遺族年金とは?まず知っておきたい基礎知識
遺族年金とは、家族の生計を支えていた人(被保険者)が亡くなったとき、残された遺族に対して支給される年金制度です。日本の公的年金制度には、「国民年金」と「厚生年金」があり、それぞれに遺族年金の制度があります。
遺族年金には主に以下の2種類があります。
- 遺族基礎年金(国民年金)
- 遺族厚生年金(厚生年金)
どちらが支給されるかは、亡くなった方の加入していた年金制度によって異なります。支給には一定の要件があり、「誰でももらえるわけではない」という点も重要です。
遺族年金がもらえる人の対象条件とは?
遺族年金の対象になるには、「亡くなった人が年金制度に一定期間以上加入していたこと」および「残された遺族が一定の要件を満たしていること」が必要です。
遺族基礎年金の対象者
遺族基礎年金は、以下の条件を満たした子のある配偶者または子に支給されます。
- 子のある配偶者:18歳までの子ども(または20歳未満の障害児)を養育していること
- 子:18歳未満または20歳未満の障害のある子
亡くなった人が国民年金に**25年(または保険料納付済期間と免除期間を合算して10年以上)**加入していたことが前提です。
遺族厚生年金の対象者
遺族厚生年金の対象となるのは、以下の遺族です。
- 配偶者(特に妻)
- 子(18歳未満または20歳未満の障害のある子)
- 孫(上記と同条件)
- 父母(60歳以上)
- 祖父母(60歳以上)
※基本的には「生計を同じくしていた」「年齢・障害要件を満たす」ことが条件になります。
遺族年金でもらえる金額はどれくらい?計算方法を解説
金額は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」で大きく異なります。個別の状況によって加算もあるため、目安金額を知っておくことが大切です。
遺族基礎年金の金額(2025年現在)
年額:795,000円+子の加算
- 第1子・第2子:各223,800円
- 第3子以降:各74,600円
例えば、子どもが2人いる場合は、795,000円 + 223,800円×2 = 1,242,600円となります。
遺族厚生年金の金額の目安
遺族厚生年金は、亡くなった人の報酬(給与)に基づいて支給額が決まります。
計算式の基本
平均標準報酬額 × 7.125% × 被保険者期間の月数 ÷ 12
これが年額となり、妻や子どもに支給されます。
例えば、被保険者が年収500万円で20年間厚生年金に加入していた場合、年額で約70万円前後が支給されることがあります(実際の金額は報酬と期間により変動)。
さらに、**中高齢寡婦加算(約586,000円/年)**や、**加給年金(条件付き)**などが加算されるケースもあります。
遺族年金をもらうための申請方法と注意点
遺族年金は自動的には支給されません。申請主義ですので、自分から年金事務所へ申請する必要があります。
必要書類(例)
- 死亡診断書の写し
- 世帯全員の住民票
- 戸籍謄本
- 所得証明
- 子どもの在学証明書(18歳以上の場合)
- 受取口座の通帳のコピー など
申請は、死亡日から5年以内に行う必要があります。期限を過ぎると時効となり、受け取れなくなるので要注意です。
パート主婦・自営業者の配偶者でも受け取れる?よくあるケース別解説
専業主婦やパートタイムの妻
夫が厚生年金に加入していた場合、妻(自分に収入がなくても)は遺族厚生年金の受給対象になります。ただし、子どもがいない場合は、**中高齢寡婦加算が付与される年齢(40歳以上)**でなければ受給額がかなり少なくなります。
自営業の夫が亡くなった場合
夫が国民年金のみに加入していた場合は、妻が子どもを養育していない限り遺族基礎年金はもらえません。
つまり、子どもがいない場合、遺族年金はゼロになる可能性があるため、個人での備えが必要です。
遺族年金と併用できる制度・民間保険との違い
遺族年金だけでは生活費としては不十分になるケースが多く、民間の生命保険や遺族手当と併用するのが一般的です。
また、以下のような公的支援とも併用が可能です。
- 児童扶養手当
- 生活保護
- 母子・父子家庭への支援制度
公的な年金は最低限の保障と考え、足りない分は保険などで備えるのが賢明です。
まとめ:遺族年金は「対象と金額」を事前に把握しておくことが重要
遺族年金は、「誰がどのくらいもらえるのか」が非常に複雑で、制度も毎年のように微調整されています。2025年現在も支給要件や金額は少しずつ変化しており、最新情報を常に確認する必要があります。
自分や家族がもしものとき、どの制度が適用されるのか、いくらもらえるのか、誰が対象になるのかを正確に知っておくことで、万一の事態にも落ち着いて対応できます。
遺族年金は「知らないと受け取れない」制度です。今のうちから、自分の状況に応じた備えと確認をしておきましょう。
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