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その年の世相を表す流行語。
残るものもあれば、いまだ使われ続ける言葉もある。
そんな中、三省堂が実施した「今年の新語2016」で2位に選ばれた「エモい」は後者にあたるだろう。
Twitterで検索してみると、秒単位でツイートが引っ掛かるほどで、同ランキング1位の「ほぼほぼ」よりも、群を抜いて使用されているようだ。
エモい意味使われ方
だが、本来「感情が揺れ動く物事を経験したとき」に使われるはずも、「ラーメンがエモい」「あの俳優がエモい」「猫がエモい」など、明らかに違った意味合いで使用されている例も見受けられる。
それだけではなく、欅坂46・長濱ねるが写真集に掲載した泣き顔カットが紹介されていた際には、タイトルに“エモかわいい”と書かれていたり、人気4コマ漫画『ポプテピピック』でも使われていたりと、「エモい」の汎用性がますます高くなっているもよう。
なぜここまで使用シーンが広がっていったのか探ってみた。
「エモい」の由来は音楽のジャンルから
そもそも「エモい」という言葉は、いつごろから生まれたのか。実は音楽シーンでは海外で20年以上も前から「エモ(emo)」というジャンルが存在しており、メロディアスで哀愁的な音楽性と、切ない心情を吐露する歌詞が特徴的だった。
それが日本で派生して、激情的・感動的な音楽であれば「エモい」と表現されるようになった。
さらに時代の流れによって音楽の枠を超え、日常のあらゆる出来事を形容する便利な言葉へと変化を遂げるようになったのだ。
「実は意味をよくわかっていない」という10代
実際に「エモい」が使われているツイートを並べてみると、使用するシチュエーションはさまざまだ。
「この曲すごくエモい」という本来の意味合いに沿ったものから、「エモい写真が出てきてつらい」といったツイートのほか、ラーメンなどのごく普通の食べ物の写真を「エモい」と言う人、「実はエモいの意味よくわかってない」などという10代のつぶやきも散見される。
従来の「感情が強く揺さぶられる」という意味で使用しているユーザーを筆者の周りから調査してみると、20代後半~30代に多く、これは前述の音楽がリアルタイム世代だったことや、ある程度人生経験を重ねてノスタルジックになる要素や感傷的になる要素を10代よりも多く持ち合わせていることなどが理由としてあげられる。
LINEスタンプのように使い勝手が良い言葉
実際、10代が使っている「エモい」は、ニュアンスとしては「ヤバい」という言葉に近いようだ。
会話の文脈で都合よく解釈してもらえて、共通語だから細かい説明の手間が省ける、さらにコミュニティ内で使っている人がいれば仲間意識も確認できるなどといった利点があるようだ。
若者からしてみると、 “LINEスタンプのように使い勝手がいい言葉”なのかもしれない。
汎用性が高まってきている「エモい」という言葉。
その便利さゆえに、多用すれば自分の思考がおろそかになってしまうことも十分にあり得る。
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