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社会保険料ってなに?
種類はどんなものがあるのか?
給与から引かれている社会保険料とは?
社会保険制度とは、社会保障の分野のひとつ。
病気やケガ、高齢化、失業、労働災害、介護などに備えて、企業や被保険者が保険料を負担することによって、保険によるカバーを受ける仕組みのことです。
また企業においては、健康保険と厚生年金保険のことを総称して社会保険と呼ぶことが多い。
毎月の給与から控除される社会保険料には、
- 健康保険
- 厚生年金
- 雇用保険
などがありますが、その金額は人によって異なります。
また、社会保険料には被保険者本人の負担分と企業負担分がありますが、給与計算のなかで社会保険料はどのように計算されているのでしょうか。
収入や年齢など社会保険料を決定する基準や、その計算方法について説明します。
社会保険料の種類
社会保険料には、以下の種類があります。
1.健康保険料
健康保険は、企業で働く人々とその家族が、仕事以外の事故でケガをしたり、病気になったときやそれが原因で仕事を休み給与がもらえなかったとき、出産をするとき、死亡したときに必要な医療費や手当金などを支給して、生活上の不安を少しでもなくすことを目的とした制度です。
このための保険料が健康保険料です。
2.介護保険料
介護保険は、65歳以上の被保険者が、介護が必要と認定された場合に介護サービスを受けることができる制度です。
なお、40歳から64歳までの被保険者は、介護保険の対象となる特定疾病により介護が必要と認定された場合に介護サービスを受けることができます。このための保険料が介護保険料です。
3.厚生年金保険料
厚生年金保険は、企業で働く被保険者や被保険者だった人々が、老齢により一定の年齢に達したとき、仕事以外の事故でケガをしたり病気になったことが原因で障害の状態になったとき、死亡したときに、本人や遺族が年金給付を受けることができる制度です。
このための保険料が厚生年金保険料です。
4.雇用保険料
雇用保険は、失業している人々や教育訓練を受ける人々が、失業や教育訓練等について給付金を受けることができる制度です。
そのほかに、失業の予防や労働者の能力開発などを行うための助成金事業などを行なっています。このための保険料が雇用保険料です。
5.労災保険料
労災保険は、労働者が業務や通勤途中の事故が原因でケガや病気になったり、それが原因で仕事を休み給与がもらえなかったとき、障害の状態になったとき、死亡したときに必要な医療費や給付金などを受けることができる制度です。
このために事業主が全額負担している保険料が労災保険料です。
※1~4までの保険料は事業者と本人で負担し、5の労災保険のみ事業者が負担します。
社会保険料の負担率の計算方法について
社会保険料のなかで「健康保険料」「介護保険料」「厚生年金保険料」は、収入の見込額に基づいて標準報酬月額を算出します。
「雇用保険料」「労災保険料」は、毎月の収入によって保険料を算出します。
「健康保険料」と「介護保険料」は、「協会けんぽ」の場合、都道府県ごとに定められた健康保険の料額表にもとづいて保険料が決められます。
健保組合の場合は、組合ごとに健康保険と介護保険の料額表を定めています。
「厚生年金保険料」は、全国一律に定められた厚生年金保険の保険料額表に基づいて保険料が決められます。
なお、厚生年金基金に加入している場合は、基金ごとに厚生年金保険料率や厚生年金基金の掛金が異なります。
「雇用保険料」は、事業の種類によって被保険者本人の負担と企業負担の率が定められています。
「労災保険料」は、事業の種類によって保険料率が定められています。なお、労災保険料は全額企業負担のため、給与計算には登場しません。
以下、「協会けんぽ」の場合を例にとって説明します。
- 東京都のIT企業に勤めている39歳
- 月額給与40万円(標準報酬月額410千円)
社会保険料の総額と被保険者本人の給与から控除する社会保険料、企業が負担する社会保険料は以下の通りです。(平成30年7月時点)
- 健康保険料 40,590円(企業と被保険者本人が各20,295円ずつ負担)
