掃除には会社を良くする力がある
世の中には「掃除」をビジネスにしている会社があります。
ビルの清掃や店舗のクリーニングをするのが代表的です。
家庭の中を掃除するビジネスもあります。
掃除で社員力をup?モチベーション向上会社の力が上がる
一方で、掃除を通じて経営を良くしようとする会社があります。
掃除という作業を提供するのではなく、掃除という行為を通じて会社の中身を改善改革しようというのです。
掃除をツールにした経営コンサルティングだと言えます。
そんな会社の一つに出会いました。
名前を「株式会社そうじの力」といいます。
群馬県高崎市にある会社で、2009年の設立以来全国400社以上の指導をしている。
経営者は小早祥一郎氏。
では、この「そうじの力」は、いったいどんな方法で会社の改善改革を図っているのか?
ご存知のように、掃除は「5S」の中の一つとしてとらえられています。
「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」
また、大きく言えば「環境整備」や「環境経営」の一部です。
ところが、「そうじの力」では、掃除のとらえ方が違っています。
「5S」や「環境整備」などを含めたものを「そうじ」として定義している。
そして、小早社長は言い切ります。
「そうじ」は(会社の)本質を明らかにし究めることだと。
うーん、分かったような分からないような。
いずれにしても、「そうじ」を活用すれば会社が良くなっていくのだと訴えられます。
そこでこの話、もう少し突っ込んでみます。
掃除をしてみると会社の本質が分かる
なぜ掃除をすると、会社や経営が良くなるのでしょう?
それは、掃除という作業を通じて会社のかかえる問題が見えてくるからです。
例えば
- 社員同士のコミュニケーションがうまく行っていない
- 社長の思いや考えが社員に伝わっていない
- 社長のリーダーシップが足りない
- 社員から改善する風土がない
- 今までのやり方で良いと思い込んでしまっている
- 商品管理がまずくてムダが発生している
- 経営計画書を活用していない
といったことです。
「そうじの力」は、コンサルティングにあたって、経営計画書を作るとか、改善提案制度を設けるということを大上段には構えません。
社員全員で整理、整頓や掃除を続けることで少しづつ会社が抱える問題点をあぶりだしていきます。
経営者自身に問題がある場合も多いそうだ。例
えば、社長の机の上や周りには書類や荷物が積み重ねられ、引き出しの中もごちゃごちゃという会社がある。
まずは、この社長の「癖」を直していかなくてはなりません。
徹底的に整理整頓をして、机の上や周りには何も置かれていない状態にする。
また、社長の席と社員とが壁で仕切られていたら、それを取り除きます。
そんな簡単な作業をするだけで、社員に変化が出始める。
社長が率先する姿をみて、社員にやる気が出るからではないだろうか。
また、社長と社員との会話が弾むようになり、仕事がスムーズに回るようにもなることも要因の一つかもしれない。
次は、社員全員で倉庫整理です。
作業が進んでいくと、商品棚や床も塗り替えることになります。
他人に見てもらいたくなるほど奇麗で明るい倉庫にするのだ。
驚きです。
社員の顔写真を貼った「ウエルカムボード」までが、倉庫の入り口に掲げられる。
すると、不良在庫がなくなっていくばかりでなく、自発的に在庫管理のルールが徹底されていくのです。
今月入った新入社員でも、どこに何があるか分かります。
そうなれば、以前よりも利益が増えていくのは当然です。
掃除が成功するためのポイント
「そうじの力」では、こうした現場に即した提案と実行を通じて会社の本質的な問題を解決していっています。
裸足で歩ける現場を実現した工務店の事例、
バスの洗車を「全社員」で行うようになったバス会社の事例、
赤ちゃんでもはい回れる工場をめざす中小企業の事例など、
多くの成功事例がいっぱいです。
ただし、そうじの「力」を発揮するには3つのポイントがあると小早社長は言います。
それは、
- 社長が一緒に「そうじ」をする
- 組織として取り組む
- そうじの時間を確保する
ということです。
逆に言えば、このポイントを外せば失敗。
つまり、社長は社員のやることを見ているだけではダメで社員と一緒に「そうじ」をすることが大切だと言っているの。
それによって、社長の本気度が社員に伝わりますし社員もやる気になります。
また、組織として取り組むには、実行チームを作ったり制度や決まりを設けることが必要です。
掃除を実行するための環境づくりということでしょう。
そして、どの会社でもそうですが、誰もが忙しいです。
その忙しい中で、定期的な掃除時間を少しでも確保する工夫が要ります。
そうしないと、掃除が続きません。
さらに言えば、チームを作ることで、社員が育ちます。
自立した行動ができるようになるのです。
そのことで、当然会社の力がついていきます。
最初に「そうじ」の目的をはっきりさせること。
また、皆が楽しんでやることも重要。
「そうじ」を始めると、ここが汚いとか、ここが乱れているとか、ダメ出しをするメンバーが出てきます。
そうなると掃除が楽しくなくなるので、その場合は「改善のネタが見つかった」と喜ぶことです。
このように、ツボをおさえて「そうじ」を行えば、きっと良い会社になっていく。
いかがですか。たかが掃除と、バカにしてはいけません。
「そうじの力」の話は、掃除ではなく経営の本質にかかわることです。くれぐれも掃除を上手に活用しましょう。
まとめ
「そうじの力」は掃除で経営改善を行う会社である。
掃除を行えば、会社の本質的な問題が見えてくる。
掃除を成功させるには3つのポイントがある。
- 社長が一緒に「そうじ」をする
- 組織として取り組む
- そうじの時間を確保する
これらは、自己実現を行うための一つだと言える。
掃除を通して、自社に対する自身の評価、価値を見出すことで
自身の存在意義を感じることができるからだ。
社員が価値を見出せば会社がよくなるのは当然だ。
そして、社長自らがやるというのはお手本(目標)を提示することで
社員がどんな方法を取ればいいかわかるという点
それを組織だって行えば、向上心とともにコミュニケーションも活発になり
相乗的にプラスの方向に持っていける。
私がこれを書いていて思う大事な考えは
- 無理に他人を変えようとしない=社長自らが行う
- 自社、自身の価値を再確認する=綺麗な環境
- 楽しむことで継続的な組織を作る=共感、協同、喜ぶ
だと思う。
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