ブレーキクリーナーとクレ556、見た目は似ていても中身はまったく違う
カー用品店やホームセンターでよく見かける「ブレーキクリーナー」と「クレ556」。どちらもスプレータイプで、金属部品の清掃や潤滑に使われるため、見た目や用途が似ていると思われがちです。しかし、成分や目的、使用するシーンは大きく異なります。この違いを理解しないまま、同じように使用すると、重大な事故や機器の故障を引き起こす可能性があります。
ブレーキクリーナーとは？使用目的と特徴を解説
ブレーキクリーナーは、その名の通り主に自動車のブレーキ部分を清掃するためのスプレーです。成分の大半は有機溶剤で構成されており、グリース・オイル・ブレーキダストなどを瞬時に強力に洗浄・脱脂する機能を持ちます。特徴的なのは「揮発性の高さ」と「残留物がほぼゼロ」である点。これにより、清掃後すぐに再組み立てや作業が可能になります。
クレ556とは？万能だけど向き不向きがある
クレ556は、潤滑剤・防錆剤として長年愛されてきたスプレータイプの多目的オイルです。可動部分のきしみや固着を改善したり、防錆コーティングを施したりと、多岐にわたる用途で使われています。ただし、こちらは「油分を残す」のが基本的な特性。つまり、洗浄というよりは保護と潤滑が主な目的です。これを誤って脱脂が必要な箇所に使うと、トラブルの元になります。
同じように使うとどうなる？最悪のケースは命に関わる
たとえば、ブレーキパッドやローターにクレ556を使用してしまうと、油分が残りブレーキの効きが著しく低下します。これは非常に危険で、制動距離の増加やブレーキのロック、最悪の場合はブレーキが効かず事故につながります。
逆に、潤滑を目的とした箇所にブレーキクリーナーを使用すると、せっかくの潤滑油まで洗い流してしまい、金属同士が擦れ合い摩耗を早めたり、異音や故障の原因になります。
成分を比較して明確な違いを理解する
| 特性 | ブレーキクリーナー | クレ556 |
|---|---|---|
| 主成分 | 有機溶剤（ヘキサンなど） | 鉱物油＋防錆剤＋溶剤 |
| 揮発性 | 高い（すぐ乾く） | 低い（油分が残る） |
| 残留物 | ほぼゼロ | 油膜が残る |
| 主な用途 | 脱脂・洗浄 | 潤滑・防錆 |
| 使用場所 | ブレーキ、金属部品の洗浄 | 可動部、蝶番、錆止めなど |
このように、使用目的がまったく異なるため、併用や代用は原則NGです。中には「代用できる」と紹介されているネット記事もありますが、根拠が乏しい場合も多いため注意が必要です。
「とりあえず手元にあるスプレーで」は危険！
現場でよくあるのが、「今すぐ何とかしたいから手元のスプレーで代用しよう」という判断です。たとえば、自転車のブレーキ周辺にクレ556を吹いてしまう、バイク整備で潤滑箇所にブレーキクリーナーを使用してしまう、といったケースがこれに該当します。短期的には効果があるように見えても、後々大きなトラブルにつながる可能性が非常に高いため、絶対に避けましょう。
まとめ：正しい製品選びが安全と性能を守る
「ブレーキクリーナー」と「クレ556」は、どちらも非常に便利なケミカル製品ですが、使用目的が根本的に違います。洗浄・脱脂が必要ならブレーキクリーナーを、潤滑や防錆が目的ならクレ556を選びましょう。安易な代用や誤使用は、事故や故障を招きかねません。製品ラベルの確認、用途の理解を徹底し、安全で快適なメンテナンスを行いましょう。
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