すること
信頼できるメーカーの製品であること
を先に見ます。
高価な素材を選んでもサイズが違えば何の意味もありません。
純正ホイールへ戻すときは付けっぱなしでいい?
基本的には、使用しているハブリングのメーカー指示を確認してください。
少なくともWedsとKYO-EIは、純正ホイール装着時にはハブセントリックリングを車体から取り外すよう明記しています。
スタッドレスタイヤへの交換時などは特に確認したい部分です。
まとめ|ハブリングは小さいが、適当に扱っていい部品ではない
ハブリングは、社外ホイールと車両ハブの隙間を埋めるための部品です。
すべてのホイールに絶対必要というわけではありません。
しかし、センターボアが車両ハブより大きく、適合するハブリングが用意されているなら、私は装着する価値が高いと考えています。
重要なのは、
- 車両側のハブ径を確認する
- ホイール側のセンターボア径を確認する
- 正しいサイズを選ぶ
- 取り付け前にサビや汚れを落とす
- 純正ホイールへ戻すときはリングを確認する
- 固着しても力任せに外さない
この6点です。
そして、「タイヤのインチ調整用Oリング」という言葉にも注意してください。
乗用車の社外ホイール中央に付いているなら、多くの場合はOリングではなくハブリングです。
一方、建設車両などの分割式リムで使われる本物のOリングは、空気の密閉に関係する別の部品です。再利用や自己流の脱着を簡単に考えるべきではありません。
たかがリング。
そう思って雑に扱うには、付いている場所が悪すぎます。
タイヤとホイールは、車が道路と接している唯一の場所です。
数分を惜しんで力任せに作業するより、サイズを確認し、汚れを落とし、正しい方法で付け外しする。
結局、それが一番安く、そして安全です。


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