電子タバコの今後はどうなる?医学的視点から検討

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こんにちはTac^^です。

いま「電子タバコ」が流行している。

電子タバコの今後はどうなる?

医学的視点から検討


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電子タバコの今後はどうなる?医学的視点から検討

電子タバコ

バラエティー番組で取り上げられるなどして話題を読んでいるフィリップ・モリス社のiQOS(アイコス)。

競合品のJT(日本たばこ産業)が発売したPloom TECH(プルーム)などである。

これらは爆発的に売れ、品薄状態。

最近ではコンビニでも購入できることも増えてきた。

各社のホームページや宣伝には耳当たりの良い言葉がみられるが、果たして安全なのだろうか。

あるいは禁煙の第一歩になるのだろうか。

医師の視点から解説する。

本記事の結論はこのようになる。
・電子タバコの安全性は不明
・世界中の専門家は普及を強く懸念している

電子タバコとは何か

大きく2種類に分けられ、
  • タバコの葉(やその成分)を充電式の道具に装着して加熱し吸うもの
  • 道具の中に入っている液体を電気で加熱し気体にしたものを吸うもの(※1)
がある。

普通のタバコは火をつけてタバコという植物の葉を燃やした煙を吸うが、電子タバコでは火は使わず電気で熱するという違いがある。

この器具は50年ほど前に開発されていたが、2000年代前半に中国の韓力(Hon Lik)が商品化したもの。

その後欧米を中心に徐々に市場を拡大したのだが、この電子タバコが世界的に話題になったことがあった。

それは2014年のオックスフォード辞典の”Word of the year”(今年の単語)に’vape’という単語が選ばれたというニュース

vapeとはvapor(=蒸気)という単語からできたもので、意味は「電子タバコ(を吸うこと)」とされた。

なお、その前年には’selfie'(=自撮り写真)という単語が選ばれている。

本記事では以下、電子タバコという用語を「タバコの葉(やその成分)を充電式の道具に装着して加熱し吸うもの」とする。

どんな製品がある?

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いま日本ですぐに買うことのできる、ニコチン入りの電子タバコは2つ。

iQOS(アイコス)(フィリップモリス)とPloom TECH(プルーム)(JT)だ。

iQOSは2016年4月に全国で発売され現在も販売されている。

Ploom TECHは2016年3月に発売されたが「予想をはるかに上回るご注文を頂戴したことから、3月8日より出荷を停止」(JTホームページより)した。

この6月には出荷を再開したという。

これまでのタバコとの違いは

電子タバコは火を使わず、その代わりに充電が必要。

そしてタバコの葉あるいはその成分を詰めたものを加熱し、気体にしたものを吸入する。

ニコチンは含まれているが、タールは含まれないようだ。

がんや心筋梗塞はタバコより減るのか?

喫煙はあらゆるがんや心筋梗塞などの原因になるのはまぎれもない事実だが、電子タバコはどうか。

肝心のこの疑問だが、発売されてまだ日が浅いので、これらの病気のリスクが減るかどうかは不明。

これをはっきりさせようとすると数年間、数千人規模の試験が必要。

あくまで理論的にではあるが、葉を燃焼せずに吸うため、タールなどの有害物質が減っているのでがんや心筋梗塞のリスクは減る可能性があるが、これは慎重な議論が必要。

なお、電子タバコに他の有害物質が含まれているかどうかにいて、こんな研究結果が出されている。

この研究における電子タバコは、液体のタイプのものではあるが結果は参考になるだろう。

市販電子タバコを購入し,カルボニル類を中心とした有害化学物質の分析を実施した.その結果,電子タバコ蒸気・エアロゾル中にIARC発がん性分類グループ1に分類されるホルムアルデヒド,グループ2Bのアセトアルデヒド,さらに刺激性を有するアクロレインなどの発生するものがあることが確認。

出典:欅田尚樹ら 「無煙たばこ,電子たばこ等新しいたばこおよび関連商品をめぐる課題」 保健医療科学 2015 Vol.64 No.5 p.501-510
今後、さらなる研究が必要だと考える。