- 介護保険料 40歳未満のため負担なし
- 厚生年金保険料 75,030円(企業と被保険者本人が各37,515円ずつ負担)
- 雇用保険料 400,000円×保険料率(9/1000)=3,600円(うち企業負担6/1000=2,400円、被保険者本人負担3/1,000=1,200円)
(参照:平成30年4月分(5月納付分)からの健康保険・厚生年金保険の保険料額表|協会けんぽ)
(参照:平成30年度の雇用保険料率|厚生労働省)
「労災保険料」は事業の種類によって労災保険料率が変わりますが、どの業種でも全て企業負担になります。
標準報酬月額の算出方法
社会保険料の計算方法の基準になる「標準報酬月額」は、どうやって決められるのでしょうか。
標準報酬月額とは、被保険者が企業から受ける毎月の給与などの報酬の月額を区切りのよい幅で区分したものです。標準報酬月額決定矢改定のタイミングには、資格取得時の決定、定時決定、随時改定、育児休業等終了時改定の4種類があります。
1.資格取得時の決定
新規に被保険者の資格を取得した人の1か月の報酬見込額を算出して、標準報酬月額の等級区分にあてはめて決定。
例)基本給35万円、通勤費2万円、残業手当見込3万円、総額40万円の見込の場合、標準報酬月額は410千円
2.定時決定
7月1日現在の被保険者について、4月・5月・6月に支払われた報酬の平均額を標準報酬月額の等級区分にあてはめて、その年の9月から翌年の8月までの標準報酬月額を決定。
例)4月25日支給:38万円、5月25日支給:40万円、6月25日支給:42万円、平均:40万円、標準報酬月額は410千円
3.随時改定
昇給や給与体系の変更などで、固定的賃金が変動し、変動月以後継続した3か月の間に支払われた報酬の平均月額を標準報酬月額等級区分にあてはめ、現在の標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じたときに改定。
例)現在の標準報酬月額410千円、10月に固定的賃金が変動、10月25日支給:48万円、11月25日支給:50万円、12月25日支給:52万円、平均:50万円、1月からの標準報酬月額は500千円
4.育児休業等終了時改定
育児休業等を終了した後、育児等を理由に報酬が低下した場合に、固定的賃金が変動していなくても、現在の標準報酬月額と1等級以上の差が生じた場合に改定。
例)現在の標準報酬月額360千円、10月1日に育児休業から職場復帰、10月25日支給:35万円、11月25日支給:34万円、12月25日支給:33万円、平均34万円、1月からの標準報酬月額は340万円
報酬の範囲
・基本給や役員報酬
・各種手当(役職者手当、残業手当、単身手当など)
・通勤費、年4回以上支払う賞与など
標準報酬月額を決める場合に、そのもととなる報酬は、基本給、役員報酬、各種手当、通勤費、賞与、その他どんな名称であっても、被保険者が労務の対償として受けるものはすべて含みます。ただし、大入り袋や慶弔見舞金のような臨時に受けるものや、年3回以下の賞与は標準報酬月額の計算には含まれません。
賞与の範囲
年3回以下の賞与
・賞与、期末手当、決算手当など
・暖房手当、燃料手当、寒冷地手当など
標準賞与額を決める場合に、そのもととなる賞与は、賞与、期末手当、決算手当、その他どんな名称であっても、被保険者が労務の対償として受けるすべてのもののうち、賞与年3回以下のものを含みます。ただし、大入り袋や慶弔見舞金のような臨時に受けるものは含まれません。「協会けんぽ」を除く組合保険の方は、料率や基準等については、各組合へ問い合わせください。
給与計算における社会保険料の計算方法の注意点
給与計算において、年度初めは新入社員の入社や昇給、年次有給休暇の付与など給与計算に関わる変更が多い時期です。標準報酬月額は4月~6月の給与を元に9月からの1年間の社会保険料を決定するため、他の時期より残業手当や歩合給が多くなる場合は、あらかじめ業務を平準化しておき残業を極力減らすことや、歩合給の支給ルールを再検討するなど、必要に応じて対策を講じておくとよいでしょう。
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