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わかっていること、わかっていないこと

はっきり言ってしまえば、電子タバコが普通のたばこより安全かどうかは完全に不明。

タバコより毒性は少ないという説もあるが、信頼に足るデータはない。

心配している2つのこと

電子タバコの出現で筆者が心配していることはこの2つだ。

1、若者の喫煙への入り口にならないか
電子タバコは、いま一生懸命ファッショナブルでなんとなく安全そうなイメージを販売各社が作ろうとしている。

「電子タバコはクール」というイメージが出来、そこから普通のタバコの喫煙者が増えることを筆者は強く懸念する。大手のタバコ会社は、電子タバコ会社を次々に買収している事実があることを付け加えておく。

JTのホームページから引用する。
「今回の Zandera 社への投資は、JT グループにとって成長著しい電子たばこ領域への絶好の参入機会である。 Zandera 社の有する E-Lites ブランドの確固たるポートフォリオが、Ploom 等の Emerging Product カテゴリーに加わり、こうした成長分野で成人のお客様に対してより幅広い製品をお届けすることが可能になる」

出典:当社グループによる大手電子たばこブランド「E-Lites」の買収について
なお、現段階では電子タバコの購入には厳しい年齢証明が必要である上に高価であることから、若年者への普及はそれほどではないと考える。

2、違法薬物へのアクセス経路にならないか

煙を喫して吸入するという行為はタバコのみならず、他の違法薬物にも共通する摂取経路だ。習慣として吸入が広まり、そこから「カートリッジ」の交換のみで簡単に違法薬物を摂取できるようになってしまわないかと筆者は懸念する。

電子タバコに期待すること

専門家も指摘するように、喫煙者が禁煙を思い立った時の第一歩としての電子タバコは有用である可能性が高いと考える。

喫煙者はみなニコチンという物質の依存症であり、さらに喫煙という習慣への依存もあることから、まずはニコチンを摂取し喫煙習慣を続けながら毒性を減らしていくという戦略は、かつて喫煙者で現在禁煙中の筆者も同意できる。

「タバコはダメ」と100%否定することで解決することは、いろいろな利権や日本人の喫煙文化を考えた上でほぼ不可能であるから、ハームリダクション(Harm reduction)のような考え方が次善策である。

ハームリダクションとは、例えば覚せい剤注射が蔓延している地域で注射器回し打ちによるHIV感染を防ぐため、注射器と針を自動販売機で販売しその感染リスク(Harm)を減らす(Reduction)というような考え方だ。

つまり愛煙者が喫煙をやめないのであれば、せめてその喫煙者本人への毒性や周囲への副流煙を減らすことで現実的に現状より良い状況にするという考え方で、電子タバコはその一翼を担えるかもしれない。

海外では電子タバコに対する冷ややかな目線

結論から言うと、多くの専門家たちは電子タバコに対する強い懸念を表明している。

WHOはWHO STUDY GROUP ONTOBACCO PRODUCT REGULATIONというレポートの中で、ニコチン入りの電子タバコについてではあるが「電子タバコの安全性はいまだ不明なところが多く、また禁煙補助具としての有用性も証明されていない。さらなる臨床試験の必要性がある」(筆者訳)と表明。

米国では日本より早く電子タバコ(ニコチン入り)が発売され何十億ドルもの市場になり、2016年5月に「18歳未満への販売の禁止」など多くの規制を含む法案が最終提案。

これが通れば多くの中小企業による安全性が不明な電子タバコは淘汰される可能性がある。

医学界からの激しい反発

そして専門家(主に医師)の集団である学会の反応も厳しい。日本禁煙学会は「いわゆる『新しいタバコ』に対する日本禁煙学会の見解」とし、電子タバコを含む無煙タバコ(※2)について厳しく断じている。引用する。

1)紙巻きタバコと同様にニコチンが含まれる。
したがって、呼気にもニコチンが含まれ、受動喫煙による急性心筋梗塞などのリスク
がある。
2)紙巻きタバコと同様に種々の発がん性物質が含まれる。
したがって、肺がん・口腔がん・胃がん・腎臓がんなどのリスクがある。
3)紙巻きタバコと違い、発生する有害物質が見えにくい。
したがって、周囲の人々は受動喫煙を避けられず、かえって危険である。
4)「WHO タバコ規制枠組条約」(FCTC)の第6回締約国会議が決議したように、喫煙者をタバコの健康被害から守り、その呼気から非喫煙者の健康を守らなければならない。
5)すべてのレストランやバーを含む公共の場所・公共交通機関での使用は認められない。

出典:いわゆる「新しいタバコ」に対する日本禁煙学会の見解
以上、わかっている情報からまとめた。

今後流行していくと思われる電子タバコ。

その危険性については特に注視していく必要がある。

※1 液体を蒸気化させて吸入するタイプの電子タバコについては、2016年7月現在、日本ではニコチンを含むことは禁じられている。ニコチン入りの電子タバコは海外では一般的であり、日本にいても個人輸入で購入することが出来る。検索するとニコチン入り電子タバコの個人輸入サイトも散見される。なお、個人輸入は日本では規制されていない。
ニコチン含有を禁止したのには理由がある。4年前の平成22年、専門機関が当時販売されていた電子タバコについてニコチンが含まれているかどうかを調べた結果、国内で販売されている 25 銘柄 45 味中、11 銘柄 15 味でニコチンが検出された

出典:独立行政法人 国民生活センター「電子タバコの安全性を考える」
という結果があったのだ。量はふつうのタバコと比べると微量ではあったが、それらの多くには「ニコチンは含まれていない」といった記載があったため薬事法に違反する可能性があるとされ指導がなされた。

そして厚生労働省は平成22年8月、「ニコチンを含有する電子タバコに関する薬事監視の徹底について(依頼)」(薬食監麻発0818第 5号)を出し、事実上電子タバコへのニコチン含有を禁じたのである。

※2 無煙タバコと電子タバコの違い
無煙タバコとは、「かぎタバコ」や「かみタバコ」といった、鼻から吸ったり歯で噛んでニコチンを吸収するタイプのタバコである。

昔から口腔内がんの原因であり撲滅されたというイメージがあるが、最近JTからスヌースという名のかぎタバコが発売され売行きは好調なようだ。この無煙タバコについては、日本学術会議から提言が出ているので引用する。

(前略)国は、FCTC に基づき、無煙タバコを含むすべてのタバコ製品に関して、諸外国で導入されているような画像付きの警告表示を行うとともに、広告・販売促進活動の規制を強化すべきである。また、国民に対して、無煙タバコを含むすべてのタバコ製品の中止を促し、さらに無煙タバコが禁煙補助剤の代替物にはならないことを伝え、正しい禁煙法の実践を推奨すべきである。

出典:無煙タバコ製品(スヌースを含む)による 健康被害を阻止するための緊急提言 平成25年(2013年)8月30日 日 本 学 術 会 議
(追記)
・筆者はあらゆるたばこ関連企業などと利害関係にない。

(参考)

日本禁煙学会
http://www.jstc.or.jp/

JT
https://www.jti.co.jp/

フィリップモリス iQOS
https://www.iqos.jp/index.php?dispatch=landing_page.light&return_url=index.php

日本医事新報 No. 4746 pp.14-16 (2015.4.11) 「電子タバコに日本はどう対応すべきか」大島明

厚生労働省 厚生科学審議会 (たばこの健康影響評価専門委員会)
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-kousei.html?tid=127755

無煙たばこ,電子たばこ等新しいたばこおよび関連商品をめぐる課題
欅田尚樹,内山茂久,戸次加奈江,稲葉洋平 保健医療科学 2015 Vol.64 No.5 p.501-510
https://www.niph.go.jp/journal/data/64-5/201564050012.pdf

日本学術会議「無煙タバコ製品(スヌースを含む)による健康被害を阻止するための緊急提言」
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t177-1.pdf

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